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74話

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私の想いを聞いたお父様とお兄様は2人で何か考えるように黙り込んだかと思ったらお兄様が小さな声で

「そうだよね......僕の方が年上で、兄ではあるんだよね」

と呟いたのが聞こえてきましたわ。

しかも、その後にすぐ

「確かに妹の方が上の立場だというのもおかしい話しかもしれんが.........」

というお父様の声まで聞こえてきたので、これにはその通りだと言わんばかりに何度も何度も頷きましたわ。

これは......もしかして、私ではなくお兄様を国王に、と考え直してもらえるのでは!?

そう思った私は、目をキラキラと輝かせて、お父様とお兄様の次に続く言葉を待ちましたわ。

きっと、何も出来ない私よりも、今まで裏で支えていたお兄様の方が国王に向いている、という結論になりますわよ。

いや、ならないとおかしい話なんですのよ。

なんて思っていると、今まで黙っていたお母様が急に小さく手を上げてこう言いましたわ。

「でもサイラスが国王になったとしても、ならなかったとしても何も変わらないんでしょう?」

その言葉に、お父様もお兄様の難しい顔で頷いていましたが....お兄様が国王になってもならなくても変わらない、というのはどういう意味ですの!?

私からすると、相当変わることがあると思うんですが.......。

お母様の言葉が理解できない私は、思わず首を傾げてお母様の方をジッと見つめると、すぐに私の視線に気付いたお母様がニッコリと微笑んで

「サイラスとアリスティアとそれぞれ国王になった時のことを考えたらいいじゃない。どっちの方が国にとって良いと思うか」

と提案してくれましたわ。

これには

「国にとって......」

と思わず呟いてしまいましたが、国にとって、ですか......。

まぁ、領民からすると私ではなくお兄様が国王になるだろう、と思っている人がほとんどだと思うので、安心は出来ますわよね。

国王としての仕事も今と大きく変わるわけではないので、お兄様もやりやすいと思いますわ。

......って、そう考えるとお兄様が国王になったら良い事尽くしじゃないですか。

やっぱりここは私ではなくお兄様が上に立った方が.....。

なんて思っていると、私と同様にそれぞれ国王になった利点を考えているお兄様が

「僕が国王になると良い事ばかりだけど、ならなくても良い事ばかりだと思った」

と言ってきましたわね。

お兄様が国王にならなかった時、ですか。

うーん......ならなかったとして、さっきの話では私を裏で支える、ということなので、きっと宰相という立場になってくるんでしょうね。

仕事内容は今のお兄様と基本的には全く同じで........婚約者に関してはどこから来ても何も問題はなし。

何か問題があるか、と聞かれても思いつかないです。

じゃあ、私が国王になったとして、問題と良いところを考えてみろ、とのことなんですが.....。

正直、悪い事しか思い浮かばないんですのよね。

今まで何もしてこなかったのが仇となっているとしか思えませんわ。

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