どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~

榎夜

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69話

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無事に家に到着した私たちは、早速お父様に話があるということで執務室へと向かいましたわ。

はぁ......隣国の王宮では竜専用の入り口があって移動が凄く楽でしたが、流石にお屋敷を改造するのはお父様が頷いてくれませんからね。

ここは我慢するしかありませんわ。

なんて思いながら、チラッと私の隣にピッタリとくっついて空を飛んでいるコシューミアに視線を向けました。

隣国からここまで、ディーヴァンと一緒に空を飛んできたコシューミアですが、まだまだ元気が有り余っているみたいですわね。

「ぴぃ!ぴぃ!」

と元気に鳴きながら、辺りをキョロキョロと見渡していますわ。

そんなコシューミアをディーヴァンはハラハラした顔をして見ているんですが、もうすっかり伯父様の顔をしていますわね。

いや、それどころかお父様みたいになっているので、思わず笑いそうになってしまいますわ。

そんなことを思いながら、2人を交互に眺めて、廊下を歩いていると

「お嬢様?その........隣を飛んでいるのは.......」

正面から歩いてきたメイド長が驚いた顔をしてコシューミアを見ていますわね。

すれ違ったメイドのほぼ全員が同じような顔をしてコシューミアを見ていましたが、こうやって質問してきたのはメイド長が初めてですわ。

なんて思いながら、コシューミアに視線を向けながら

「ディーヴァンの姪っ子なの。お父様にここで暮らして良いのか聞きに行くのよ」

と言って微笑むとコシューミアが嬉しそうに、ぴぃ!と鳴いていますわね。

きっと私の言葉に同調してくれているんでしょう。

なんだかディーヴァンとはまた違った相棒感があって楽しくなりますわ。

そう思いながら、上機嫌に空を飛んでいるコシューミアをそっと掴んで肩に乗せると、その一部始終を見ていたメイド長が驚いた顔をして

「そうなんですか!?姪っ子......竜にも性別があるんですね」

と興味津々にコシューミアのことを見ていますわ。

そんな中、ディーヴァンは少し離れたところで私と、メイド長の会話を聞いているみたいですが、やっぱりコシューミアのことが気になるみたいで、ソワソワしていますわね。

そんなに気になるのなら近くにいたらいいのに.....。

一緒に空を飛んだ、ということもあって、我が家に到着する頃にはコシューミアもディーヴァンに対する恐怖心が薄れたみたいなんですのよね。

あの時は近くでガルファーが大きな声を出していたから、ということもありますが、とりあえず嫌われることがなくて安心しましたわ。

なんて思いながら、メイド長の言葉に

「私も同じことを思ったわ」

と言って微笑むとコシューミアはキョトンとした顔をして

「ぴぃ?」

と可愛らしく首を傾げていますわね。

そんなコシューミアの姿を見たメイド長は、少し顔を赤らめながら

「な、何か食べる物とかが必要でしたら声をかけてくださいませ!すぐに持って行きます!」

と逃げる様に私たちから離れていきましたが、どうやらコシューミアの可愛さにやれれてしまったみたいですわ。

本当に可愛いですものね。

メイド長の気持ちは凄くよくわかりますわよ。

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