上 下
55 / 88

54話 フレグリッドside

しおりを挟む

なぜ俺よりも爵位の低いやつに、このようなことを言われなければならないのか。

そう思った俺は、バカにしたように笑うブブタス公爵を思い切り睨みつけてやった。

だが、奴からするとそんな俺の行動も楽しませることの1つだったようで

「いやー.......あのアリスティア様のことを罵倒していたので、相当お勉強をサボっていたんだろう、とは思いましたが、まさかこれほどまでとは」

面白そうに笑いながらそう言ってきたではないか。

完全に俺のことをバカにしている、といのが伝わってきて腹立たしいが......何よりも、この男がアリスティアと言っているのを見ると、俺が知らないだけでアリスティアは相当凄い奴なのか?

いや、だが奴は竜と契約をしているだけのただの女だ。

父上やブブタス公爵が大げさに言っているだけだろう。

そう思った俺は、ブブタス公爵を鼻で笑った後に

「なぜ奴がそこまで重宝されているのか理解が出来ないな。たかが竜騎士だろ?」

と言ってやった。

まぁ.....この国には竜騎士という存在がなかったからな。

だからアリスティアを重宝しているんだろう。

なんて思いながらブブタス公爵を見ると、俺の言葉に

「たかが竜騎士、ですって.........?」

と驚いた顔をしているではないか。

なんだ?別に本当のことを言っただけだが、なぜそんな顔をしているんだ?

これには思わず首を傾げてブブタス公爵が何を言うか、言葉を待っていると、

「あのですね、竜騎士というのはなりたいからと言ってなれるものではありません。しっかりと知識と実力がないといけないものなんですよ」

そう言ったブブタス公爵は信じられないものでも見る様な目で俺を見ているな。

確かに、竜騎士になるためには色々と条件がある、というのは昔聞いたことがある。

テストのようなものがあって、それに受からないと竜と契約することも出来ない、とか言っていたな。

だが

「それは知っているが......女にでもなれるような称号だぞ」

ブブタス公爵はさっきから竜騎士の凄さを俺に言って来るが、正直全く理解が出来ない。

そもそも、女がなれるなら剣術のテストで上位にいた俺でもなれるんじゃないか?

なんて思っていると、ブブタス公爵は目を大きく見開いてこう言ってきた。

「さっきから何を言っているんですか?アリスティア様はこの国の中でも一位、二位を争うほど剣術の実力者ですよ」

流石にこの言葉はなかなか理解できなくて固まってしまったが.......は?

アリスティアが国の中でも一位二位を争うほどの実力者?

「いやいや、そんなわけがないじゃないか。確かにこの国は剣術の実力はいまいちだが、それでも実力者は多くいるんだぞ?」

あまりにも信用できない話だから、そう言ったが、俺の反応を見たブブタス公爵は

「いえ、本当の話ですよ。陛下は知らないと思いますが陛下が主催の剣術大会で優勝していますからね。しかも圧倒的に」

と言った後に、付け足すように

「ちなみに、二位は陛下の護衛ですよ」

そう言ってきたではないか。

一応陛下の護衛.....つまり父上の護衛というのは国の中で実力がトップだったやつを選んでいる、と聞いたことがある。

そんな護衛を相手にアリスティアが勝っただと......?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

我慢してきた令嬢は、はっちゃける事にしたようです。

和威
恋愛
侯爵令嬢ミリア(15)はギルベルト伯爵(24)と結婚しました。ただ、この伯爵……別館に愛人囲ってて私に構ってる暇は無いそうです。本館で好きに過ごして良いらしいので、はっちゃけようかな?って感じの話です。1話1500~2000字程です。お気に入り登録5000人突破です!有り難うございまーす!2度見しました(笑)

婚約破棄って、貴方誰ですか?

やノゆ
恋愛
ーーーその優秀さを認められ、隣国への特別留学生として名門魔法学校に出向く事になった、パール・カクルックは、学園で行われた歓迎パーティーで突然婚約破棄を言い渡される。 何故かドヤ顔のその男のとなりには、同じく勝ち誇ったような顔の少女がいて、パールは思わず口にした。 「いや、婚約破棄って、貴方誰ですか?」

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈 
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

魔力無しの聖女に何の御用ですか?〜義妹達に国を追い出されて婚約者にも見捨てられる戻ってこい?自由気ままな生活が気に入ったので断固拒否します〜

まつおいおり
恋愛
毎日毎日、国のトラブル解決に追われるミレイ・ノーザン、水の魔法を失敗して道を浸水させてしまったのを何とかして欲しいとか、火の魔道具が暴走して火事を消火してほしいとか、このガルシア国はほぼ全ての事柄に魔法や魔道具を使っている、そっちの方が効率的だからだ、しかしだからこそそういった魔力の揉め事が後を絶たない………彼女は八光聖女の一人、退魔の剣の振るい手、この剣はあらゆる魔力を吸収し、霧散させる、………なので義妹達にあらゆる国の魔力トラブル処理を任せられていた、ある日、彼女は八光聖女をクビにされ、さらに婚約者も取られ、トドメに国外追放………あてもなく彷徨う、ひょんなことからハルバートという男に助けられ、何でも屋『ブレーメンズ』に所属、舞い込む依頼、忙しくもやり甲斐のある日々………一方、義妹達はガルシア国の魔力トラブルを処理が上手く出来ず、今更私を連れ戻そうとするが、はいそうですかと聞くわけがない。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))  書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

処理中です...