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43話
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複雑そうな顔をしながら話を終えたディーヴァンの隣では、悲しそうな顔をしたシャリューアの姿がありますわね。
きっとシャリューアもこの子の未来、みたいなことを考えると思うことが沢山あるんでしょう。
ただ、私としては
「契約出来ないだけで、竜なのは変わらないし、私としては両方カッコよくて憧れの存在だよ」
もう本当にそれだけですわね。
だって、オスだろうとメスだろうと竜はカッコよくて私の憧れの存在、という事実に変わりませんもの。
すると、そんな私の言葉にディーヴァンは少し面白そうな顔をして
[そう言うと思った]
と言ってきましたが、そんなに私の考えってわかりやすいですかね?
まぁ、ディーヴァンにも私がどれほど竜という存在に憧れを抱いているのか語ったことは何度もありますが......。
なんて思っていると、私の言葉を聞いて驚いた顔をしていたシャリューアでしたが、
[あの........アリスティア様]
恐る恐る、という様子で私にそう話しかけてきましたわ。
正直、今まで名前を呼んでくれなかったですし、私でもわかるくらい警戒していたので、名前を呼んでくれた、ということが嬉しくて仕方がないですわね。
ですが、ここで思いっきり喜んでしまうとこの真面目な雰囲気が一気に崩れてしまうので仕方なくグッと堪えて、
「ん?どうしましたの?」
ニッコリと微笑みながらそう尋ねましたわ。
もちろん、内心では
「な、名前!名前を呼んでくれましたの!?」
という感じで物凄く気分が高揚していますわよ。
そんな私の感情はしっかりとディーヴァンにバレてしまっているので苦笑されていますわね。
まぁ、別にいいんですけど。
なんて思っていると
[お願いがあるんですが聞いてもらっても良いでしょうか?]
そう言ってきたシャリューアの表情は本当に真剣な顔をしていたので、今までニヤニヤとしていましたが、しっかりと表情を引き締めましたわ。
シャリューアからのお願い、ですか。
これはディーヴァンも想像が出来ないみたいで、不思議そうな顔をして様子を窺っていますわね。
私自身、竜からのお願いは想像が出来ないので不思議で仕方がありませんが.......一体どうしたんでしょう?
そう思いながら首を傾げてシャリューアの言葉を待っていると、深く深呼吸をしたシャリューアは
[この子を連れて行ってもらえませんか?]
そう言って、私の肩に乗っている小さな竜の方に視線を移しましたわ。
え、えーっと...........?
これにはなかなか頭が追い付かなくて
「..........え?」
としか返せませんでしたが、えっと.....つまり?この子を連れて国に戻って欲しい、ということですわよね?
そう思って、肩に乗っている小さな竜をチラッと見ると、可愛らしく小さな欠伸をしていて、思わず頬が緩みそうになってしまいましたわ。
そんな中、私もディーヴァンも驚きのあまり黙っていると
[契約が出来ないのに何を言っているんだ、と思われるかもしれません。ですが、この子には私と同じような思いをして欲しくないんです]
そういったシャリューアの表情は真剣で、本気で頼んでいるのが伝わってきましたわね。
きっとシャリューアもこの子の未来、みたいなことを考えると思うことが沢山あるんでしょう。
ただ、私としては
「契約出来ないだけで、竜なのは変わらないし、私としては両方カッコよくて憧れの存在だよ」
もう本当にそれだけですわね。
だって、オスだろうとメスだろうと竜はカッコよくて私の憧れの存在、という事実に変わりませんもの。
すると、そんな私の言葉にディーヴァンは少し面白そうな顔をして
[そう言うと思った]
と言ってきましたが、そんなに私の考えってわかりやすいですかね?
まぁ、ディーヴァンにも私がどれほど竜という存在に憧れを抱いているのか語ったことは何度もありますが......。
なんて思っていると、私の言葉を聞いて驚いた顔をしていたシャリューアでしたが、
[あの........アリスティア様]
恐る恐る、という様子で私にそう話しかけてきましたわ。
正直、今まで名前を呼んでくれなかったですし、私でもわかるくらい警戒していたので、名前を呼んでくれた、ということが嬉しくて仕方がないですわね。
ですが、ここで思いっきり喜んでしまうとこの真面目な雰囲気が一気に崩れてしまうので仕方なくグッと堪えて、
「ん?どうしましたの?」
ニッコリと微笑みながらそう尋ねましたわ。
もちろん、内心では
「な、名前!名前を呼んでくれましたの!?」
という感じで物凄く気分が高揚していますわよ。
そんな私の感情はしっかりとディーヴァンにバレてしまっているので苦笑されていますわね。
まぁ、別にいいんですけど。
なんて思っていると
[お願いがあるんですが聞いてもらっても良いでしょうか?]
そう言ってきたシャリューアの表情は本当に真剣な顔をしていたので、今までニヤニヤとしていましたが、しっかりと表情を引き締めましたわ。
シャリューアからのお願い、ですか。
これはディーヴァンも想像が出来ないみたいで、不思議そうな顔をして様子を窺っていますわね。
私自身、竜からのお願いは想像が出来ないので不思議で仕方がありませんが.......一体どうしたんでしょう?
そう思いながら首を傾げてシャリューアの言葉を待っていると、深く深呼吸をしたシャリューアは
[この子を連れて行ってもらえませんか?]
そう言って、私の肩に乗っている小さな竜の方に視線を移しましたわ。
え、えーっと...........?
これにはなかなか頭が追い付かなくて
「..........え?」
としか返せませんでしたが、えっと.....つまり?この子を連れて国に戻って欲しい、ということですわよね?
そう思って、肩に乗っている小さな竜をチラッと見ると、可愛らしく小さな欠伸をしていて、思わず頬が緩みそうになってしまいましたわ。
そんな中、私もディーヴァンも驚きのあまり黙っていると
[契約が出来ないのに何を言っているんだ、と思われるかもしれません。ですが、この子には私と同じような思いをして欲しくないんです]
そういったシャリューアの表情は真剣で、本気で頼んでいるのが伝わってきましたわね。
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