44 / 88
43話
しおりを挟む
複雑そうな顔をしながら話を終えたディーヴァンの隣では、悲しそうな顔をしたシャリューアの姿がありますわね。
きっとシャリューアもこの子の未来、みたいなことを考えると思うことが沢山あるんでしょう。
ただ、私としては
「契約出来ないだけで、竜なのは変わらないし、私としては両方カッコよくて憧れの存在だよ」
もう本当にそれだけですわね。
だって、オスだろうとメスだろうと竜はカッコよくて私の憧れの存在、という事実に変わりませんもの。
すると、そんな私の言葉にディーヴァンは少し面白そうな顔をして
[そう言うと思った]
と言ってきましたが、そんなに私の考えってわかりやすいですかね?
まぁ、ディーヴァンにも私がどれほど竜という存在に憧れを抱いているのか語ったことは何度もありますが......。
なんて思っていると、私の言葉を聞いて驚いた顔をしていたシャリューアでしたが、
[あの........アリスティア様]
恐る恐る、という様子で私にそう話しかけてきましたわ。
正直、今まで名前を呼んでくれなかったですし、私でもわかるくらい警戒していたので、名前を呼んでくれた、ということが嬉しくて仕方がないですわね。
ですが、ここで思いっきり喜んでしまうとこの真面目な雰囲気が一気に崩れてしまうので仕方なくグッと堪えて、
「ん?どうしましたの?」
ニッコリと微笑みながらそう尋ねましたわ。
もちろん、内心では
「な、名前!名前を呼んでくれましたの!?」
という感じで物凄く気分が高揚していますわよ。
そんな私の感情はしっかりとディーヴァンにバレてしまっているので苦笑されていますわね。
まぁ、別にいいんですけど。
なんて思っていると
[お願いがあるんですが聞いてもらっても良いでしょうか?]
そう言ってきたシャリューアの表情は本当に真剣な顔をしていたので、今までニヤニヤとしていましたが、しっかりと表情を引き締めましたわ。
シャリューアからのお願い、ですか。
これはディーヴァンも想像が出来ないみたいで、不思議そうな顔をして様子を窺っていますわね。
私自身、竜からのお願いは想像が出来ないので不思議で仕方がありませんが.......一体どうしたんでしょう?
そう思いながら首を傾げてシャリューアの言葉を待っていると、深く深呼吸をしたシャリューアは
[この子を連れて行ってもらえませんか?]
そう言って、私の肩に乗っている小さな竜の方に視線を移しましたわ。
え、えーっと...........?
これにはなかなか頭が追い付かなくて
「..........え?」
としか返せませんでしたが、えっと.....つまり?この子を連れて国に戻って欲しい、ということですわよね?
そう思って、肩に乗っている小さな竜をチラッと見ると、可愛らしく小さな欠伸をしていて、思わず頬が緩みそうになってしまいましたわ。
そんな中、私もディーヴァンも驚きのあまり黙っていると
[契約が出来ないのに何を言っているんだ、と思われるかもしれません。ですが、この子には私と同じような思いをして欲しくないんです]
そういったシャリューアの表情は真剣で、本気で頼んでいるのが伝わってきましたわね。
きっとシャリューアもこの子の未来、みたいなことを考えると思うことが沢山あるんでしょう。
ただ、私としては
「契約出来ないだけで、竜なのは変わらないし、私としては両方カッコよくて憧れの存在だよ」
もう本当にそれだけですわね。
だって、オスだろうとメスだろうと竜はカッコよくて私の憧れの存在、という事実に変わりませんもの。
すると、そんな私の言葉にディーヴァンは少し面白そうな顔をして
[そう言うと思った]
と言ってきましたが、そんなに私の考えってわかりやすいですかね?
まぁ、ディーヴァンにも私がどれほど竜という存在に憧れを抱いているのか語ったことは何度もありますが......。
なんて思っていると、私の言葉を聞いて驚いた顔をしていたシャリューアでしたが、
[あの........アリスティア様]
恐る恐る、という様子で私にそう話しかけてきましたわ。
正直、今まで名前を呼んでくれなかったですし、私でもわかるくらい警戒していたので、名前を呼んでくれた、ということが嬉しくて仕方がないですわね。
ですが、ここで思いっきり喜んでしまうとこの真面目な雰囲気が一気に崩れてしまうので仕方なくグッと堪えて、
「ん?どうしましたの?」
ニッコリと微笑みながらそう尋ねましたわ。
もちろん、内心では
「な、名前!名前を呼んでくれましたの!?」
という感じで物凄く気分が高揚していますわよ。
そんな私の感情はしっかりとディーヴァンにバレてしまっているので苦笑されていますわね。
まぁ、別にいいんですけど。
なんて思っていると
[お願いがあるんですが聞いてもらっても良いでしょうか?]
そう言ってきたシャリューアの表情は本当に真剣な顔をしていたので、今までニヤニヤとしていましたが、しっかりと表情を引き締めましたわ。
シャリューアからのお願い、ですか。
これはディーヴァンも想像が出来ないみたいで、不思議そうな顔をして様子を窺っていますわね。
私自身、竜からのお願いは想像が出来ないので不思議で仕方がありませんが.......一体どうしたんでしょう?
そう思いながら首を傾げてシャリューアの言葉を待っていると、深く深呼吸をしたシャリューアは
[この子を連れて行ってもらえませんか?]
そう言って、私の肩に乗っている小さな竜の方に視線を移しましたわ。
え、えーっと...........?
これにはなかなか頭が追い付かなくて
「..........え?」
としか返せませんでしたが、えっと.....つまり?この子を連れて国に戻って欲しい、ということですわよね?
そう思って、肩に乗っている小さな竜をチラッと見ると、可愛らしく小さな欠伸をしていて、思わず頬が緩みそうになってしまいましたわ。
そんな中、私もディーヴァンも驚きのあまり黙っていると
[契約が出来ないのに何を言っているんだ、と思われるかもしれません。ですが、この子には私と同じような思いをして欲しくないんです]
そういったシャリューアの表情は真剣で、本気で頼んでいるのが伝わってきましたわね。
22
お気に入りに追加
3,341
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした
基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。
その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。
身分の低い者を見下すこともしない。
母国では国民に人気のあった王女だった。
しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。
小国からやってきた王女を見下していた。
極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。
ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。
いや、侍女は『そこにある』のだという。
なにもかけられていないハンガーを指差して。
ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。
「へぇ、あぁそう」
夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。
今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

【完結】他人に優しい婚約者ですが、私だけ例外のようです
白草まる
恋愛
婚約者を放置してでも他人に優しく振る舞うダニーロ。
それを不満に思いつつも簡単には婚約関係を解消できず諦めかけていたマルレーネ。
二人が参加したパーティーで見知らぬ令嬢がマルレーネへと声をかけてきた。
「単刀直入に言います。ダニーロ様と別れてください」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる