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36話

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上に行けば行くほど、少しずつ寒さが増してきているような気がしますが、なんとか頂上に辿り着いた私とディーヴァンはすぐに洞窟の中に入りましたわ。

まぁ、一応この洞窟の中というのは、ディーヴァンの家族たちの住処なので、勝手に入っても良いのか、と一瞬躊躇しましたが、ディーヴァンに

「外で凍えたくないなら入っておけ」

と言われて、素直にお邪魔させてもらいましたわ。

元々、洞窟の中に入ることが出来るのか、とは思っていましたが、まさかこんなにあっさりと中に入れるとは.......想定外でしたわね。

そんなことを思いながら、洞窟の中を観察してみましたが.......

「思った以上に何もないんですのね」

そう言ってしまいましたわ。

だって、本当に何もない、と言いますか.......。

ここに住んでいるとは思えないくらいただの洞窟なんですのよね。

私の想像なんですが、寝やすい様に藁が敷いてあったりとか......ねぇ?

なんて思っていると、私の言葉にディーヴァンは

「まぁ、言ってしまえば寝るだけの場所だからな」

淡々とそう言いましたが

「ということは寝る時以外は基本的に外にいるって.......一体何をしていますの?」

あ、これは純粋に疑問ですわよ。

だって、ここは寝るための場所ということは普段は外にいたとしても、洞窟の外に何もないですし、言ってしまえばやることがないじゃないですか。

もし私がここに住んでいたら何をしているんだろう.....と想像してみましたが全く思いつかなかったんですのよね。

するとディーヴァンは私の質問に対して

「何をしているのか、って.......別に変ったことは何もしていないぞ?日光浴をしたり、食事をとりに行ったり」

そう言って竜の姿に戻りましたわね。

あら、思った以上に竜の姿に戻っても余裕がありますわ。

これなら確かに住処としては丁度いいですわね。

なんて思いながら、ディーヴァンの言葉に納得していると急に私たちの頭の中に

[誰.........?]

という女の子の声が聞こえてきましたわ。

これには驚いて

「な、なんですの!?」

と大きな声を出してしまいましたが、すぐにディーヴァンが

[大丈夫だ。この中にいる、という時点で俺の家族なのは確定しているんだからな]

そう言ってくれたので、安心しましましたわ。

まぁ、確かに竜の住処に勝手に入るような人は、この世に存在しませんわよね。

そう考えると大丈夫だとは思いますが、私が何よりも気になったことは

「え、えーっと.......声が凄く女の子の声でしたわよね?」

恐る恐るそう言いましたが、ディーヴァンはさも当然だと言わんばかりに

[あぁ、妹だからな]

とだけ言うと、ゆっくりと洞窟の奥の方へ行ってしまいましたわ。

え、えーっと........え?

いやいや、竜に女の子がいることも初めて聞きましたし、妹?

家族がいるとは聞いていましたし、いてもおかしくはないと思いますが、妹ですか?

衝撃的な事実に、動揺している私に対して、ディーヴァンは

[早く行くぞ]

とだけ言ってどんどん前に進んでいくので、私も背中を追いかけますが......ま、まぁ......なんだか頭が追い付いていませんわ。

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