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31話
しおりを挟むさて、ディーヴァンのツンデレ的な部分も見れた、ということで、とりあえずここにいても邪魔になるでしょうし、一旦王宮を後にしましょうか。
そう思った私は、ディーヴァンに合図を送って、ソファーから立ち上がりましたわ。
そして
「とりあえず、山の方に行ってきますわ。多分ですが、3時間ほどはかかると思うので、帰る前に王宮に寄って帰宅する、という流れになると思いますが、大丈夫でしょうか?」
と陛下に確認をすると
「あぁ、それでいい。だったら竜専用の入り口があるだろう?その部屋の中に置いておくから取ってすぐに帰宅、ということにしてもいいぞ」
と提案してくれましたわ。
確かに、門からこの部屋まで、って結構遠いんですのよね。
それに、陛下だって、国のトップですから暇な人ではありません。
私たちが戻ってきた時に、再び時間を作ってもらう、というのは申し訳ないですわ。
そう思った私は、ディーヴァンに視線で確認を取ると小さく頷いてくれたので
「では、そうさせてもらいますわ」
と微笑むと、陛下もニッコリと笑って頷いてくれましたわ。
相変わらず、といいますか、流石と言いますか、頭の回転が速いですわよね。
こんなにすぐ思いついて提案してくれるのはありがたいですわ。
なんて思っていると、今まで話を聞いていたカイロス様が急にバッと手を上げたかと思ったら
「父上、俺もガルファーと一緒に散歩に行ってきても良いですか?」
と陛下に確認を取っているではありませんか。
あ、ちなみに、察しているとは思いますがガルファーというのはカイロス様と契約をしている竜のことですわよ。
ディーヴァンとはまた違ったタイプの竜で、凄くカッコいいんです。
あぁ!もちろん一番カッコいいのはディーヴァンだと思っていますけどね!
そんなことを思いながら、チラッと陛下の方を見ると、カイロス様の質問に
「昨日頑張ってくれたからな。行ってきてもいいぞ」
と答えたのを見ると、昨日は何があったのかわかりませんが、相当頑張ったんでしょうね。
陛下が頑張った、とハッキリ評価しているんですから相当ですわよ。
そんな陛下の言葉に、カイロス様も本当に嬉しそうに
「よっし!」
と喜んでいますし。
まぁ.........昨日何があったのか少し気にはなりますが、他国の私が深く聞くようなことではありませんわね。
そう思った私は、とりあえずディーヴァンに
「ディーヴァン、久しぶりにガルファーと会って行く?」
と尋ねましたわ。
すると
「いや、どうせ飛んでいたら会うかもしれないんだ。わざわざ行く必要もないだろ」
そう言ったディーヴァンは素っ気なさそうに見えますが、会いたい気持ちはあるんでしょうね。
普段よりもソワソワしているような気がしますし、竜になるから関係ないのに前髪を整えていますわ。
そんなディーヴァンに
「それもそうですわね」
とだけ言って苦笑しましたが.....やっぱり私の契約している竜は可愛いと思いませんか?
凄く可愛いですわよね?
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