どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~

榎夜

文字の大きさ
上 下
13 / 88

12話

しおりを挟む
さて、メイドに手伝ってもらいながら無事に準備を終えた私は、すぐにお父様達の待つ執務室へと向かいましたわ。

本当は朝ご飯を食べてから、と言いたいところでしたが、どうやらそんな時間もなさそうですしね。

後からサンドイッチでも持ってきてもらおうかしら?

そんなことを思いながら、執務室の中に入りましたわ。

すると

「あぁ、やっと来たか」

「アリスティアも昨日は疲れただろうしね。もう少し時間がかかると思っていたよ」

「まぁ、まだ寝起きの顔をしているけどね」

お父様、お兄様、お母様の順でそう声をかけてきましたが、3人の表情はなんだか晴れやかですわね。

この表情.......

「もしかして、3人とも朝稽古をしてきましたの?」

羨ましさと、申し訳なさの半々でそう尋ねると、3人とも、口では言いませんでしたが、もちろん、とでも言っているかのように、顔を見合わせて笑っていましたわ。

えぇ.......だったら私のことも起こしてくれていいと思いません?

いくら昨日想定外な事があって疲れていたとしても、剣を振りたかったですわよ。

そう思いながら、お父様達を見ると私の言いたいことを察したのか、お兄様が

「まぁまぁ、話し合いが早く終わったら稽古に付き合うから」

と言ってくれましたわ。

これは嬉しい申し出ですわね。

最近、お兄様と手合わせをしていなかったですし.....。

そう思った私は、お兄様に

「約束ですわよ?」

というと、優しく微笑みながら頷いてくれましたわ。

まぁ、とりあえず稽古に関しては終わってしまったんですから仕方がありませんわよね。

今は話し合いの方に集中しましょう。

そう思いながらお父様を見ると、私の視線を合図に

「さて、じゃあとりあえず現状の確認からしてみようか」

と言って、お父様は机の上から数枚の紙を私たちの前に置きましたわ。

その紙には、お父様が元々考えていたこと、そして今の現状が物凄くわかりやすく書かれていて、昨日の今日で用意できるとは思えないほどしっかりとした文が書かれていますわ。

なので、思わず

「もしかして、昨日の夜にこれを書きましたの?」

と聞いてみましたわ。

だって、昨日の話し合い?が終わった時間も結構遅い時間でしたのよ?

お父様だってディーヴァンに乗っての移動とはいえ、相当疲れているはずなのに.......凄いとしか言えませんわ。

私の質問にお父様は苦笑しながら

「まぁ、手伝ってもらいながらだけどな」

とお母様を見ていますが、

「こういう作業が好きだから私は楽しかったですわよ」

そう言ったお母様は本当に楽しかったみたいで、うふふ、と優雅に笑っていますわね。

この様子を見ると、多分ほとんどお母様が考えて、お父様が字を書いた、という感じなんじゃないでしょうか?

ただ、それでも凄いのは変わらないので

「結構遅い時間だったと思いますが、凄いですわね.........」

と呟くと、私の言葉に

「父上って変なところで気合が入るんだよね」

お兄様はそう言って苦笑していますわ。

まぁ、言っていることは物凄くわかりますけどね。

そこもまた、お父様の良いところ、と思いましょう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。 サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後

柚木ゆず
恋愛
 ※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。  聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。  ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。  そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。  ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――

お飾り王妃は愛されたい

神崎葵
恋愛
誰も愛せないはずの男のもとに嫁いだはずなのに、彼は愛を得た。 私とは違う人との間に。 愛されたいと願ったお飾り王妃は自らの人生に終止符を打ち――次の瞬間、嫁ぐ直前で目を覚ました。

処理中です...