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11話
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そして次の日。
目が覚めた私は、思いっきり部屋のカーテンを開けて、外にいるディーヴァンの姿を確認しましたわ。
昨日はあの後、1時間ほどディーヴァンの背中に乗って夜の空を楽しみましたが、今日からまた面倒な話し合いが始まりますのよね。
はぁ.....ということはディーヴァンと話をする暇がなさそうですし、今日は稽古もお休みということになるんでしょうか?
そう思いながら、クローゼットの隣にある棚から剣を手に取りましたわ。
女なのに剣?と思うかもしれませんが、我が家は私が戦闘向き、お兄様が宰相向きと気付いてからそれぞれの得意分野を伸ばすことに決めましたのよね。
とはいえ、剣術が苦手なお兄様でも、王都に出てしまえばそこそこの腕前ですわよ?
ただ、辺境のような戦いの多い場所では気付いたら実力が上がっていきますのよね。
なんて思いながら、上から下へ剣を下ろしたときでしたわ。
コンコンを控えめなノックの後に
「お嬢様、旦那様達が既にお待ちですよ」
とメイドが部屋の中に入ってきましたが、それとほぼ同時に私が剣を下ろしてしまったので、本当に危ない状況になるところでしたわ。
この剣は切れ味もいいので、ヘタしたら首が切れてしまう可能性だってあります。
ですが、メイドはもう慣れてしまっているのか
「あ、タイミングが悪かったですね」
というだけで、驚くどころか怖がることもなくクローゼットの中から私のドレスを用意していますわね。
はぁ.....ここに来た当時は悲鳴を上げていたのに、慣れって怖いものですわね。
なんて思いながら、さっき振り下ろした剣を鞘の中に納めて
「あら、本当?ということは、やっぱり稽古は不参加ということかしら?」
と首を傾げましたわ。
すると
「そうですね........食事をしながら昨日の話の続きだ、とのことなので、そのまま話し合いになるかと」
無表情で淡々と言うメイドに
「やっぱりそうよねぇ.....」
と言いますが、全く反応がないので、少し寂しくなってきますわね。
まぁ、普段から私の専属メイドとしてよくやってくれているのはわかっているので、文句はありませんが....もう少し表情が豊かになって欲しいなぁ.....なんて希望はありますわよ。
そう思っている間にもメイドは私にドレスを着せて、メイクまで完璧に終わらせていますわ。
といっても、メイクに関しては得に何も付けていないので、リップだけなんですけどね。
淡々と髪の毛を編み込んでいくメイドに
「昨日も剣を振っていないから体が鈍ってしまいそうで怖いわ」
と言って苦笑すると
「ですが、お嬢様は辺境で男に勝るほどの腕前ではありませんか。そう簡単には落ちませんよ」
普通に聞くと嬉しい言葉ですが、感情がわからないのでどう反応していいのかわからず
「それは女だし、領主の娘だからって手加減をしている可能性だってあるじゃない。まぁ、そんなことをされたら速攻で半殺しだけど.......」
そう言うと、私の言葉に
「それがわかっていて手加減する人はもういませんよ」
メイドはそう言って苦笑したのが鏡越しに見えて、少し嬉しくなりましたわ。
目が覚めた私は、思いっきり部屋のカーテンを開けて、外にいるディーヴァンの姿を確認しましたわ。
昨日はあの後、1時間ほどディーヴァンの背中に乗って夜の空を楽しみましたが、今日からまた面倒な話し合いが始まりますのよね。
はぁ.....ということはディーヴァンと話をする暇がなさそうですし、今日は稽古もお休みということになるんでしょうか?
そう思いながら、クローゼットの隣にある棚から剣を手に取りましたわ。
女なのに剣?と思うかもしれませんが、我が家は私が戦闘向き、お兄様が宰相向きと気付いてからそれぞれの得意分野を伸ばすことに決めましたのよね。
とはいえ、剣術が苦手なお兄様でも、王都に出てしまえばそこそこの腕前ですわよ?
ただ、辺境のような戦いの多い場所では気付いたら実力が上がっていきますのよね。
なんて思いながら、上から下へ剣を下ろしたときでしたわ。
コンコンを控えめなノックの後に
「お嬢様、旦那様達が既にお待ちですよ」
とメイドが部屋の中に入ってきましたが、それとほぼ同時に私が剣を下ろしてしまったので、本当に危ない状況になるところでしたわ。
この剣は切れ味もいいので、ヘタしたら首が切れてしまう可能性だってあります。
ですが、メイドはもう慣れてしまっているのか
「あ、タイミングが悪かったですね」
というだけで、驚くどころか怖がることもなくクローゼットの中から私のドレスを用意していますわね。
はぁ.....ここに来た当時は悲鳴を上げていたのに、慣れって怖いものですわね。
なんて思いながら、さっき振り下ろした剣を鞘の中に納めて
「あら、本当?ということは、やっぱり稽古は不参加ということかしら?」
と首を傾げましたわ。
すると
「そうですね........食事をしながら昨日の話の続きだ、とのことなので、そのまま話し合いになるかと」
無表情で淡々と言うメイドに
「やっぱりそうよねぇ.....」
と言いますが、全く反応がないので、少し寂しくなってきますわね。
まぁ、普段から私の専属メイドとしてよくやってくれているのはわかっているので、文句はありませんが....もう少し表情が豊かになって欲しいなぁ.....なんて希望はありますわよ。
そう思っている間にもメイドは私にドレスを着せて、メイクまで完璧に終わらせていますわ。
といっても、メイクに関しては得に何も付けていないので、リップだけなんですけどね。
淡々と髪の毛を編み込んでいくメイドに
「昨日も剣を振っていないから体が鈍ってしまいそうで怖いわ」
と言って苦笑すると
「ですが、お嬢様は辺境で男に勝るほどの腕前ではありませんか。そう簡単には落ちませんよ」
普通に聞くと嬉しい言葉ですが、感情がわからないのでどう反応していいのかわからず
「それは女だし、領主の娘だからって手加減をしている可能性だってあるじゃない。まぁ、そんなことをされたら速攻で半殺しだけど.......」
そう言うと、私の言葉に
「それがわかっていて手加減する人はもういませんよ」
メイドはそう言って苦笑したのが鏡越しに見えて、少し嬉しくなりましたわ。
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