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9話
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とりあえず、今日の出来事は全て話し終わりましたし、私自身特に話すこともない、と思ったので
「着替えをしてきてもいいですか?」
と声をかけようと思ったんですが、
「はぁ.....だからこの国の王太子なんかとの結婚は辞めた方がよかったんだ。そもそも王に相応しくない人が陛下をやっている時点で見限った方が正解なんだよ」
というお兄様の言葉で、ピタッと動きを止めましたわ。
王に相応しくない陛下.....?
言い方的に、それは現陛下のことを言っていますのよね?
ですが、陛下は国民からも好かれていますし、貴族達からの評価も高いはずですわよね?
そう考えると、子育ては失敗してしまいましたが、王としては悪くないと思っていますわ。
あ、とはいえ、完璧という訳でもないので、悪くない、なんて中途半端なフォローになってしまうのは申し訳ないですけどね。
だって、陛下にしっかりと決めて欲しいような内容でも、とりあえず周りの信用できる人に確認することが多いんですもの。
まぁ、それが周りのことも考えているからだ、と言ってしまえばいいのかもしれませんが。
ただお兄様の、見限る、というの何を意味するのかわからないんですのよね。
これは国を見限る、ということで合っているんでしょうか?
それに、お父様もお兄様の言葉に
「そうは言ってもなぁ.......先々代の遺言を聞いたら仕方がなかっただろう?」
と苦笑しながら言っているのを見ると、そうだとしか考えられないような気がします。
先々代の遺言?というものの存在は知っていますが、内容は聞いたことがありませんのよね。
一体何が書かれていたのか........。
なんて思っていると、話を聞いていたお母様は真剣な顔をしているお父様とお兄様に
「うーん......とにかく、独立のタイミングは悩んでいたところだったし丁度良かった、と思うしかないんじゃないかしら?」
キョトンとした顔をして明るくそう言いましたわね。
なんだか重たい空気になっていましたが、このお母様の言葉で一気に柔らかくなりましたわ。
そんなお母様の言葉に
「それもそうだな!」
とお父様は満面の笑みで頷いていますわね。
一方、お兄様は
「はぁ......お父様もお母様も簡単に考えすぎなんですよ」
と苦笑していますけど。
まぁ、確かに随分と前から独立について話は上がっていましたのよね。
ただ、私の婚約のせいでなかなか動けなかった、といいますか.....。
そもそも、この婚約自体が我が家を国に留めておくための婚約ですからね。
はぁ....それほどまでに陛下は必死だった、ということなんですが、私からすると無駄な時間でしかありませんでしたわね。
なんて思っていると
「とりあえず、今日はお父様もアリスティアも疲れてるでしょうし休みましょう。それで明日、皆で今後の話をして、独立するのか......それとも国に留まるのか、も決めたらいいと思います」
お兄様はそう言うと、視線でお父様にそれでいいか確認をしていますわね。
とりあえず、私としてはあのバカ王子と婚約破棄することが出来た、ということを喜びましょう。
「着替えをしてきてもいいですか?」
と声をかけようと思ったんですが、
「はぁ.....だからこの国の王太子なんかとの結婚は辞めた方がよかったんだ。そもそも王に相応しくない人が陛下をやっている時点で見限った方が正解なんだよ」
というお兄様の言葉で、ピタッと動きを止めましたわ。
王に相応しくない陛下.....?
言い方的に、それは現陛下のことを言っていますのよね?
ですが、陛下は国民からも好かれていますし、貴族達からの評価も高いはずですわよね?
そう考えると、子育ては失敗してしまいましたが、王としては悪くないと思っていますわ。
あ、とはいえ、完璧という訳でもないので、悪くない、なんて中途半端なフォローになってしまうのは申し訳ないですけどね。
だって、陛下にしっかりと決めて欲しいような内容でも、とりあえず周りの信用できる人に確認することが多いんですもの。
まぁ、それが周りのことも考えているからだ、と言ってしまえばいいのかもしれませんが。
ただお兄様の、見限る、というの何を意味するのかわからないんですのよね。
これは国を見限る、ということで合っているんでしょうか?
それに、お父様もお兄様の言葉に
「そうは言ってもなぁ.......先々代の遺言を聞いたら仕方がなかっただろう?」
と苦笑しながら言っているのを見ると、そうだとしか考えられないような気がします。
先々代の遺言?というものの存在は知っていますが、内容は聞いたことがありませんのよね。
一体何が書かれていたのか........。
なんて思っていると、話を聞いていたお母様は真剣な顔をしているお父様とお兄様に
「うーん......とにかく、独立のタイミングは悩んでいたところだったし丁度良かった、と思うしかないんじゃないかしら?」
キョトンとした顔をして明るくそう言いましたわね。
なんだか重たい空気になっていましたが、このお母様の言葉で一気に柔らかくなりましたわ。
そんなお母様の言葉に
「それもそうだな!」
とお父様は満面の笑みで頷いていますわね。
一方、お兄様は
「はぁ......お父様もお母様も簡単に考えすぎなんですよ」
と苦笑していますけど。
まぁ、確かに随分と前から独立について話は上がっていましたのよね。
ただ、私の婚約のせいでなかなか動けなかった、といいますか.....。
そもそも、この婚約自体が我が家を国に留めておくための婚約ですからね。
はぁ....それほどまでに陛下は必死だった、ということなんですが、私からすると無駄な時間でしかありませんでしたわね。
なんて思っていると
「とりあえず、今日はお父様もアリスティアも疲れてるでしょうし休みましょう。それで明日、皆で今後の話をして、独立するのか......それとも国に留まるのか、も決めたらいいと思います」
お兄様はそう言うと、視線でお父様にそれでいいか確認をしていますわね。
とりあえず、私としてはあのバカ王子と婚約破棄することが出来た、ということを喜びましょう。
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