7 / 88
6話 フレグリッドside
しおりを挟む
俺たちが会場から追い出される寸前で、父上が
「パーティーは中止とさせてもらう!愚息たちのせいで、皆にも迷惑をかけてすまない」
と言う声が聞こえてきた。
正直、なぜアリスティア達が居なくなっただけでパーティーが中止されるまでのことになるんだ?
しかも、俺にはベネッサと言う王妃に相応しい令嬢がいるにも関わらず、だぞ?
そう思っている間にも、俺以外の取り巻きたちは兵士によって、それぞれ乗ってきた馬車の中に押し込まれていく。
そんな中、俺自身も兵士にしっかりと捕まっているせいで自由に身動きが取れない状況だし...........ベネッサ....そうだ!ベネッサはどこにいるんだ!?
キョロキョロと辺りを見渡したけど、ベネッサの姿はどこにも見当たらない。
俺の近くにいるのは兵士と、さっきまで一緒にいた取り巻きの半分くらいだ。
つまり、取り巻きの半数とベネッサは違うところに連れていかれた、ということだが......。
いや.....そうか、ここは伯爵以上の人が馬車を止めているところだから、男爵令嬢のベネッサはここに来れるわけがないのか。
くそっ......どうにかしてベネッサだけは助けてやろうと思ったのに.....。
なんて思っていると
「殿下も行きますよ」
と兵士に冷たくそう言われて、引きずられるようにその場を後にした。
行きますよ、と言われても、俺はどこに連れていかれるんだ?
この方向は自室ではないんだが......。
戸惑いながらも、兵士達に連れて来られたところは父上の執務室だった。
確かにパーティーが中止になったから、戻ってきているとは思うが.....それでも、あの状況の父上と何も話すことなんてないぞ?
会場で見た父上のことを思い出すと、連れて来られたものの会話になるのか?と疑問に思ってしまう。
何より、父上が連れてくるように、と指示したのかすらも怪しいよな。
なんて思いながら執務室の中に放り込まれるように入ると、そこにはさっきまでの虚ろな目をした父上の姿はすでになく、普段通りの威厳のある父上に戻っていた。
この短期間でのあまりの変わりように、少し戸惑いはするが、なんとか父上に
「一体なんの用事でしょうか?」
と質問をすると、俺の言葉に対して父上は
「何の用事だと.......?貴様の婚約の話に決まっているではないか!」
そう言うと、まるで憎い奴でも見る様な...そんな鋭い視線を向けてきた。
当然だが、こんな視線を父上から送られたことなんてないし、そもそも俺がしたことがそこまで悪いことだとも思っていない。
だって、アリスティアなんかよりもベネッサの方が王妃に相応しいからな!
強いて言うなら竜騎士を手放した、ということに悔いているくらいだ。
そう思った俺は、父上に
「な、なぜ辺境に住むような田舎者との婚約破棄にそこまで怒っているんですか?あ、もしかして竜騎士だから手放すのが惜しい、とかそういう理由ですか?」
ハッキリと思ったことをそのまま聞いてみることにした。
というもの、本当に起こっている理由がわからないしな。
そもそも、父上がこれほどまでにアリスティアとの婚約を大事に思っているなんて知らなかった。
なんて思っていると、俺の言葉に父上は大きなため息をついてこう言ってきた。
「パーティーは中止とさせてもらう!愚息たちのせいで、皆にも迷惑をかけてすまない」
と言う声が聞こえてきた。
正直、なぜアリスティア達が居なくなっただけでパーティーが中止されるまでのことになるんだ?
しかも、俺にはベネッサと言う王妃に相応しい令嬢がいるにも関わらず、だぞ?
そう思っている間にも、俺以外の取り巻きたちは兵士によって、それぞれ乗ってきた馬車の中に押し込まれていく。
そんな中、俺自身も兵士にしっかりと捕まっているせいで自由に身動きが取れない状況だし...........ベネッサ....そうだ!ベネッサはどこにいるんだ!?
キョロキョロと辺りを見渡したけど、ベネッサの姿はどこにも見当たらない。
俺の近くにいるのは兵士と、さっきまで一緒にいた取り巻きの半分くらいだ。
つまり、取り巻きの半数とベネッサは違うところに連れていかれた、ということだが......。
いや.....そうか、ここは伯爵以上の人が馬車を止めているところだから、男爵令嬢のベネッサはここに来れるわけがないのか。
くそっ......どうにかしてベネッサだけは助けてやろうと思ったのに.....。
なんて思っていると
「殿下も行きますよ」
と兵士に冷たくそう言われて、引きずられるようにその場を後にした。
行きますよ、と言われても、俺はどこに連れていかれるんだ?
この方向は自室ではないんだが......。
戸惑いながらも、兵士達に連れて来られたところは父上の執務室だった。
確かにパーティーが中止になったから、戻ってきているとは思うが.....それでも、あの状況の父上と何も話すことなんてないぞ?
会場で見た父上のことを思い出すと、連れて来られたものの会話になるのか?と疑問に思ってしまう。
何より、父上が連れてくるように、と指示したのかすらも怪しいよな。
なんて思いながら執務室の中に放り込まれるように入ると、そこにはさっきまでの虚ろな目をした父上の姿はすでになく、普段通りの威厳のある父上に戻っていた。
この短期間でのあまりの変わりように、少し戸惑いはするが、なんとか父上に
「一体なんの用事でしょうか?」
と質問をすると、俺の言葉に対して父上は
「何の用事だと.......?貴様の婚約の話に決まっているではないか!」
そう言うと、まるで憎い奴でも見る様な...そんな鋭い視線を向けてきた。
当然だが、こんな視線を父上から送られたことなんてないし、そもそも俺がしたことがそこまで悪いことだとも思っていない。
だって、アリスティアなんかよりもベネッサの方が王妃に相応しいからな!
強いて言うなら竜騎士を手放した、ということに悔いているくらいだ。
そう思った俺は、父上に
「な、なぜ辺境に住むような田舎者との婚約破棄にそこまで怒っているんですか?あ、もしかして竜騎士だから手放すのが惜しい、とかそういう理由ですか?」
ハッキリと思ったことをそのまま聞いてみることにした。
というもの、本当に起こっている理由がわからないしな。
そもそも、父上がこれほどまでにアリスティアとの婚約を大事に思っているなんて知らなかった。
なんて思っていると、俺の言葉に父上は大きなため息をついてこう言ってきた。
56
お気に入りに追加
3,340
あなたにおすすめの小説

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

その言葉はそのまま返されたもの
基本二度寝
恋愛
己の人生は既に決まっている。
親の望む令嬢を伴侶に迎え、子を成し、後継者を育てる。
ただそれだけのつまらぬ人生。
ならば、結婚までは好きに過ごしていいだろう?と、思った。
侯爵子息アリストには幼馴染がいる。
幼馴染が、出産に耐えられるほど身体が丈夫であったならアリストは彼女を伴侶にしたかった。
可愛らしく、淑やかな幼馴染が愛おしい。
それが叶うなら子がなくても、と思うのだが、父はそれを認めない。
父の選んだ伯爵令嬢が婚約者になった。
幼馴染のような愛らしさも、優しさもない。
平凡な容姿。口うるさい貴族令嬢。
うんざりだ。
幼馴染はずっと屋敷の中で育てられた為、外の事を知らない。
彼女のために、華やかな舞踏会を見せたかった。
比較的若い者があつまるような、気楽なものならば、多少の粗相も多目に見てもらえるだろう。
アリストは幼馴染のテイラーに己の色のドレスを贈り夜会に出席した。
まさか、自分のエスコートもなしにアリストの婚約者が参加しているとは露ほどにも思わず…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる