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331話
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叔父様のことを話題に出したのはユーリですが、2週間前のことに相当腹を立てているのか、怒っているようにも見えますわ。
まぁ、あれだけ自分勝手なことを言って、自分勝手な行動をしていましたからね。
あの様子だとそう簡単に諦めて平民に、という考えにはならないと思っていますわ。
ただ、私の方には何も情報が入ってきていませんし、実際何も被害にあっていないので
「どうなのかしら?カイン様からは何も言われていないけど.........」
首を傾げながらそう言うと
「もしかして、離婚したのに子爵家に戻った、とかじゃないですよね?」
とユーリは苦笑しながらそう言ってきましたわ。
正直、私としてはここの領地内でウロウロされるよりも、子爵家に戻っていてくれた方がありがたい、というのが本音ですわ。
どうせあの2人では領地経営なんて出来ないでしょうし、叔父様だって住むところが確保出来るんですしね。
ただ、そんな簡単な話でもないだろう、と思った私はユーリの言葉に
「流石にそんなことは出来ないと思うけど........」
苦笑しながらそう言いましたわ。
そもそも、プライドだけは立派なあの人たちは自分が折れて頭を下げる、なんてこと出来ないでしょう。
きっと、あの2人は領地経営も出来ずに慌てていて、叔父様の方は住むところがない、と外で暮らしているんでしょうね。
そう思いながらユーリが用意してくれたお茶を飲んでいると、急に廊下の方からバタバタと慌てた足音が聞こえてきましたわ。
廊下を走って移動なんて珍しいですわね。
何か問題でもあったんでしょうか?
不安そうに扉をじっと見つめるユーリを眺めながらお茶を飲んでいると、足音がどんどん近くなってきて
「お嬢様!ダレス様が......!」
バンッという扉の音と共に息を切らしたメイド長がそう言って執務室の中に入ってきましたわ。
メイド長いわく、叔父様は急にふらっと現れて、門番を相手に私を出せ、と騒いでいるみたいですが........
「噂をしたら何とやら....というやつかしら?」
たった今、叔父様のことを話していた、ということもあって、思わずそう呟いてしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に
「それって私があの人の話題を出したせいですよね。なんだかすみません」
とユーリが申し訳なさそうに頭を下げたので
「そろそろ来る頃だとは思っていたわ。だからユーリのせいじゃないわよ」
とは言ったものの、上手く笑うことが出来ず頬が引きつってしまいましたわ。
はぁ......2週間も来なかったので、諦めたんだと思いたかったですが、やはりそう簡単にはいきませんわよね。
カイン様たちに相談したので、何か対応をしてくれた、とも思いましたが......来てしまったものは仕方がありませんわ。
そう思いながら心配そうな顔をして私のことを見ているメイド長に
「準備をしてから直ぐに向かいますわ。絶対にお屋敷の中には入れないでちょうだい」
椅子から立ち上がってそう言うと、メイド長は
「かしこまりました」
と深々と頭を下げて部屋を後にしましたわ。
まだ切れた息は整えられていなかったので、休憩でも.....と思いましたが、引き止める暇もありませんでしたわね。
それだけ急いでいる、ということなんでしょうけど。
まぁ、あれだけ自分勝手なことを言って、自分勝手な行動をしていましたからね。
あの様子だとそう簡単に諦めて平民に、という考えにはならないと思っていますわ。
ただ、私の方には何も情報が入ってきていませんし、実際何も被害にあっていないので
「どうなのかしら?カイン様からは何も言われていないけど.........」
首を傾げながらそう言うと
「もしかして、離婚したのに子爵家に戻った、とかじゃないですよね?」
とユーリは苦笑しながらそう言ってきましたわ。
正直、私としてはここの領地内でウロウロされるよりも、子爵家に戻っていてくれた方がありがたい、というのが本音ですわ。
どうせあの2人では領地経営なんて出来ないでしょうし、叔父様だって住むところが確保出来るんですしね。
ただ、そんな簡単な話でもないだろう、と思った私はユーリの言葉に
「流石にそんなことは出来ないと思うけど........」
苦笑しながらそう言いましたわ。
そもそも、プライドだけは立派なあの人たちは自分が折れて頭を下げる、なんてこと出来ないでしょう。
きっと、あの2人は領地経営も出来ずに慌てていて、叔父様の方は住むところがない、と外で暮らしているんでしょうね。
そう思いながらユーリが用意してくれたお茶を飲んでいると、急に廊下の方からバタバタと慌てた足音が聞こえてきましたわ。
廊下を走って移動なんて珍しいですわね。
何か問題でもあったんでしょうか?
不安そうに扉をじっと見つめるユーリを眺めながらお茶を飲んでいると、足音がどんどん近くなってきて
「お嬢様!ダレス様が......!」
バンッという扉の音と共に息を切らしたメイド長がそう言って執務室の中に入ってきましたわ。
メイド長いわく、叔父様は急にふらっと現れて、門番を相手に私を出せ、と騒いでいるみたいですが........
「噂をしたら何とやら....というやつかしら?」
たった今、叔父様のことを話していた、ということもあって、思わずそう呟いてしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に
「それって私があの人の話題を出したせいですよね。なんだかすみません」
とユーリが申し訳なさそうに頭を下げたので
「そろそろ来る頃だとは思っていたわ。だからユーリのせいじゃないわよ」
とは言ったものの、上手く笑うことが出来ず頬が引きつってしまいましたわ。
はぁ......2週間も来なかったので、諦めたんだと思いたかったですが、やはりそう簡単にはいきませんわよね。
カイン様たちに相談したので、何か対応をしてくれた、とも思いましたが......来てしまったものは仕方がありませんわ。
そう思いながら心配そうな顔をして私のことを見ているメイド長に
「準備をしてから直ぐに向かいますわ。絶対にお屋敷の中には入れないでちょうだい」
椅子から立ち上がってそう言うと、メイド長は
「かしこまりました」
と深々と頭を下げて部屋を後にしましたわ。
まだ切れた息は整えられていなかったので、休憩でも.....と思いましたが、引き止める暇もありませんでしたわね。
それだけ急いでいる、ということなんでしょうけど。
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