上 下
330 / 344

330話

しおりを挟む
カイン様とエリザベート様に叔父様のことを相談して、2週間が経ちましたわ。

あと約1ヶ月で卒業と考えると、なんだか感慨深いものがありますわよね。

まぁ、そうは言いつつも学園でこれといった思い出があるわけでもありませんけど。

そんなことを思いながら、学園もお休みなので溜まった仕事を片付けていますわ。

うーん.....こうやって学園が休みの日に仕事を片付けるのもあと僅かですのよね。

最初の頃は覚えることもやることも多くて大変でしたが、今では1週間分の仕事を2日でこなせるくらいになってしまいましたわ。

仕事だけをするようになってしまったら時間を持て余してしまうんじゃないでしょうか?

そんなことを思いながらひと段落したので、椅子に座ったまま大きく伸びをしていると、コンコンという控えめなノックの後に

「レオンハルト様から手紙が届いていますよ」

と言ってユーリが執務室の中に入ってきましたわ。

レオンハルト様とは会うことはありませんが近況報告のやり取りで週に3回ほど手紙のやり取りをしていますのよね。

普通ならそんなに沢山手紙のやり取りをすると話題がなくなるものですが、今でも話が尽きることがなくて私の楽しみでもありますわ。

「ありがとう」

と言ってユーリから手紙を受け取った私は早速レオンハルト様からの手紙を読みましたが、今回の手紙はどうやら嬉しい報告ばかりで思わず頬が緩んでしまいましたわ。

するとユーリはそんな私を見て

「なんて書いてたんですか?」

と聞いてきたので

「どうやらユーティン様の件があってから、レオンハルト様に言い寄ってくる令嬢は一気に減ったみたいですわね」

嘘をつくことなく、素直に書いてあることをそのまま伝えると

「それは良かったですね!」

とユーリは自分の事のように喜んでくれましたわ。

そんなユーリの言葉に頷いた後に

「卒業式が終わり次第、そのままこちらに向かう、と書いているわ」

そう言って手紙をそっと封筒の中にしまいました。

卒業式の後にそのまま来る、ですか......。

隣国の卒業式は1週間くらい早く行われる、と手紙に書いてあったので、私が卒業する前にはお屋敷に到着しそうですわね。

メイド長達にも伝えておかないと、ですわ。

そう思いながら、レオンハルト様の手紙を引き出しの中にしまうと、何やら視線を感じた私はユーリの方に視線を向けましたわ。

すると、なぜかユーリは生暖かい目で私のことを見ていて、思わず

「な、なんですの?その顔は」

と言ってしまいましたわよ。

だって、なんと言いますか......表現しずらい顔をしていたんですもの。

こんな顔のユーリは初めて見るので、こう言ってしまうのはユーリに悪いですが気味が悪いですわ。

そんな私の気持ちを察したのか、

「いえ、別になんでもありませんよ」

とユーリは飄々とした態度でそう言いましたが、何もない訳がないので

「な、なんだか怖いですわね」

苦笑しながらそう言うと

「それより、ここ最近姿を見せないということはあの人も諦めてくれたということでしょうか?」

ユーリは話を逸らすかのようにそう言ってきましたわね。

まぁ、ユーリの言う通りここ最近あの人....叔父様の姿を見かけることがありませんし、お屋敷の方に押しかけてくる、なんてこともないので平和に過ごしていますが、やっぱり気にはなりますわ。

だって、叔父様の件に関しては何も解決していませんからね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。ありがとうございます。

黒田悠月
恋愛
結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。 とっても嬉しいです。ありがとうございます!

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

金の亡者は出て行けって、良いですけど私の物は全部持っていきますよ?え?国の財産がなくなる?それ元々私の物なんですが。

銀杏鹿
恋愛
「出て行けスミス!お前のような金のことにしか興味のない女はもううんざりだ!」  私、エヴァ・スミスはある日突然婚約者のモーケンにそう言い渡された。 「貴女のような金の亡者はこの国の恥です!」  とかいう清廉な聖女サマが新しいお相手なら、まあ仕方ないので出ていくことにしました。  なので、私の財産を全て持っていこうと思うのです。  え?どのくらいあるかって?  ──この国の全てです。この国の破綻した財政は全て私の個人資産で賄っていたので、彼らの着てる服、王宮のものも、教会のものも、所有権は私にあります。貸していただけです。  とまあ、資産を持ってさっさと国を出て海を渡ると、なんと結婚相手を探している五人の王子から求婚されてしまいました。  しきたりで、いち早く相応しい花嫁を捕まえたものが皇帝になるそうで。それで、私に。  将来のリスクと今後のキャリアを考えても、帝国の王宮は魅力的……なのですが。  どうやら五人のお相手は女性を殆ど相手したことないらしく……一体どう出てくるのか、全く予想がつきません。  私自身経験豊富というわけでもないのですが、まあ、お手並み拝見といきましょうか?  あ、なんか元いた王国は大変なことなってるらしいです、頑張って下さい。 ◆◆◆◆◆◆◆◆ 需要が有れば続きます。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))  書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜
恋愛
「貧乏令嬢となんて誰が結婚するんだよ!」 そう言っていましたが、隣に他の令嬢を連れている時点でおかしいですわよね? まぁ、私は貴方が居なくなったところで困りませんが.......貴方はどうなんでしょうね?

7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。

なーさ
恋愛
7年前に隣国との交換留学に行った6歳下の婚約者ラドルフ。その婚約者で王城で侍女をしながら領地の運営もする貧乏令嬢ジューン。 7年ぶりにラドルフが帰国するがジューンは現れない。それもそのはず2年前にラドルフとジューンは婚約破棄しているからだ。そのことを知らないラドルフはジューンの家を訪ねる。しかしジューンはいない。後日王城で会った二人だったがラドルフは再会を喜ぶもジューンは喜べない。なぜなら王妃にラドルフと話すなと言われているからだ。わざと突き放すような言い方をしてその場を去ったジューン。そしてラドルフは7年ぶりに帰った実家で婚約破棄したことを知る。  溺愛したい美貌の年下騎士と弟としか見ていない年上令嬢。二人のじれじれラブストーリー!

婚約破棄って、貴方誰ですか?

やノゆ
恋愛
ーーーその優秀さを認められ、隣国への特別留学生として名門魔法学校に出向く事になった、パール・カクルックは、学園で行われた歓迎パーティーで突然婚約破棄を言い渡される。 何故かドヤ顔のその男のとなりには、同じく勝ち誇ったような顔の少女がいて、パールは思わず口にした。 「いや、婚約破棄って、貴方誰ですか?」

処理中です...