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316話

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私とエリザベート様、カイン様の3人で教員室の中に入ると、意外な組み合わせだからか教員室にいた先生のほとんどが驚いた顔をして私たちのことを見ていましたわ。

その中で、私たちのクラスの担任だけは私とカイン様達の関係を知っているからか、私の姿を見た瞬間何かを察してくれたみたいですけどね。

作業していた手を止めて、私たちが前に来るのを待っていてくれている、というのが伝わってきましたわ。

クラス担任の先生は男性の方なんですが、穏やかで優しく、我が家の現状を理解してくれて私のことを気にかけてくれていました。

それなのに、何も相談せず勝手に隣国に行った私に対して先生は怒ることなく

「セリスティアさん、無事に戻ってきたんですね」

と優しく微笑んでくれましたわ。

そんな先生の優しさが嬉しくなったと同時に、何も言わなかったことが申し訳なく思えて

「先生に何の相談も報告もなく長期間休んでしまって申し訳ありません」

そう言って頭を下げました。

あぁ、ちなみにカイン様とエリザベート様は私と先生から少し離れたところで待っていてくれていますわよ。

まぁ、本当は教員室の中にも入って来なくて良かったんですけどね。

少し離れて待つくらいなら外で待っていた方が良いと思いますが.......。

そんなことを思いながら、先生の言葉を待っている私に

「仕方がありませんよ。あの時は色んなことが重なっていましたし、カインさんとエリザベートさんの2人には話をしていてくれたので」

先生はそう言うと、カイン様達の方にチラッと視線を向けましたわ。

それにしても.......やっぱりカイン様達のことをさん付けで呼んでいるのは聞き慣れないものですわね。

学園の先生たちは教員と生徒という立場だから様を付けないのはわかっていますが、違和感がありますわ。

なんて思っていると、先生はさっきの言葉に続けるように

「元々セリスティアさんは成績も優秀で学園で習うべきことは何もありませんでしたしね。課題を出しても意味がないようなものでしたし、課題で無駄な時間を使うより断然良かったと思いますよ」

と言いましたが、嫌味やお世辞などで言っているわけではなく本当にそう思ってくれている、というのが伝わってきましたわ。

だって、言っている時の顔が少し寂しそうなんですもの。

確かに学園で出される課題は私にとって簡単ですし、問題集を出されても30分もかかりませんわ。

多分ですが、カイン様やエリザベート様もそれは同じのはずです。

ですが、だからといって私以外の人達がしっかりと学園に来て

「ですが、学園を休んでいたのは変わりありませんわ。私が休んでいた間の課題はしっかりとやらせてください」

「相変わらず真面目ですね」

というと、まるで私がそう返事するのがわかっていたかのように机の引き出しの中から分厚い封筒を取り出しましたわ。

封筒の端の方に『セリスティアさん』と書かれているのを見ると、きっと私の為にまとめておいてくれたんでしょう。

その証拠に、先生はその封筒ごと私に差し出して

「これに課題が入っていますよ。持ってきてくれたらいつでも採点するのでゆっくりと解いて大丈夫です」

と言ってくれましたもの。

採点は諦めていた私からすると、感謝しかありませんわ。
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