313 / 344
313話
しおりを挟む
2人にはとても感謝をしていますが......どうしても、この重たい空気に慣れない私は、話を逸らすかのように
「そ、そういえば、カイン様の言う嫌な奴とは一体誰のことを言っていますの?学園に私と話すような人も居ませんし、全く思い当たりませんわよ?」
と首を傾げながらそう尋ねましたわ。
あまりにもあからさまに話を逸らしたので、頭のいい2人は気付いたでしょうね。
それに、自分でもわかってしまうくらい顔が引きつっていたはずですし。
ただ、2人は私がこの話題を終わらせたい、と思っていることをわかってくれたんでしょうね。
本来ならもっと色んなことを聞きたいはずなのに
「確かに特別仲がいい人はいないかもしれないが、1人厄介な奴がいるだろう」
と私の話題に乗っかってくれましたわ。
それにしても、厄介な人ですか......。
他の人とは関わることがなさ過ぎて、全く思いつきませんわ。
今だって厄介な人で思い浮かんできたのは隣国のカティ様のことでしたし......。
そういえば、帰国してから忙しすぎてレオンハルト様と伯父様たちに手紙を出していませんでしたわね。
流石に今日出さないと心配をかけてしまうかもしれませんわ。
なんて全く関係のないことを考えていると、カイン様もエリザベート様も、本当に私が誰のことを言っているのか理解出来ていないことをわかってくれたんでしょう。
「デール様のことですわよ」
と苦笑しながら教えてくれましたわ。
デール様.......あぁ!デール様のことですのね。
短い間でも一応婚約していたのに、色々なことがありすぎてすっかり頭から抜けていましたわ。
なんて思っていると、エリザベート様はそんな私を見て
「もしかして、忘れていましたの?」
驚き半分、呆れ半分、というような感じで質問してきたので、咄嗟に
「い、いや....忘れていたというより、記憶から排除していたといいますか......」
と言ってしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に流石のカイン様も
「それを忘れていたというんだよ」
苦笑しながらそう言いましたわね。
ただ、まさか私が忘れているとは思ってもいなかったのか、驚いてはいましたけどね。
私自身、帰国する前?までは頭の片隅辺りにではありますがデール様のことを覚えていたんですけどね。
きっと、そんなことを気にする余裕がないくらいのことが起こったせいでしょう。
そう思いながら、苦笑している2人に
「正直、デール様のことに関してはあまりいい思い出がありませんし、新しく婚約者がいるので出来る限り話しかけてこないで欲しい、というのが本音ですわね」
と私の素直な気持ちを伝えると、2人は一瞬だけ顔を見合わせた後に真剣な顔をしながら
「ここ最近、何があったのか知らないが大人しくはなっているんだけど、セリスティア嬢の姿を見て何もしない、とは断言が出来ないからな」
「噂ではデール様のお兄様が心を入れ替えるよう説得した、とのことでしたが、セリスティア様が隣国に行ったとき、あまりにも騒ぎすぎて今は皆から距離を置かれていますの」
とそれぞれ言いましたわ。
既に婚約者ではないのでデール様がどうなっていても関係がありませんが、私のせいで孤立してしまった、ということに関してだけは少し申し訳なく思えますわ。
ただ、距離を置かれてしまう程だなんて、相当ですわよね。
「そ、そういえば、カイン様の言う嫌な奴とは一体誰のことを言っていますの?学園に私と話すような人も居ませんし、全く思い当たりませんわよ?」
と首を傾げながらそう尋ねましたわ。
あまりにもあからさまに話を逸らしたので、頭のいい2人は気付いたでしょうね。
それに、自分でもわかってしまうくらい顔が引きつっていたはずですし。
ただ、2人は私がこの話題を終わらせたい、と思っていることをわかってくれたんでしょうね。
本来ならもっと色んなことを聞きたいはずなのに
「確かに特別仲がいい人はいないかもしれないが、1人厄介な奴がいるだろう」
と私の話題に乗っかってくれましたわ。
それにしても、厄介な人ですか......。
他の人とは関わることがなさ過ぎて、全く思いつきませんわ。
今だって厄介な人で思い浮かんできたのは隣国のカティ様のことでしたし......。
そういえば、帰国してから忙しすぎてレオンハルト様と伯父様たちに手紙を出していませんでしたわね。
流石に今日出さないと心配をかけてしまうかもしれませんわ。
なんて全く関係のないことを考えていると、カイン様もエリザベート様も、本当に私が誰のことを言っているのか理解出来ていないことをわかってくれたんでしょう。
「デール様のことですわよ」
と苦笑しながら教えてくれましたわ。
デール様.......あぁ!デール様のことですのね。
短い間でも一応婚約していたのに、色々なことがありすぎてすっかり頭から抜けていましたわ。
なんて思っていると、エリザベート様はそんな私を見て
「もしかして、忘れていましたの?」
驚き半分、呆れ半分、というような感じで質問してきたので、咄嗟に
「い、いや....忘れていたというより、記憶から排除していたといいますか......」
と言ってしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に流石のカイン様も
「それを忘れていたというんだよ」
苦笑しながらそう言いましたわね。
ただ、まさか私が忘れているとは思ってもいなかったのか、驚いてはいましたけどね。
私自身、帰国する前?までは頭の片隅辺りにではありますがデール様のことを覚えていたんですけどね。
きっと、そんなことを気にする余裕がないくらいのことが起こったせいでしょう。
そう思いながら、苦笑している2人に
「正直、デール様のことに関してはあまりいい思い出がありませんし、新しく婚約者がいるので出来る限り話しかけてこないで欲しい、というのが本音ですわね」
と私の素直な気持ちを伝えると、2人は一瞬だけ顔を見合わせた後に真剣な顔をしながら
「ここ最近、何があったのか知らないが大人しくはなっているんだけど、セリスティア嬢の姿を見て何もしない、とは断言が出来ないからな」
「噂ではデール様のお兄様が心を入れ替えるよう説得した、とのことでしたが、セリスティア様が隣国に行ったとき、あまりにも騒ぎすぎて今は皆から距離を置かれていますの」
とそれぞれ言いましたわ。
既に婚約者ではないのでデール様がどうなっていても関係がありませんが、私のせいで孤立してしまった、ということに関してだけは少し申し訳なく思えますわ。
ただ、距離を置かれてしまう程だなんて、相当ですわよね。
21
お気に入りに追加
4,231
あなたにおすすめの小説

この国では魔力を譲渡できる
ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」
無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。
五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――

美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛
らがまふぃん
恋愛
人の心を持たない美しく残酷な公爵令息エリアスト。学園祭で伯爵令嬢アリスと出会ったことから、エリアストの世界は変わっていく。 ※残酷な表現があります。苦手な方はご遠慮ください。ご都合主義です。笑ってご容赦くださいませ。 *R5.1/28本編完結しました。数話お届けいたしました番外編、R5.2/9に最終話投稿いたしました。時々思い出してまた読んでくださると嬉しいです。ありがとうございました。 たくさんのお気に入り登録、エール、ありがとうございます!とても励みになります!これからもがんばって参ります! ※R5.6/1続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛 投稿いたしました。再度読み返してくださっている方、新たに読み始めてくださった方、すべての方に感謝申し上げます。これからもよろしくお願い申し上げます。 ※R5.7/24お気に入り登録200突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R5.10/29らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R5.11/12お気に入り登録300突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R6.1/27こちらの作品と、続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れる程の愛(前作) の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.10/29に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
※R6.11/17お気に入り登録500突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。

聖女の私と婚約破棄? 天罰ってご存じですか?
ぽんぽこ狸
恋愛
王宮内にある小さな離宮、そこには幸運の女神の聖女であるルーシャが住んでいた。王太子の婚約者であるルーシャはその加護を王太子クリフにすべて捧げるために幼いころから離宮に隔離され暮らしている。
しかし、ある日クリフは、アンジェリカという派手な令嬢を連れてルーシャの元を訪れた。
そして彼らはルーシャの幸運の力は真っ赤な嘘で、ルーシャは聖女を騙ってクリフをだましているのだと糾弾する。
離宮でずっと怠けていて社交界にも顔を出さない怠惰なごく潰しだと言われて、婚約破棄を叩きつけられる。
そんな彼女たちにルーシャは復讐を決意して、天罰について口にするのだった。
四万文字ぐらいの小説です。強火の復讐です。サクッと読んでってください!
恋愛小説9位、女性ホットランキング2位!読者の皆様には感謝しかありません。ありがとうございます!
【完結】今更魅了と言われても
おのまとぺ
恋愛
ダコタ・ヒューストンには自慢の恋人が居る。彼の名前はエディで、同じ魔法学校の同級生だ。二人の交際三ヶ月記念日の日、ダコタはエディから突然別れ話をされた。
「悪かった、ダコタ。どうやら僕は魅了に掛かっていたらしい……」
ダコタがショックに打ちひしがれている間に、エディは友人のルイーズと婚約してしまう。呆然とするダコタが出会ったのは、意外な協力者だった。
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全17話で完結予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる