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305話

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叔父様のとんでもない言葉の数々に呆れながら顔を真っ赤にしている叔父様を眺めていると、私の隣で今までの一部始終を見ていたユーリが

「なんか、今までとは別人みたいですね」

私にだけ聞こえるくらいの小さな声でそう話しかけてきましたわ。

やっぱりユーリもそう思いますわよね。

私も全く同じことを思っていましたが、昨日までの叔父様とまるで別人で、誰かが乗り移ってしまったのでは?と思ってしまう程の変わりようですわよね。

そう思いながら、ユーリの言葉に小さく頷いて

「えぇ、私もそう思ったわ。もしかしたら今の叔父様が本来の叔父様なんじゃないかしら?」

と言うと、ユーリは

「あー......なるほどです.....」

なんとも言えないような、複雑そうな顔で苦笑しながらそう頷きましたわね。

今言った通り、今まではあのおバカさん2人が強すぎたので、自分を抑え込んでいただけであって、これが本当の姿だ、ということなら今までのとんでもない言葉の数々も納得ですわよね。

だって、1週間前の手紙では、自分は変わったんだ....みたいなことが書かれていたのに、今ではこれですわよ?

あの手紙を書いた時は離婚してすぐだった、ということもありますし、気持ちを抑え込んでいる最中だったんですのよ。

私がそう思っている間にも、叔父様はメイド長やミリアに対して

「そもそも、お前たち親子は父上の時から良くしてやっているんだから........」

とダラダラ長い説教まがいのようなことをしていて、見ている私の方まで気分が悪くなってきますわ。

叔父様の言う父上、ということは私からするとおじい様ですわよね?

偉そうに説教をしていますが、叔父様はメイド長達に対して何もしていないじゃありませんか。

それどころか、バカ2人を放置したせいでメイド長達の方が迷惑をかけられていますわよ。

そう思った私は、流石に聞いていられないので、叔父様に対して何か言い返してやろうと息を吸うと、私が言葉を発するよりも先に

「何を勘違いしているかわかりませんが、私の主人は旦那様が亡くなってからはお嬢様です。貴方は旦那様の弟、というだけであってこの家では何の権限もありません」

しっかりと叔父様の目を見ながら、ハッキリとした口調でそう言ったメイド長は、冷静に言っているように見えますが、内心では怒っているのがわかりますわ。

ただ、メイド長が怒っている......なんて当然叔父様は気付くわけもなく

「なっ.....たかがメイドが生意気だ!」

まだ運ばれていない荷物を思い切り殴りつけましたわ。

ただ、殴った物が悪かったんでしょうね。

どうやら丁度割れ物に当たってしまったみたいで、ガシャンという音と共に叔父様の手からはダラダラと血が流れてしまっていますわ。

ただ、そんな叔父様を心配する人はいるわけもなく、叔父様はオロオロとしながらなんとか自分の血を止めようとポケットの中から汚いハンカチを取り出して、傷口に当てていますわ。

あらら.....そんなに汚いハンカチを使ってしまうと逆に菌が入ってしまいそうですわね。

メイドに対してあのような態度をとっていなければしっかりと手当をしてもらえたのに......本当におバカさんですわ。


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