305 / 344
305話
しおりを挟む叔父様のとんでもない言葉の数々に呆れながら顔を真っ赤にしている叔父様を眺めていると、私の隣で今までの一部始終を見ていたユーリが
「なんか、今までとは別人みたいですね」
私にだけ聞こえるくらいの小さな声でそう話しかけてきましたわ。
やっぱりユーリもそう思いますわよね。
私も全く同じことを思っていましたが、昨日までの叔父様とまるで別人で、誰かが乗り移ってしまったのでは?と思ってしまう程の変わりようですわよね。
そう思いながら、ユーリの言葉に小さく頷いて
「えぇ、私もそう思ったわ。もしかしたら今の叔父様が本来の叔父様なんじゃないかしら?」
と言うと、ユーリは
「あー......なるほどです.....」
なんとも言えないような、複雑そうな顔で苦笑しながらそう頷きましたわね。
今言った通り、今まではあのおバカさん2人が強すぎたので、自分を抑え込んでいただけであって、これが本当の姿だ、ということなら今までのとんでもない言葉の数々も納得ですわよね。
だって、1週間前の手紙では、自分は変わったんだ....みたいなことが書かれていたのに、今ではこれですわよ?
あの手紙を書いた時は離婚してすぐだった、ということもありますし、気持ちを抑え込んでいる最中だったんですのよ。
私がそう思っている間にも、叔父様はメイド長やミリアに対して
「そもそも、お前たち親子は父上の時から良くしてやっているんだから........」
とダラダラ長い説教まがいのようなことをしていて、見ている私の方まで気分が悪くなってきますわ。
叔父様の言う父上、ということは私からするとおじい様ですわよね?
偉そうに説教をしていますが、叔父様はメイド長達に対して何もしていないじゃありませんか。
それどころか、バカ2人を放置したせいでメイド長達の方が迷惑をかけられていますわよ。
そう思った私は、流石に聞いていられないので、叔父様に対して何か言い返してやろうと息を吸うと、私が言葉を発するよりも先に
「何を勘違いしているかわかりませんが、私の主人は旦那様が亡くなってからはお嬢様です。貴方は旦那様の弟、というだけであってこの家では何の権限もありません」
しっかりと叔父様の目を見ながら、ハッキリとした口調でそう言ったメイド長は、冷静に言っているように見えますが、内心では怒っているのがわかりますわ。
ただ、メイド長が怒っている......なんて当然叔父様は気付くわけもなく
「なっ.....たかがメイドが生意気だ!」
まだ運ばれていない荷物を思い切り殴りつけましたわ。
ただ、殴った物が悪かったんでしょうね。
どうやら丁度割れ物に当たってしまったみたいで、ガシャンという音と共に叔父様の手からはダラダラと血が流れてしまっていますわ。
ただ、そんな叔父様を心配する人はいるわけもなく、叔父様はオロオロとしながらなんとか自分の血を止めようとポケットの中から汚いハンカチを取り出して、傷口に当てていますわ。
あらら.....そんなに汚いハンカチを使ってしまうと逆に菌が入ってしまいそうですわね。
メイドに対してあのような態度をとっていなければしっかりと手当をしてもらえたのに......本当におバカさんですわ。
13
お気に入りに追加
4,199
あなたにおすすめの小説
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。
金の亡者は出て行けって、良いですけど私の物は全部持っていきますよ?え?国の財産がなくなる?それ元々私の物なんですが。
銀杏鹿
恋愛
「出て行けスミス!お前のような金のことにしか興味のない女はもううんざりだ!」
私、エヴァ・スミスはある日突然婚約者のモーケンにそう言い渡された。
「貴女のような金の亡者はこの国の恥です!」
とかいう清廉な聖女サマが新しいお相手なら、まあ仕方ないので出ていくことにしました。
なので、私の財産を全て持っていこうと思うのです。
え?どのくらいあるかって?
──この国の全てです。この国の破綻した財政は全て私の個人資産で賄っていたので、彼らの着てる服、王宮のものも、教会のものも、所有権は私にあります。貸していただけです。
とまあ、資産を持ってさっさと国を出て海を渡ると、なんと結婚相手を探している五人の王子から求婚されてしまいました。
しきたりで、いち早く相応しい花嫁を捕まえたものが皇帝になるそうで。それで、私に。
将来のリスクと今後のキャリアを考えても、帝国の王宮は魅力的……なのですが。
どうやら五人のお相手は女性を殆ど相手したことないらしく……一体どう出てくるのか、全く予想がつきません。
私自身経験豊富というわけでもないのですが、まあ、お手並み拝見といきましょうか?
あ、なんか元いた王国は大変なことなってるらしいです、頑張って下さい。
◆◆◆◆◆◆◆◆
需要が有れば続きます。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~
榎夜
恋愛
「貧乏令嬢となんて誰が結婚するんだよ!」
そう言っていましたが、隣に他の令嬢を連れている時点でおかしいですわよね?
まぁ、私は貴方が居なくなったところで困りませんが.......貴方はどうなんでしょうね?
7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。
なーさ
恋愛
7年前に隣国との交換留学に行った6歳下の婚約者ラドルフ。その婚約者で王城で侍女をしながら領地の運営もする貧乏令嬢ジューン。
7年ぶりにラドルフが帰国するがジューンは現れない。それもそのはず2年前にラドルフとジューンは婚約破棄しているからだ。そのことを知らないラドルフはジューンの家を訪ねる。しかしジューンはいない。後日王城で会った二人だったがラドルフは再会を喜ぶもジューンは喜べない。なぜなら王妃にラドルフと話すなと言われているからだ。わざと突き放すような言い方をしてその場を去ったジューン。そしてラドルフは7年ぶりに帰った実家で婚約破棄したことを知る。
溺愛したい美貌の年下騎士と弟としか見ていない年上令嬢。二人のじれじれラブストーリー!
婚約破棄って、貴方誰ですか?
やノゆ
恋愛
ーーーその優秀さを認められ、隣国への特別留学生として名門魔法学校に出向く事になった、パール・カクルックは、学園で行われた歓迎パーティーで突然婚約破棄を言い渡される。
何故かドヤ顔のその男のとなりには、同じく勝ち誇ったような顔の少女がいて、パールは思わず口にした。
「いや、婚約破棄って、貴方誰ですか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる