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293話
しおりを挟む軽く挨拶を終えた私は、陛下達に隣国での出来事を大まかに話しましたわ。
手紙で家庭教師をさせてもらっている、ということは話していましたが、少し問題があって2人だったのが最終的に1人にだけ教えることになった、ということや、レオンハルト様が隣国で相当な人気者だ、ということ。
その影響でレオンハルト様と婚約したいと思っていた令嬢たちが凄く嫉妬してしまっていたこと。
あ....ただ、戻ってくる時のことは流石に話すことが出来ませんでしたわ。
だって、ヘタしたら国同士での問題に発展してしまいますし.....陛下たちに話した内容というのも、実際に起こったことの2割程度でしか話しませんでしたわ。
ですが、私の話を聞いた陛下は、というと
「あっはっはっは!随分と酷い目に遭ったんだな」
となぜか物凄く笑われてしまいましたわ。
カイン様とエリザベート様の2人は、想像していた以上に色々なことがあったので、何と声をかけていいのか、という様子で戸惑っていましたが.......。
まぁ、私としても、まさか陛下にこれほどまで笑われてしまうとは思ってもいなかったので
「わ、笑い事ではありませんわよ?どう対応すればいいのか本当に悩んでいたんですから」
苦笑しながらそう言うと、ひとしきり笑い終えた陛下が
「すまないすまない......あぁ、そういえばセリスティア嬢からの手紙と一緒に隣国の陛下とも手紙のやり取りをする機会があったんだが.......」
そう言うと、なぜかなんとも言えないような複雑そうな顔をしたので、隣国との陛下との間に何かあったのか、と思った私は
「そ、そうでしたの!?」
なぜか反射的に謝罪しそうになりましたが、私が言うよりも先に
「この歳で、まさか手紙のやり取りをするほどの仲になるとは思っていなかったんだけどな。だが、おかげで隣国とのつながりを前以上に強くすることができた」
陛下が笑いながらそう言ってくれたので、なんだか凄く安心しましたわ。
い、いや.....もし今回の件で隣国との関りが悪くなってしまった、と言われたら謝罪だけでは済まなかったですからね。
陛下同士が気の合う人だったから良かったものの、私も軽率に行動しすぎましたわ。
なんて思っていると、陛下は続けてこう私に質問してきましたわ。
「それで、なぜその話をしたかというと、戻ってくる時に隣国の誰かから襲撃のようなことをされなかったか?」
まさかそれを知っているとは思っていなかった私は、
「なぜそれを知っているんですか?」
と言おうと思ったんですが、それよりも先に
「なっ!」
「それは本当ですの!?」
と言うカイン様とエリザベート様に言葉を遮られてしまいましたわ。
エリザベート様の方なんて、驚きのあまり椅子から立ち上がって私の方を見ていますし......。
まぁ、それほど私の心配してくれている、ということですわよね。
なんて思いながら
「え、えーっと.....襲撃といいますか........なぜか異様なまでに後ろを付き纏われた、という感じですね。門番の人に対応してもらったので私たちには何も被害はなかったですが......」
と私が言うと、カイン様もエリザベート様もあからさまにホッとした顔をして椅子に座り直してくれましたわ。
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