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284話
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調理場に寄り道をしましたが、執務室に到着した私は、扉の前で立ち止まっていましたわ。
ここまで来ると後はノックをして入るだけ、というのはわかっていますのよ。
わかってはいるんですが、どうも手が動かいないといいますか.......一応ここは私の第二の部屋みたいなものなんですけどね?
でも、中にいるのが伯父様だ、と考えるとなぜか緊張して、なかなかノックをすることが出来ませんのよ。
ただ、ずっとここに立っていても時間の無駄ですしね。
私も覚悟を決めなければいけませんわ。
そう思った私は、深く深呼吸をして扉の取っ手に手をかけましたわ。
とりあえず、ノックをしたら自分の名前と戻ったことを言うんですのよ。
それで、今まで領地経営をやってくれたことに対してお礼ですわ。
そう自分に言い聞かせるように心の中で3回ほど呟いて、やっとのことで取っ手を引くと、それと同時に内側の方から扉を開けたのか、急に手が軽くなったのがわかりましたわ。
これには驚いて、取っ手にかけていた手をそのままに固まっていると、
「セリスティア.......?」
という小さくか細い声で私の名前を呼んだのが聞こえてきましたわね。
当然かもしれませんが執務室の中から出てきたのは伯父様で、まさか私がいるとは思ってもいなかったんでしょうね。
私と同様に驚いた顔をしながら固まってしまっていますわ。
そんな伯父様に対して、我に返った私はなんとか
「ただいま戻りましたわ」
と絞り出すかのように声をかけると、伯父様もハッとした顔をした後に
「あ.....あぁ、そういえば陛下がそろそろ到着すると話していたな」
そう言って、都合の悪そうな顔をしましたわ。
陛下が話をしていた、って......伯父様に、ですの?
確かに私の到着するであろう日付を手紙で教えましたが、伯父様様に伝えて欲しい、とお願いしたものの陛下から話をしているとは思ってもいませんでしたわ。
なんて思いながら、次の言葉を探していると、伯父様も何か察したんでしょうね。
「俺が言うことではないが、とりあえず中に入ったらどうだ」
そう言って、扉を大きく開けてくれましたわ。
そんな伯父様に
「え、えぇ、失礼しますわね」
と言って執務室の中に入ったのはいいですが、やっぱり今までまともに話をしていなかったこともあってなんだかぎこちないですわね。
私自身、伯父様にどのような態度でいたらいいのかわかりませんし、何かを話すにしてもすぐに話題が思い浮かびませんわ。
なので、無言の状態のままそれぞれが向かい合って椅子に座る、というなんだかわけのわからない状況になってしまいましたわよ。
きっと伯父様も私に対してどう対応して良いものか悩んでいる真っ最中でしょうし......。
なんて思いながら、とりあえず、ということで執務室の中を見渡してみましたわ。
子爵家の執務室に一度入ったことがありますが、その時の印象は散らかりすぎている、でしたのよ。
なので、伯父様は整頓が苦手なのか、と思っていたんですが、意外にも散らかっていませんわね。
仕事も溜まっていないみたいですし、むしろ私が忙しく仕事をしている時よりも綺麗のような気がしますわ。
もしかしたら私のことを考えて綺麗に使っていたのかもしれませんわね。
ここまで来ると後はノックをして入るだけ、というのはわかっていますのよ。
わかってはいるんですが、どうも手が動かいないといいますか.......一応ここは私の第二の部屋みたいなものなんですけどね?
でも、中にいるのが伯父様だ、と考えるとなぜか緊張して、なかなかノックをすることが出来ませんのよ。
ただ、ずっとここに立っていても時間の無駄ですしね。
私も覚悟を決めなければいけませんわ。
そう思った私は、深く深呼吸をして扉の取っ手に手をかけましたわ。
とりあえず、ノックをしたら自分の名前と戻ったことを言うんですのよ。
それで、今まで領地経営をやってくれたことに対してお礼ですわ。
そう自分に言い聞かせるように心の中で3回ほど呟いて、やっとのことで取っ手を引くと、それと同時に内側の方から扉を開けたのか、急に手が軽くなったのがわかりましたわ。
これには驚いて、取っ手にかけていた手をそのままに固まっていると、
「セリスティア.......?」
という小さくか細い声で私の名前を呼んだのが聞こえてきましたわね。
当然かもしれませんが執務室の中から出てきたのは伯父様で、まさか私がいるとは思ってもいなかったんでしょうね。
私と同様に驚いた顔をしながら固まってしまっていますわ。
そんな伯父様に対して、我に返った私はなんとか
「ただいま戻りましたわ」
と絞り出すかのように声をかけると、伯父様もハッとした顔をした後に
「あ.....あぁ、そういえば陛下がそろそろ到着すると話していたな」
そう言って、都合の悪そうな顔をしましたわ。
陛下が話をしていた、って......伯父様に、ですの?
確かに私の到着するであろう日付を手紙で教えましたが、伯父様様に伝えて欲しい、とお願いしたものの陛下から話をしているとは思ってもいませんでしたわ。
なんて思いながら、次の言葉を探していると、伯父様も何か察したんでしょうね。
「俺が言うことではないが、とりあえず中に入ったらどうだ」
そう言って、扉を大きく開けてくれましたわ。
そんな伯父様に
「え、えぇ、失礼しますわね」
と言って執務室の中に入ったのはいいですが、やっぱり今までまともに話をしていなかったこともあってなんだかぎこちないですわね。
私自身、伯父様にどのような態度でいたらいいのかわかりませんし、何かを話すにしてもすぐに話題が思い浮かびませんわ。
なので、無言の状態のままそれぞれが向かい合って椅子に座る、というなんだかわけのわからない状況になってしまいましたわよ。
きっと伯父様も私に対してどう対応して良いものか悩んでいる真っ最中でしょうし......。
なんて思いながら、とりあえず、ということで執務室の中を見渡してみましたわ。
子爵家の執務室に一度入ったことがありますが、その時の印象は散らかりすぎている、でしたのよ。
なので、伯父様は整頓が苦手なのか、と思っていたんですが、意外にも散らかっていませんわね。
仕事も溜まっていないみたいですし、むしろ私が忙しく仕事をしている時よりも綺麗のような気がしますわ。
もしかしたら私のことを考えて綺麗に使っていたのかもしれませんわね。
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