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266話 レオンハルトside
しおりを挟む「これから、従者たちには詳しく話を聞いてみようと思ってはいるけど、多分3日もあれば開放されるでしょうね。今頃公爵家に手紙を出している頃だと思うわ」
そういった夫人は、チラッと壁にかかっている時計を確認して小さくため息をついた。
きっと、今から手紙を出したらいつ到着するか、について考えたんだろうけど……この時間だと明日の午前中に届くか届かないか、くらい。
つまり、捕らえられた従者たちが解放されるのは早くても3日後、ということになる。
別に牢屋の中に入れておくだけだし、何か問題がある訳でもないけど、何となくいい気分はしない、というのが夫人の心境だろう。
そう思いながらも、なんて声をかけていいのかわからず、ただただ夫人のことを眺めていた。
すると、そんな僕の視線に気付いたんだろうね。
夫人が急にパッと顔を上げたかと思ったら僕に対して
「正直、セリスティアを襲おうとした奴らに対してはなにか制裁を……と思ったけど、指示されてやったのだからそうもいかないでしょう?」
どこか申し訳なさそうにしながらそう言った。
まぁ、夫人の気持ちもよくわかるけどね。
僕としても、今回は何もなかったからこそ、優しさを見せているが、もし違ったら……きっと今頃、てか待っている従者たちは顔を真っ青にでもさせていただろう。
ただ、わざわざ僕にそれを言ってきた、ということは何も制裁を加えることなく屋敷に帰すことを納得しない、とでも思われているんだろうか?
それに関しては納得できない、というよりか仕方がないと割り切っているからなんとも思っていないんだけど……。
そう思いながら、申し訳なさそうにしている夫人に
「悪いのは指示を出した人ですからね。僕も同じ気持ちです」
と言って頷くと、ホッとしたような顔で苦笑をしてきた。
いやいや……そんなあからさまにホッとした顔を……い、いや、今は下手な事を言わない方がいいよね。
僕のことをどう思っているのかわからないけど、とりあえず喉まで出かかった言葉をグッと飲み込んで
「それで……話をしに行く、とのことですが、僕も一緒について行ってもいいでしょうか?少し気になることもあるので……」
と尋ねると、夫人は急にハッとした顔した後に
「すっかり忘れるところだったけど、元々誘おうと思って来たのよ。一緒に行きましょう?」
そう言うと、座っていた椅子から立ち上がった。
まぁ……そうだろうな、と思っての質問だったから驚きはしないが、今まで忘れていた夫人もどうかと思う。
とはいえ、夫人本人に向かって忘れていたことについて言うことは出来ないから、ただ苦笑しておくことしか出来ないんだけどな。
ちなみに、ブレイド様にも牢屋に行くか、行かないかを尋ねてみたところ
「遠慮しておきます。牢屋に大人数で行くのもおかしい話ですしね」
と言っていたけど、3人というのは大人数になるのか、ならないのか……と思ってしまったけど、行かないのは変わらないからね。
牢屋に行ってくる、ということをブレイド様に告げて、夫人と2人で応接室を後にした。
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