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252話
しおりを挟む正直、国に帰る今日まで、シャリア様がなぜ私に対して仲良くしてくれるのか、そして良くしてくれるのかわからないままでしたが.........理由はわからない、ということで良いのかもしれませんわね。
だって、仲良くなるのに理由はいらないですし、シャリア様が私のことを気に入ってくれた、ということだけは変わらないことですもの。
私としてもこの国で友人が出来て本当に嬉しいですし、相手がシャリア様で本当に良かった、と思っていますわ。
色々と言いたいことはありますが、私の目の前にあるシャリア様の手をギュッと握って
「本当ですわね.......私も同じ気持ちですわ」
と私が言うと、寂しそうに苦笑していたシャリア様でしたが
「まぁ、私も遊びに行きますわね。セリスティアの家に泊めてもらう、というのも良いけど、どうせ隣国の王太子たちとはお茶会を開いたりもあるだろうし」
さも当然のようにそう言いましたわね。
え?今の流れっていうのは、少し寂しそうにしながらも友情を誓い合う、みたいな流れだったんじゃありませんの?
しかも、王太子とお茶会を開く、なんて知りませんでしたわよ?
想定外の展開に思わずキョトンとしながらシャリア様を見ると、私の思ったことが伝わったんでしょうね。
いたずらが成功した子供のように二ッと笑って
「ほら、私って悲しい空気みたいなのが嫌いなんですの」
そう言ってきましたわ。
なんだかシャリア様の普段とは違った一面が見られたような気がして嬉しいですが.....でも状況が状況なので、反応に困りますわね。
なんて思いながら、何も言わずにただただ苦笑をしていると
「お嬢様、馬車の準備が終わりましたが、すぐに出発しますか?」
いつの間に近くに来たのかわかりませんが、ミリアにそう言われましたわね。
準備が終わった、と言っているのにも関わらず反射的にさっきまで荷物が置いてあった場所や、ユーリ、ディア、ネイトの姿を確認すると、確かにさっきまでの慌ただしさはなくなって、今では落ち着いていますわ。
ただ、皆メイド服や調理着のままなんですが........着替えたりはしないのか、と疑問に思った私は
「ありがとう、皆も準備は終わっているの?」
と尋ねると
「まぁ、私たちの準備なんてあるようでないようなものですし......」
ミリアがそう言って苦笑していますわね。
ただ、やっぱり着替える様子はありませんし、もしかして気付いていないのか、と思った私は、最初は遠回しに言っていましたがもう諦めて
「着替えは?メイド服で帰るの?」
と率直に聞いてしまいましたわ。
だって、このまま疑問に思っているのもモヤモヤしますし、気付いていないだけなら私が言うことによって気付くことも出来ますしね。
なんて思いながらミリアの答えを待っていると、私の質問に一瞬キョトンとしていたミリアでしたが、すぐに、あぁ、と納得したように頷くと
「とりあえず最初はこの服で帰って、途中で着替えようと思いまして......ほら、お嬢様も最初はドレスを着ているので、私たちが私服なのはおかしいじゃないですか」
そう言ってメイド服の裾をクイっと持ち上げましたわ。
ミリアの言葉に、後ろで話を聞いていたユーリも頷いている、ということは本当なんでしょうけど.....私がドレスだから、ってわざわざ気を遣ってくれていましたのね。
それに気付かないなんて.....私もまだまだですわね......。
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