私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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250話

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ついに、国に帰る当日となってしまいましたが........

「あの袋は持った?えーっと.......食料はこれだけで足りるのかしら.....」

そう言う伯母様の横には、顔が見えなくなってしまう程に高く積まれた食料を持ったネイトが立っていますわ。

その近くでは、どこから持ってきたのか、またはいつの間に買ったのかわかりませんが、持ってきていた鞄の3倍ほどの大きさもある鞄にパンパンになるまでドレスを詰め込んだ伯父様が

「家に帰ってもドレスなんてないだろう。これも持って行きなさい」

と言いながらディアに鞄を渡していますわ。

馬車に荷物を詰め込んでいるユーリとミリアは、というと

「お嬢様、貴重品の入った鞄は椅子の上の方にありますからね?忘れないでくださいよ?」

「あ!私は改めて部屋の方を確認してきますね!」

と2人で慌ただしく最後の仕上げに入っていますわね。

一方、私はというと、皆が忙しそうに動いてくれているおかげもあって、何もやることがなく何をすればいいのかm悩んでいるくらいには暇をしていますのよね。

これほどまでに暇になるくらいなら、何か指示を出して欲しいと思ってしまいますが.......仮にも主人である私に指示を出すような人たちではないので、自分でやることを探すしかありませんわね。

そう思った私は、何か出発前の準備を手伝えないか、と辺りを見渡してみますが.......床に置いてある荷物はユーリが馬車に乗せている真っ最中ですし、伯父様と伯母様の相手はディアたちがしてくれていますし......。

部屋の掃除、といっても私が参加することで逆に遅くなってしまいますわよね。

.......あら?これってもしかして、私ができることは1つもないとか.....そんな感じですの?

そんなことを思いながらも、やっぱり何もしないわけにもいかないので、辺りを見渡してみますわ。

すると、今まで苦笑しながら様子を窺っていたブレイドが、暇をしている私に気付いたんでしょうね。

少し離れたところに立っていましたが、スッと私の横に来て

「やることがないんでしょう?」

と話しかけてくれましたわ。

そんなブレイドに

「えぇ......手を出したら逆に邪魔をしてしまいそうで.......」

苦笑しながらそう言うと、

「皆、最後だからか、なぜかわからないけど物凄く元気だしね」

と言うブレイドの言葉で改めて伯母様達の方を見ますが、確かに普段よりテンションが高いといいますか.......普段から元気だな、とは思うんですが、今日はいつも以上ですわね。

何と言いますか......わざと気分を上げているようにも見えるような.....。

なんて思っていると、苦笑しながら伯母様達を見ているブレイドが、視線は伯母様達に向けたまま

「なんだかんだで半年も一緒にいたからね。また会えるのはわかっているんだけど、どうしても帰ってしまうのが寂しく感じるよ」

そう言いましたわ。

その時の表情が本当に寂しそうに見えて、思わず目頭が熱くなってしまいましたがグッと堪えて

「それは私も同じ気持ちですわ」

とだけ返事をかえしましたわ。

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