250 / 344
250話
しおりを挟む
ついに、国に帰る当日となってしまいましたが........
「あの袋は持った?えーっと.......食料はこれだけで足りるのかしら.....」
そう言う伯母様の横には、顔が見えなくなってしまう程に高く積まれた食料を持ったネイトが立っていますわ。
その近くでは、どこから持ってきたのか、またはいつの間に買ったのかわかりませんが、持ってきていた鞄の3倍ほどの大きさもある鞄にパンパンになるまでドレスを詰め込んだ伯父様が
「家に帰ってもドレスなんてないだろう。これも持って行きなさい」
と言いながらディアに鞄を渡していますわ。
馬車に荷物を詰め込んでいるユーリとミリアは、というと
「お嬢様、貴重品の入った鞄は椅子の上の方にありますからね?忘れないでくださいよ?」
「あ!私は改めて部屋の方を確認してきますね!」
と2人で慌ただしく最後の仕上げに入っていますわね。
一方、私はというと、皆が忙しそうに動いてくれているおかげもあって、何もやることがなく何をすればいいのかm悩んでいるくらいには暇をしていますのよね。
これほどまでに暇になるくらいなら、何か指示を出して欲しいと思ってしまいますが.......仮にも主人である私に指示を出すような人たちではないので、自分でやることを探すしかありませんわね。
そう思った私は、何か出発前の準備を手伝えないか、と辺りを見渡してみますが.......床に置いてある荷物はユーリが馬車に乗せている真っ最中ですし、伯父様と伯母様の相手はディアたちがしてくれていますし......。
部屋の掃除、といっても私が参加することで逆に遅くなってしまいますわよね。
.......あら?これってもしかして、私ができることは1つもないとか.....そんな感じですの?
そんなことを思いながらも、やっぱり何もしないわけにもいかないので、辺りを見渡してみますわ。
すると、今まで苦笑しながら様子を窺っていたブレイドが、暇をしている私に気付いたんでしょうね。
少し離れたところに立っていましたが、スッと私の横に来て
「やることがないんでしょう?」
と話しかけてくれましたわ。
そんなブレイドに
「えぇ......手を出したら逆に邪魔をしてしまいそうで.......」
苦笑しながらそう言うと、
「皆、最後だからか、なぜかわからないけど物凄く元気だしね」
と言うブレイドの言葉で改めて伯母様達の方を見ますが、確かに普段よりテンションが高いといいますか.......普段から元気だな、とは思うんですが、今日はいつも以上ですわね。
何と言いますか......わざと気分を上げているようにも見えるような.....。
なんて思っていると、苦笑しながら伯母様達を見ているブレイドが、視線は伯母様達に向けたまま
「なんだかんだで半年も一緒にいたからね。また会えるのはわかっているんだけど、どうしても帰ってしまうのが寂しく感じるよ」
そう言いましたわ。
その時の表情が本当に寂しそうに見えて、思わず目頭が熱くなってしまいましたがグッと堪えて
「それは私も同じ気持ちですわ」
とだけ返事をかえしましたわ。
「あの袋は持った?えーっと.......食料はこれだけで足りるのかしら.....」
そう言う伯母様の横には、顔が見えなくなってしまう程に高く積まれた食料を持ったネイトが立っていますわ。
その近くでは、どこから持ってきたのか、またはいつの間に買ったのかわかりませんが、持ってきていた鞄の3倍ほどの大きさもある鞄にパンパンになるまでドレスを詰め込んだ伯父様が
「家に帰ってもドレスなんてないだろう。これも持って行きなさい」
と言いながらディアに鞄を渡していますわ。
馬車に荷物を詰め込んでいるユーリとミリアは、というと
「お嬢様、貴重品の入った鞄は椅子の上の方にありますからね?忘れないでくださいよ?」
「あ!私は改めて部屋の方を確認してきますね!」
と2人で慌ただしく最後の仕上げに入っていますわね。
一方、私はというと、皆が忙しそうに動いてくれているおかげもあって、何もやることがなく何をすればいいのかm悩んでいるくらいには暇をしていますのよね。
これほどまでに暇になるくらいなら、何か指示を出して欲しいと思ってしまいますが.......仮にも主人である私に指示を出すような人たちではないので、自分でやることを探すしかありませんわね。
そう思った私は、何か出発前の準備を手伝えないか、と辺りを見渡してみますが.......床に置いてある荷物はユーリが馬車に乗せている真っ最中ですし、伯父様と伯母様の相手はディアたちがしてくれていますし......。
部屋の掃除、といっても私が参加することで逆に遅くなってしまいますわよね。
.......あら?これってもしかして、私ができることは1つもないとか.....そんな感じですの?
そんなことを思いながらも、やっぱり何もしないわけにもいかないので、辺りを見渡してみますわ。
すると、今まで苦笑しながら様子を窺っていたブレイドが、暇をしている私に気付いたんでしょうね。
少し離れたところに立っていましたが、スッと私の横に来て
「やることがないんでしょう?」
と話しかけてくれましたわ。
そんなブレイドに
「えぇ......手を出したら逆に邪魔をしてしまいそうで.......」
苦笑しながらそう言うと、
「皆、最後だからか、なぜかわからないけど物凄く元気だしね」
と言うブレイドの言葉で改めて伯母様達の方を見ますが、確かに普段よりテンションが高いといいますか.......普段から元気だな、とは思うんですが、今日はいつも以上ですわね。
何と言いますか......わざと気分を上げているようにも見えるような.....。
なんて思っていると、苦笑しながら伯母様達を見ているブレイドが、視線は伯母様達に向けたまま
「なんだかんだで半年も一緒にいたからね。また会えるのはわかっているんだけど、どうしても帰ってしまうのが寂しく感じるよ」
そう言いましたわ。
その時の表情が本当に寂しそうに見えて、思わず目頭が熱くなってしまいましたがグッと堪えて
「それは私も同じ気持ちですわ」
とだけ返事をかえしましたわ。
11
お気に入りに追加
4,231
あなたにおすすめの小説

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛
らがまふぃん
恋愛
人の心を持たない美しく残酷な公爵令息エリアスト。学園祭で伯爵令嬢アリスと出会ったことから、エリアストの世界は変わっていく。 ※残酷な表現があります。苦手な方はご遠慮ください。ご都合主義です。笑ってご容赦くださいませ。 *R5.1/28本編完結しました。数話お届けいたしました番外編、R5.2/9に最終話投稿いたしました。時々思い出してまた読んでくださると嬉しいです。ありがとうございました。 たくさんのお気に入り登録、エール、ありがとうございます!とても励みになります!これからもがんばって参ります! ※R5.6/1続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛 投稿いたしました。再度読み返してくださっている方、新たに読み始めてくださった方、すべての方に感謝申し上げます。これからもよろしくお願い申し上げます。 ※R5.7/24お気に入り登録200突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R5.10/29らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R5.11/12お気に入り登録300突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。 ※R6.1/27こちらの作品と、続編 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れる程の愛(前作) の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.10/29に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
※R6.11/17お気に入り登録500突破記念といたしまして、感謝を込めて一話お届けいたします。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる