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245話 アーリアside
しおりを挟むお父様とお母様が離婚することが決まって数か月が経過したわ。
それなのに、私に婚約者が出来ることもなく、そしてお父様から子息の候補みたいなものが貰えるわけでもなく、どうすることも出来ないまま時間だけが経過していったわ。
離婚を突きつけられている、という状況にも関わらずお母様は今までと変わらないような生活をしているし、それに対してお父様も何も言わず、本当に離婚するのか?と思うくらいには普段通りの生活を送れているのよね。
うーん.......もしかして、やっぱり貴族じゃなくなる、というのは大変だから離婚を辞めた、とか?
でも、離婚を辞めたのなら私に話さないわけがないし.......。
そう思いながら廊下を歩いていると、正面からパタパタと駆け足で私に近付いてきたメイドに
「お嬢様、旦那様が執務室に来るように、とのことです」
と言われたわ。
このタイミングで執務室に呼び出し.......ってことは、あの件に関して以外ありえないわよね?
そう思った私は、メイドに返事をすることなく急いで執務室へと向かったわ。
コンコン、とノックをして執務室に入ると、あまりの変わりように思わず言葉を失ってしまったわ。
だって、執務室の壁一面にあった本たちは全てなくなっていて、机の上の大量の紙やインク、ペンも今では綺麗に整理整頓されているの。
それに加えてお父様の見た目もなんだか若返ったというか......表情は普段と変わらずに無表情なんだけど、最後に見た時の顔よりも明るい雰囲気で、スッキリとしたような感じがする。
とにかく、執務室だけではなくお父様自身も変わってしまったことに驚いた私は、一瞬言葉を失ってしまったけど、なんとか
「お、お父様......これって........」
と声を絞り出すように話しかけたわ。
でも、お父様は私の動揺に気付いていないのか、それともわざと気付いていないふりをしているのか
「今日からこの家の当主は俺ではなくなる。後のことはユーミアと2人で決めなさい」
そう言うお父様は、私の顔を見ることもなく決定事項のみをただただ言っているだけ、というのが伝わってきた。
というか......多分だけど、私と話をしたくない、と思っているんじゃないかしら?
でも、最後だから仕方なく話をしてやった、と............。
そう考えると、今までお父様とは関りが物凄く薄かったし、お父様について知っていることもほぼないけど、寂しく感じるわね。
やっぱり血がつながっている親だから、とかそんな感じなのかしら?
なんて思いながらも、なかなか働いていない頭を必死にフル回転させて
「お母様と2人で、って......呼び出したのは離婚の話がなくなったからじゃないんですか?」
とお父様に声をかけたわ。
すると、私の質問に対してお父様は本当に驚いた顔をしてこう言ったの。
「なぜやっと離婚が出来るのに取り消さないといけないんだ?」
それを聞いた瞬間、既に修復できないところまで来てしまっていたんだ、ってやっと理解することが出来たわ。
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