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241話
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正面に座るリーシャ様の顔を見て、私は初めて会った時のことを思い出していましたわ。
だって、部屋から出ることも困難だったリーシャ様が、今では侯爵家に、しかも自分の意思で来ることが出来ていますし、建国パーティーの時なんて他の令嬢と同じように参加することが出来ましたのよ?
半年間で物凄く大きな進歩ですし、私としても本当に嬉しいですわよね。
ただ、リーシャ様がこれほどまでに大きく変化しただけあって、どうしてもカティ様の事が引っかかってしまう、と言うのが複雑な気分ですわよね。
レオンハルト様と婚約したから嫌われてしまったのか.....それとも、本当は元々私を嫌っていたのか。
今となってはわからないままですわよね。
なんて思っていると、椅子に座ったものの無言の時間が続いたことに耐えられなくなったリーシャ様が
「あ、あのっ!」
と声をあげましたわね。
まぁ、私もリーシャ様の性格を知っていたんですから先に話を始めるべきでしたわね。
なんだか話すまでわざと待っていた、みたいな感じになって申し訳ないですわ。
私がそう思っていると、急にリーシャ様がバッと椅子から立ち上がって
「短い間ではありましたが本当にお世話になりました。セリスティア様に会っていなかったら、私は今でも部屋の中に籠っていたでしょうし、お姉様と比べられて肩身の狭い思いをしていたと思います」
そう言うと、ありがとうございます、と深々と頭を下げました。
多分、私と同じく半年前のことを思い出したんでしょうけど、今のリーシャ様からは当時感じた暗い印象も感じませんし、たまに下を向いてしまうこともありますがしっかりと前を向いて話をすることが出来ていますわ。
そんなリーシャ様の姿に嬉しく思いながら、ニッコリと微笑んだ私は
「それを言ったら私の方こそリーシャ様には感謝していますのよ?初めてのことばかりで慣れていないのに、私の教えたことをしっかりと吸収しようとしてくれて」
と言うと、リーシャ様は嬉しそうに、でもどこか照れたように頬を少し赤くしましたわね。
褒められ慣れていないのでちょっとしたことでもすぐに顔を赤くしてしまうリーシャ様ですが、そんな素直なリーシャ様だからこそ、私も教えやすかったですし、嫌にならなかったんですのよね。
そう思いながら、恥ずかしそうに微笑むリーシャ様に
「パーティーの後にも言ったけどあれならどこに行っても恥ずかしくありませんわ。むしろ同年代の令嬢よりの何倍も綺麗でした」
と言って微笑むと、リーシャ様からも可愛らしい花の咲いたような笑顔が返ってきましたわ。
そんなリーシャ様の笑顔に癒されたのは、言わずともわかりますわよね。
さて、その後の私たちは、今まで授業で出来なかったような話......というのも、リーシャ様からされた質問を答えつつ、私もリーシャ様に質問をする、という感じだったんですが、凄く楽しい時間を過ごすことが出来ましたわ。
ただ、レオンハルト様の前の婚約者......デール様のことを聞かれたときは少し警戒してしまいましたが.....。
気にしていないようにしてはいますが、どうしてもリーシャ様の後ろにカティ様がちらついてしまって、ヘタなことを話せない、という考えになってしまいますのよね。
せっかく楽しく話していたのに、それだけが残念でしたわ。
だって、部屋から出ることも困難だったリーシャ様が、今では侯爵家に、しかも自分の意思で来ることが出来ていますし、建国パーティーの時なんて他の令嬢と同じように参加することが出来ましたのよ?
半年間で物凄く大きな進歩ですし、私としても本当に嬉しいですわよね。
ただ、リーシャ様がこれほどまでに大きく変化しただけあって、どうしてもカティ様の事が引っかかってしまう、と言うのが複雑な気分ですわよね。
レオンハルト様と婚約したから嫌われてしまったのか.....それとも、本当は元々私を嫌っていたのか。
今となってはわからないままですわよね。
なんて思っていると、椅子に座ったものの無言の時間が続いたことに耐えられなくなったリーシャ様が
「あ、あのっ!」
と声をあげましたわね。
まぁ、私もリーシャ様の性格を知っていたんですから先に話を始めるべきでしたわね。
なんだか話すまでわざと待っていた、みたいな感じになって申し訳ないですわ。
私がそう思っていると、急にリーシャ様がバッと椅子から立ち上がって
「短い間ではありましたが本当にお世話になりました。セリスティア様に会っていなかったら、私は今でも部屋の中に籠っていたでしょうし、お姉様と比べられて肩身の狭い思いをしていたと思います」
そう言うと、ありがとうございます、と深々と頭を下げました。
多分、私と同じく半年前のことを思い出したんでしょうけど、今のリーシャ様からは当時感じた暗い印象も感じませんし、たまに下を向いてしまうこともありますがしっかりと前を向いて話をすることが出来ていますわ。
そんなリーシャ様の姿に嬉しく思いながら、ニッコリと微笑んだ私は
「それを言ったら私の方こそリーシャ様には感謝していますのよ?初めてのことばかりで慣れていないのに、私の教えたことをしっかりと吸収しようとしてくれて」
と言うと、リーシャ様は嬉しそうに、でもどこか照れたように頬を少し赤くしましたわね。
褒められ慣れていないのでちょっとしたことでもすぐに顔を赤くしてしまうリーシャ様ですが、そんな素直なリーシャ様だからこそ、私も教えやすかったですし、嫌にならなかったんですのよね。
そう思いながら、恥ずかしそうに微笑むリーシャ様に
「パーティーの後にも言ったけどあれならどこに行っても恥ずかしくありませんわ。むしろ同年代の令嬢よりの何倍も綺麗でした」
と言って微笑むと、リーシャ様からも可愛らしい花の咲いたような笑顔が返ってきましたわ。
そんなリーシャ様の笑顔に癒されたのは、言わずともわかりますわよね。
さて、その後の私たちは、今まで授業で出来なかったような話......というのも、リーシャ様からされた質問を答えつつ、私もリーシャ様に質問をする、という感じだったんですが、凄く楽しい時間を過ごすことが出来ましたわ。
ただ、レオンハルト様の前の婚約者......デール様のことを聞かれたときは少し警戒してしまいましたが.....。
気にしていないようにしてはいますが、どうしてもリーシャ様の後ろにカティ様がちらついてしまって、ヘタなことを話せない、という考えになってしまいますのよね。
せっかく楽しく話していたのに、それだけが残念でしたわ。
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