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210話
しおりを挟むそれから約30分後。
特に変わったこともなく時間だけが経過している、というのが私の感想ですわね。
結局ジャミン様は呼び出されてから一度も戻ってくる気配がありませんし、伯母様のことも何度か探してはいるんですが、いまだにどこにいるのかわかっていませんのよね。
ジャミン様も伯母様も陛下達の近くにいるのか、と思って壇の上の方を見ても誰もいませんし......そういえばブレイドも見ていませんのよね。
もしかして、皆でお話とかしているんでしょうか?
そうだとしたら、なんだか仲間外れみたいで少し寂しいですわ。
なんて思っていると、小さくなっていた音楽が急に大きくなりましたわ。
これは、談笑の時間は終わりでダンスの時間に変わった、ということを意味しているんですが........
「これが終わったらパーティーも終わりだね」
そう言ったレオンハルト様はどこかホッとしているみたいですわね。
一応予定では、ダンスの次に陛下からのお話があって解散、という流れなんですのよね。
なので、このダンスの時間というのはパーティーの終わりが近付いている、ということなんですわ。
私としても、特に大きな問題もなく終わりを迎えられそうなので、少しホッとしていますわ。
ですが、終わったわけではないのでまだ警戒はしておくべきだと思いますが。
そう思いながら、レオンハルト様の言葉に
「そうですわね。長かったような、短かったような.......絡んでくる人が一気に減ったのでそれは助かりましたわね」
と頷くと、私の言葉にレオンハルト様も苦笑しながら頷いてくれましたわ。
とりあえず、今回のパーティーではレオンハルト様と私の仲睦まじい様子と言いますか......婚約者がちゃんといるんだ、というのを見せつけるために参加したんですのよね。
しっかりと目的を果たすことが出来たでしょうか?
なんて思いながら、レオンハルト様の顔を覗き込むように眺めていると
「あ、あの......レオンハルト様..........」
私たちの斜め後ろの方から、か細い声が聞こえてきましたわ。
反射的にパッと声のした方を見ると、そこには顔を少し赤らめた令嬢が手をモジモジしながら立っていて、同じ女の私からすると何を言おうとしているのか安易に察することが出来ましたわ。
ですが、どうやらレオンハルト様は察することが出来なかったみたいで、首を傾げながら
「なんでしょう?急ぎの用事?」
と首を傾げてキョトンとした顔をしていますわね。
うーん....察しが悪いといいますか......。
こんなに顔を赤くしているんですから誰でも察しますわよね?
それなのに、キョトンとした顔をしているって.....もしかしてわざとやっていますの?
私がそう思っている間にも令嬢は、レオンハルト様に
「その......私とダンスを踊ってくれませんか?」
緊張した様子でそう声をかけていますわ。
もう、それを聞いた瞬間私からすると、そうですわよね、ですわよ。
逆に今回のは気付かない方がおかしいんですわ。
なんて思いながらも、とりあえずレオンハルト様がどう返事をするのか、と視線を向けました。
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