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201話
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その後、金髪の令嬢は、私に絡んできた令嬢全員と、その様子見ていた周りの令嬢たちに聞こえるような声の大きさで
「これ以上、国の恥を晒すそうな行動をした人には容赦しないですわ」
そう言ってキッと睨みを利かせると、様子を窺っていたほとんど全員が都合の悪そうな顔をして私から視線を逸らしましたわ。
な、なんだか凄い令嬢ですわね。
一体この人が何者なのかわかりませんが、動きと話し方のどれをとっても人の上に立つのに相応しいオーラのある令嬢ですわ。
なんて思っていると、グルっと辺りを見渡した令嬢は私の方に向きを変えて
「一度お話をしたいと思っていましたの。少しお時間をもらってもよろしいでしょうか?」
と私に声をかけてくれましたわ。
一度お話をしたかった、って.......敵意がないのはわかっていますが、そうやって改まって言われると少し緊張と言いますか.....警戒してしまいますわよね。
ですが、金髪の令嬢の顔は穏やかですし、物凄く優しい笑みを浮かべていますわ。
もし、この優しい笑みが嘘だとしたら......いや、それはありえませんわね。
そう思った私は、どうせレオンハルト様達が戻るまでの間、特にすることもありませんし
「えぇ、もちろんですわ」
と令嬢のお誘いを受けることにしましたの。
すると、私の返事を聞いた令嬢は、本当に嬉しそうに笑うと
「少し移動しましょう」
と言って踵を返したので私も後ろに続きますが......やっぱり他の令嬢たちからするとこの状況が理解できない、ということで
「なぜシャリア様があの令嬢を......」
「ありえませんわ」
とヒソヒソ話をしているのが聞こえてきますわ。
話し声の中に、シャリア様、という名前が多く聞こえてきたので.....きっと、この令嬢はシャリア様という名前なんでしょうね。
なんて思ってると、会場の本当に端の方で止まったシャリア様が小さくふぅっと息を吐きましたわね。
ということは、きっとここで話をするつもりなんでしょう。
そう思った私は、早速と言わんばかりに
「本当に助かりましたわ。ありがとうございます」
と言ってシャリア様に頭を下げましたわ。
すると、
「当然のことをしただけですわよ。そもそも、あの中のほとんどが忘れているのかもしれませんが、貴族令嬢と侯爵という時点で身分が違うんですのよね。それなのに、まるで自分よりも下の者を相手するかのような態度で.....見ていて本当に気分が悪かったですわ」
そう言ったシャリア様は複雑そうな笑みを浮かべて頬に手を当てていますわね。
まぁ.....確かによく考えてみるとおかしい話なんですのよね。
だって、私がいくら隣国の令嬢だ、とはいえ爵位はこの国と何も変わらないはずなんですもの。
それなのに、私に話しかけてきた令嬢たちは爵位のことなど何も気にしていないかのように私に話しかけて来るので、てっきりこの国には上下関係がないのか、と思っていましたわ。
ただ、流石にそれをそのまま伝えるとシャリア様が可哀そうだ、と判断した私は、
「ま、まぁ......この年齢で爵位を持っていること自体が珍しいですからね。仕方がありませんわ」
そう言って苦笑すると、私につられたのかシャリア様も苦笑しました。
これは......この国で友人を作るチャンス、っていうやつでしょうか?
「これ以上、国の恥を晒すそうな行動をした人には容赦しないですわ」
そう言ってキッと睨みを利かせると、様子を窺っていたほとんど全員が都合の悪そうな顔をして私から視線を逸らしましたわ。
な、なんだか凄い令嬢ですわね。
一体この人が何者なのかわかりませんが、動きと話し方のどれをとっても人の上に立つのに相応しいオーラのある令嬢ですわ。
なんて思っていると、グルっと辺りを見渡した令嬢は私の方に向きを変えて
「一度お話をしたいと思っていましたの。少しお時間をもらってもよろしいでしょうか?」
と私に声をかけてくれましたわ。
一度お話をしたかった、って.......敵意がないのはわかっていますが、そうやって改まって言われると少し緊張と言いますか.....警戒してしまいますわよね。
ですが、金髪の令嬢の顔は穏やかですし、物凄く優しい笑みを浮かべていますわ。
もし、この優しい笑みが嘘だとしたら......いや、それはありえませんわね。
そう思った私は、どうせレオンハルト様達が戻るまでの間、特にすることもありませんし
「えぇ、もちろんですわ」
と令嬢のお誘いを受けることにしましたの。
すると、私の返事を聞いた令嬢は、本当に嬉しそうに笑うと
「少し移動しましょう」
と言って踵を返したので私も後ろに続きますが......やっぱり他の令嬢たちからするとこの状況が理解できない、ということで
「なぜシャリア様があの令嬢を......」
「ありえませんわ」
とヒソヒソ話をしているのが聞こえてきますわ。
話し声の中に、シャリア様、という名前が多く聞こえてきたので.....きっと、この令嬢はシャリア様という名前なんでしょうね。
なんて思ってると、会場の本当に端の方で止まったシャリア様が小さくふぅっと息を吐きましたわね。
ということは、きっとここで話をするつもりなんでしょう。
そう思った私は、早速と言わんばかりに
「本当に助かりましたわ。ありがとうございます」
と言ってシャリア様に頭を下げましたわ。
すると、
「当然のことをしただけですわよ。そもそも、あの中のほとんどが忘れているのかもしれませんが、貴族令嬢と侯爵という時点で身分が違うんですのよね。それなのに、まるで自分よりも下の者を相手するかのような態度で.....見ていて本当に気分が悪かったですわ」
そう言ったシャリア様は複雑そうな笑みを浮かべて頬に手を当てていますわね。
まぁ.....確かによく考えてみるとおかしい話なんですのよね。
だって、私がいくら隣国の令嬢だ、とはいえ爵位はこの国と何も変わらないはずなんですもの。
それなのに、私に話しかけてきた令嬢たちは爵位のことなど何も気にしていないかのように私に話しかけて来るので、てっきりこの国には上下関係がないのか、と思っていましたわ。
ただ、流石にそれをそのまま伝えるとシャリア様が可哀そうだ、と判断した私は、
「ま、まぁ......この年齢で爵位を持っていること自体が珍しいですからね。仕方がありませんわ」
そう言って苦笑すると、私につられたのかシャリア様も苦笑しました。
これは......この国で友人を作るチャンス、っていうやつでしょうか?
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