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193話

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とりあえず、レオンハルト様の婚約者候補について、大体わかりましたが

「候補が誰かわからないって.......そんなの候補と言わないのでは?」

思わずそう言ってしまいましたわよ。

だって、つまりは令嬢たちの中で勝手にレオンハルト様の婚約者候補だと思われていて、勝手に勘違いされていますのよ?

令嬢たちの方も周りに言われたら、そうなんだ、と認めるしかないでしょうし、そう考えるとなんだか可哀そうにも感じますわよね。

なんて思いながら、話し終えて苦笑しているレオンハルト様につられて私も苦笑しながら

「なるほど......令嬢関係でここまで面倒ごとになるのは珍しいですわね」

と言うと、これには同意するしかなかったみたいで

「そうだよね......僕もそれは思っているんだけど.........」

複雑そうな顔をしながら苦笑しましたわ。

そんな中、チラッとレオンハルト様の隣にいるジャミン様に視線を向けると、どうやら同じことを思ったみたいで、私の言葉に小さくですが、何度も何度も頷いていますわね。

きっと、これほど短い期間で私がそう感じたんですからジャミン様は私以上に思うことがあるでしょうね。

なんて思いながらも、レオンハルト様があまりにも眉を下げて苦笑するので、思わず

「きっとジャミン様の同じような状況ですわよね?王子ですし」

とジャミン様に話を振ってしまいましたわ。

だって、なんだか見ていて可哀そうになったといいますか......なんだか申し訳なくなってきましたのよね。

それでジャミン様に話を振るのは私もどうかとは思いましたが咄嗟のことなので、許して欲しいですわ。

心の中でジャミン様に軽く謝罪をしながら、なんとかこの雰囲気を変えて欲しい、と無茶な希望を胸に返事を待っていると

「いや、俺はレオンほど人気がないし、婚約者について全く興味がないからな。全て父上たちに任せている」

私の希望は届かなかったみたいで、物凄く素っ気ない返事をされてしまいましたわ。

ま、まぁ、なんとなくそんな感じだろうとは思っていましたけどね。

ただ、王子がこの年齢になってもまだ婚約者がいない、というのは相当珍しい事だとは思いますわ。

いくら王太子が決まっていないとはいえ、遅すぎますわよね。

なんて思っていると、なんとかレオンハルト様も普段通りの表情に戻ったみたいで

「とりあえず、いくら婚約者候補だと周りが騒いでも、正式な婚約者が決まっているんだし諦めてくれる、と思っているんだよね」

と少し自信なさそうにではありますが、呟きましたわね。

ですが、当然私もジャミン様もそんなに簡単にはいかないことは想像が出来るので

「もしそうだとしたら苦労はしないだろうな」

というジャミン様に続くように、私も

「私としては、自分が選ばれなかった、ということで、ユーティン様のような令嬢があと数回は現れると思っていますわ」

と言って苦笑するとレオンハルト様は

「それは勘弁して欲しいんだけど...........」

物凄く複雑そうな顔をして苦笑していましたわ。

うーん......本当に警戒しておかないと、次にいつ誰が現れるかわかりませんからね。

レオンハルト様の代わりに、私が気を張っておかないと、ですわ。


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