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192話

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え、えっと?

今、ジャミン様が物凄くサラッと言いましたが婚約者候補とか聞こえましたわよね?

私の聞き間違えとかではありませんわよね?

ま、まぁ、確かに元々人気のあるレオンハルト様なので、婚約者候補の1人か2人がいてもおかしくはないと思いますわよ。

ただ、そんな話、伯母様からもレオンハルト様からも聞いていませんわ。

そう思った私は、レオンハルト様とジャミン様に説明を求める様に交互に見つめました。

すると、その視線に2人ともほぼ同時に気付いてはくれましたが、レオンハルト様はなぜ私に見つめられているのかわからないみたいでキョトンとした顔をして首を傾げていますわね。

一方ジャミン様はなぜ私に見られているのか察したみたいで

「あぁ、もしかして言っていなかったのか?」

とレオンハルト様に質問していますわ。

まぁ、普通にこのタイミングで私が驚いた顔をしていたら察しますわよね。

ただ、レオンハルト様は一体なんのことを言われているのかわからないみたいで、キョトンとした顔のまま

「言っていない、ってなんのこと?」

と首を傾げていますわ。

うーん......レオンハルト様ってたまに察しが物凄く悪くなりますわよね。

察しが悪くて何か問題があるわけではありませんが、察しが良い時は何も言わなくてもわかってくれるので、差が凄いですわ。

なんて思っていると、ジャミン様はいまだに何を言っているのか理解していないレオンハルト様に小さくため息をつきながらも

「だから、ユーティン嬢が婚約者候補だった、ということだ。普通は婚約が決まった段階で言っておくだろう」

呆れた、とでも言いたそうな顔をしながらそう言いましたわね。

それを聞いてレオンハルト様はハッとした顔をしましたが、すぐに焦ったような、そんな顔に変わって

「いや、でも候補と言っているのは周りの大人だけで、僕は候補どころか何も思っていなかったよ?」

と必死に否定していますわね。

あー......ただ、レオンハルト様の言葉を聞いて思いましたが、周りの大人がレオンハルト様の婚約者はユーティン様だ、と言っていたのであれば、急に出てきた私に対して、苛立ちを感じるのもわかりますわ。

しかも、ユーティン様がレオンハルト様のことを好きだとしたら、余計に腹立たしくなりますわよね。

はぁ.....もし、レオンハルト様から事前にその話を聞いていたらユーティン様に対して違った対応が出来まし、最初から油断することなくレオンハルト様の隣にいましたわ。

そんなことを思っている私の横では、ジャミン様が

「実際にユーティン嬢が2人に絡んできたんだ。そうは言っていられないだろう」

と苦笑しながらレオンハルト様に言うと、流石にその通りだ、と思ったんでしょうね。

少し考えた後に、ですが

「確かにその通りだね」

と呟くと、ユーティン様について、詳しく話をしてくれましたわ。

レオンハルト様とジャミン様曰く、レオンハルト様の婚約者候補というのは複数人存在するみたいで、ユーティン様はその候補の1人だ、とのことですわ。

ただ、レオンハルト様が正式に候補だと言っているわけではありませんし、周りが勝手に騒いでいるだけなので、ユーティン様以外の候補が一体誰なのか、把握できていないんだとか。

なので、レオンハルト様からすると相当迷惑な話ですし、認めていないから勝手に勘違いしないで欲しい、とのことでした。

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