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178話

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私たちが会場の扉の前に到着した時には既にブレイドが婚約者であるティファー様を連れて、並んでいる姿がありましたわ。

てっきり、まだ並ぶのは早いのでは?と思っていましたが、意外と入場するのには時間がかからないみたいですわね。

なんて思いながら辺りを見渡していると、やっぱり色んな所からの視線を感じますわ。

ただ、今この場にいる人達が侯爵より上の爵位だからなんでしょうか?

馬車の近くで感じた鋭い視線は全く感じない代わりに、私のことを品定めするかのような視線がほとんどですわね。

いくら公爵家の跡継ぎではない、とはいえ、色んな意味で噂の多いレオンハルト様の婚約者が一体どのような人なのか、と気になっているんでしょう。

これは、ヘタな行動は出来ませんわね。

そう思いながら改めて背筋を伸ばしていると、どうやらブレイドが私たちに気付いたみたいで、元々並んでいた場所からスッと出てきてこちらに向かって来ているのが見えましたわ。

これには思わず

「あら?ブレイドがこっちに来るけど何かあったんでしょうか?」

とレオンハルト様に聞いてしまいましたわ。

当然ですが、レオンハルト様もなぜブレイドたちがこちらに向かってきているのか知らないはずです。

それなのに、レオンハルト様は私の質問に対して

「うーん......多分だけど何か話があるんじゃないかなぁ....」

と答えてくれましたわ。

正直、今のは質問というよりは独り言みたいなものだったので、無視されると思っていましたわ。

なので、答えてくれて嬉しいです。

なんて呑気に思っている間にもブレイドたちは私とレオンハルト様の横に到着しましたわね。

私たちの後ろに並んでいた子息令嬢たちがスッと間を開けてくれたのでそこに入っていきましたが......横から割って入るのが許されるんですのね。

これは私が知らない常識ですわ。

思わず感嘆の息と漏らしそうになりましたがグッと堪えていると

「早速、令嬢とやり合ったみたいだね」

私たちの後ろに並び直したブレイドがそう話しかけてきましたわ。

早速やり合った、って......。

まるで私が暴れん坊だとでも言われているみたいだ、と感じた私は、

「やり合った、なんて言わないでくださいます?あちら側から喧嘩を売ってきましたのよ」

と返事を返してレオンハルト様を見ると苦笑されてしまいましたわ。

あら?なぜ苦笑されるのか、納得が出来ませんが.......間違ったことでも言ってしまったでしょうか?

ですが、アーリナ様の方から喧嘩を売ってきた、というのは合っていますし、私の方はレオンハルト様から許可が出るまで大人しくしていましたわよ?

そう思いながら、レオンハルト様につられて肩をすくめて苦笑しているブレイドを横目に

「ティファー様、ごきげんようですわ」

と隣でクスクスと笑っている声をかけましたわ。

今日もブレイドとティファー様は仲睦まじく腕を組んでいるんですが.......私の視界の中にいるペアの中で一番お似合いなような気がしますわね。

パーティーだ、ということで、お揃いの生地で作られた服を着ていますが、それが2人の仲睦まじさを良い感じに引き立てていますわね。

私もレオンハルト様と仲睦まじく見えていたら嬉しいですが.....きっと見えないからこそ、アーリナ様に喧嘩を売られましたのよね。

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