私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
上 下
171 / 344

171話

しおりを挟む
令嬢が話をしてきた内容というのは、愛を育んだというよりはレオンハルト様に言われたいことを並べたかのような内容ばかりで、例えば

「沢山いる令嬢の中から私ではない令嬢をダンスの相手に選んでいましたが、私への愛が強すぎて周りに気付かれないように気を遣ってくれていた」

とのことですが、レオンハルト様が首を横に振って

「いやいや.....他の令嬢に次のパーティーで、と言ってしまったからそっちを優先しただけで、何も考えていないよ」

と私にだけ聞こえるくらいの声の大きさで説明してくれましたわ。

他にも、学園で私にだけ熱い視線をー.....とか、パーティーで令嬢に囲まれているのは私に嫉妬をさせるためでー.....など、誰がどう聞いてもあり得ないとわかるようなことを並べては、自信満々の顔をしていましたわ。

まぁ、レオンハルト様が1つ1つに否定をしていってくれたので、たまに

「え?これは.....」

という怪しいものを聞いても勘違いせずに済みましたわ。

うーん.....ここまで勘違いが激しいと何を言っても自分の良い様に考えてしまうので相当厄介ですわね。

どうにかして、レオンハルト様は令嬢に何の感情も持っていないし、全て勘違いだ、と伝えられたらいいんですが.....。

そんなことを思っている間にも、令嬢はレオンハルト様の話を終えたみたいで

「これだけ聞いたら私がどれほどレオンハルト様に愛されているか、わかったんじゃありませんか?」

とドヤ顔をして私の方を見ていますわね。

どれだけ愛されているのか、ですか.......。

正直、わかったことはこの令嬢が想像力が高い、ということだけでしたわ。

レオンハルト様もドヤ顔ウィしている令嬢に鋭い視線を向けながら

「何度も言うけど、全て勘違いだし妄想だからね」

と私にしっかりと、今言っていることが全て嘘だ、と言っていますしね。

これには私も

「えぇ、わかっていますわ」

とは頷きましたが.....どうしましょう?

ここは無視をして馬車の中に乗り込む、というのが一番だったり........いや、ですが、そんなことをしてもこの令嬢の様子を見ていると馬車のドアをこじ開けてでも中に入ってきそうですわよね。

となれば、私とレオンハルト様がこの令嬢よりも親密の関係だ、ということを思い知らせるのが一番なんでしょうか?

そう思った私は、チラッとレオンハルト様を見ると、どうやら同じことを考えていたみたいで、しっかりと目が合いました。

当然ですが私とレオンハルト様が親密の仲だと証明するものは少ないですわ。

だって、まだ出会ってから期間が短いんですもの。

ただ、1つ違うのはこの令嬢とは違って妄想なんかではなく全て本当のことを言えますのよね。

例えば、週に2回、レオンハルト様は公爵家に来て私と2人きりでお茶を楽しんでいる、という、妄想ではなく本当にあったことの話を令嬢に聞かせるだけでショックを受けてくれると思いますのよね。

なぜなら、この令嬢はレオンハルト様と2人きりでお茶をしたことがないから。

そう考えると、この令嬢に対してマウントを取るような形になってしまいますが、どうにか言い返すことは出来そうですわね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後

柚木ゆず
恋愛
 ※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。  聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。  ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。  そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。  ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――

これが私の兄です

よどら文鳥
恋愛
「リーレル=ローラよ、婚約破棄させてもらい慰謝料も請求する!!」  私には婚約破棄されるほどの過失をした覚えがなかった。  理由を尋ねると、私が他の男と外を歩いていたこと、道中でその男が私の顔に触れたことで不倫だと主張してきた。  だが、あれは私の実の兄で、顔に触れた理由も目についたゴミをとってくれていただけだ。  何度も説明をしようとするが、話を聞こうとしてくれない。  周りの使用人たちも私を睨み、弁明を許されるような空気ではなかった。  婚約破棄を宣言されてしまったことを報告するために、急ぎ家へと帰る。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

あなたのためなら

天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。 その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。 アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。 しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。 理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。 全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。

婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。 聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。 聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。 平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。

領地運営は私抜きでどうぞ~もう勝手におやりください~

ネコ
恋愛
伯爵領を切り盛りするロザリンは、優秀すぎるがゆえに夫から嫉妬され、冷たい仕打ちばかり受けていた。ついに“才能は認めるが愛してはいない”と告げられ離縁を迫られたロザリンは、意外なほどあっさり了承する。すべての管理記録と書類は完璧に自分の下へ置いたまま。この領地を回していたのは誰か、あなたたちが思い知る時が来るでしょう。

婚約破棄を喜んで受け入れてみた結果

宵闇 月
恋愛
ある日婚約者に婚約破棄を告げられたリリアナ。 喜んで受け入れてみたら… ※ 八話完結で書き終えてます。

婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました

青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。 しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。 「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」 そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。 実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。 落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。 一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。 ※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております

処理中です...