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167話
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当日に不安しか残らないまま、王宮を後にすることになった私たちですが、公爵家の馬車と言うのはやっぱり格が違いますわね。
爵位で考えると侯爵と公爵で大きく差はありませんが、こういう小さなことで差が出てきますわ。
あ、なぜ急にそんなことを言うのか、ということですが、行きも帰りも公爵家の馬車にお世話になることになったのはいいですが、普段はメイド長が用意してくれた馬車での移動がほとんどだったので、公爵家の馬車をしっかりと見たことがなかったんですのよ。
まぁ、とはいえ、侯爵家の馬車は置いて来ているので、比べても、と言って良いのかわかりませんが........。
ですが、今まで乗ったことがないくらい椅子がフワフワで、内装が豪華だ、というのは事実です。
なんて思いながらレオンハルト様とジャミン様が話をしているので馬車の前で待機していますわ。
2人は私に聞こえないように、と私から離れて話をしているんですが........正直、聞こえてきていますのよね。
も、もちろん聞こうと思って耳を澄ませているとか、そんなはしたないことはしていませんわよ?
ただ、声の大きさがちょっと間違えているといいますか.......。
私に聞かれたくない話なのであれば、もう少し声の大きさを抑えた方が良いのでは?と思いますわ。
そう思いながらも聞こえてしまうので仕方ない、と思うようにして、知らぬ顔でレオンハルト様とジャミン様の会話を聞いているんですが
「僕が言った通り、噂と全く違っただろう?」
そう言ったレオンハルト様は少し自慢げですわね。
きっと、レオンハルト様なりにジャミン様には先に噂のことについて否定してくれていたんでしょう。
そう考えると、今日の態度は正しかったんでしょうか?
もう少し大人しめの方が印象的には良かったですわよね?
いや.....ですが最初に猫かぶってしまって、後からバレてしまうともっと面倒なことになるでしょうし......。
少しハラハラしながらジャミン様の返事を待っていると、レオンハルト様の言葉に対して
「まぁ......そうは言っても本性はまだわからないからな」
何かしら思うことがあるのかジャミン様は複雑そうな表情をしながらそう返事をしていますわね。
本性はわからない、ということは素の私でいたことは正しかった、ということですのね。
はぁ.......良かったですわ。
ただ、これに対してレオンハルト様は小さくため息をつきながら
「いや、流石にそこまでセリスティア様のことを疑っているのを見ると、僕の知らない何かがあるのか、と思ってしまうよね」
と苦笑してしまっていますわ。
まぁ......私としてもジャミン様がこれほどまでに私を警戒している理由がわかりませんのよね。
だって、別に悪いことをしているわけでもありませんし.......。
初対面なので多少、警戒されるのは仕方がない、と思ってはいるものの、ジャミン様は少し警戒しすぎのような気がしますわ。
なんて思いながら、2人には見えていないでしょうけど、何度も何度も頷きましたわ。
爵位で考えると侯爵と公爵で大きく差はありませんが、こういう小さなことで差が出てきますわ。
あ、なぜ急にそんなことを言うのか、ということですが、行きも帰りも公爵家の馬車にお世話になることになったのはいいですが、普段はメイド長が用意してくれた馬車での移動がほとんどだったので、公爵家の馬車をしっかりと見たことがなかったんですのよ。
まぁ、とはいえ、侯爵家の馬車は置いて来ているので、比べても、と言って良いのかわかりませんが........。
ですが、今まで乗ったことがないくらい椅子がフワフワで、内装が豪華だ、というのは事実です。
なんて思いながらレオンハルト様とジャミン様が話をしているので馬車の前で待機していますわ。
2人は私に聞こえないように、と私から離れて話をしているんですが........正直、聞こえてきていますのよね。
も、もちろん聞こうと思って耳を澄ませているとか、そんなはしたないことはしていませんわよ?
ただ、声の大きさがちょっと間違えているといいますか.......。
私に聞かれたくない話なのであれば、もう少し声の大きさを抑えた方が良いのでは?と思いますわ。
そう思いながらも聞こえてしまうので仕方ない、と思うようにして、知らぬ顔でレオンハルト様とジャミン様の会話を聞いているんですが
「僕が言った通り、噂と全く違っただろう?」
そう言ったレオンハルト様は少し自慢げですわね。
きっと、レオンハルト様なりにジャミン様には先に噂のことについて否定してくれていたんでしょう。
そう考えると、今日の態度は正しかったんでしょうか?
もう少し大人しめの方が印象的には良かったですわよね?
いや.....ですが最初に猫かぶってしまって、後からバレてしまうともっと面倒なことになるでしょうし......。
少しハラハラしながらジャミン様の返事を待っていると、レオンハルト様の言葉に対して
「まぁ......そうは言っても本性はまだわからないからな」
何かしら思うことがあるのかジャミン様は複雑そうな表情をしながらそう返事をしていますわね。
本性はわからない、ということは素の私でいたことは正しかった、ということですのね。
はぁ.......良かったですわ。
ただ、これに対してレオンハルト様は小さくため息をつきながら
「いや、流石にそこまでセリスティア様のことを疑っているのを見ると、僕の知らない何かがあるのか、と思ってしまうよね」
と苦笑してしまっていますわ。
まぁ......私としてもジャミン様がこれほどまでに私を警戒している理由がわかりませんのよね。
だって、別に悪いことをしているわけでもありませんし.......。
初対面なので多少、警戒されるのは仕方がない、と思ってはいるものの、ジャミン様は少し警戒しすぎのような気がしますわ。
なんて思いながら、2人には見えていないでしょうけど、何度も何度も頷きましたわ。
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