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156話
しおりを挟むジャミン様の視線に動揺しながらも、なんとか笑みを作って座っていると、今までの一部始終を見ていた伯母様が、私の様子に気付いてくれて
「殿下、そんなに令嬢のことをジロジロ見るものではありませんわ」
と言ってくれましたわ。
これにはもう、涙が出るくらい嬉しかったですわよ。
だって、少しでも動いたら刺されてしまう、というくらいの視線を感じましたもの。
そんな中、伯母様に指摘をされたジャミン様は
「すみません。レオンの婚約者について、あまりいい噂は聞かなかったもので」
と無表情のまま言いましたわね。
正直、殿下にまで話が伝わっているんだ、と思ったら恥ずかしさと申し訳なさと、苛立ちと.....訳の分からない感情になりそうですが、仕方ありませんわね。
レオンハルト様と同じ学園に通っているんですから当然のことですわ。
なんて思っていましたが、ジャミンの言葉に対して、陛下が
「ほらな。言っていた通り噂と全く違うだろう?」
そう言って二ッと笑いましたね。
この言い方だと、まるで私の話を事前にしていたかのような雰囲気ですが.....。
しかも、一度も会っていないのに、陛下は私は噂で聞くような令嬢ではない、と言ってくれていましたの?
それは嬉しすぎますわ。
心の中で、陛下に感謝をしながら、ジャミン様が何を言うのか、とドキドキしながら待っていると、
「挨拶をされただけで、わかるわけがないですよ」
そう言ったジャミン様はやっぱりまだ私のことを信用していないみたいで、警戒心をむき出しの状態ですわね。
まぁ、友人の婚約者だ、ということで気になっているのかもしれませんが.....いや、ですが、流石に私に対して警戒しすぎなのではないでしょうか?
私としては、なぜ自分がここまで嫌われている?のかわかりませんわ。
なんて思いながら、口を挟める状況でもないので、ただただ苦笑して話を聞いていましたが、陛下は自信満々に
「いーや、セリスティア嬢は噂のような酷い令嬢ではない」
と言っていますし、それに王妃も伯母様も頷いている、訳の分からない状況ですわ。
まるで、私が陛下達のことを誑かしたのでは?というくらいの信頼度ですわよ。
とはいえ、私としてもなぜここまで私を信用してくれているのか、全く理解が出来ないんですが....。
そう思いながらジャミン様を見ると、3人が私のことを褒めている中、1人だけ大きくため息をついたかと思ったら
「それはセリアーティ様とかいう人の娘だから、ですか?」
と言いましたわね。
これには、流石に
「そんな訳がー.....」
と言いそうになりましたが、陛下の
「その通りだ」
と言うハッキリとした口調に、驚いてしまいましたわ。
だって、お母様の娘だから、という理由でまともに話をしたことがない私を信用していますのよ?
それが国の陛下だなんて、正直あり得ないですわ。
案の定、ジャミン様は
「何の根拠があって.......」
と呆れたような顔をしていますしね。
今までは黙っていた私も
「私も流石にその理由は無理があると思いますわ.......」
と言ってしまいましたわよ。
まぁ、その隣では、レオンハルト様もまさかの展開に驚いたんでしょうね。
「あ、あははは.....」
と乾いた笑みを浮かべていましたわ。
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