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152話

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怪我はないか、とのことですが、もし怪我をしているとしたらこの捻った足がどうなっているのか、ですわよね。

そう思った私は、レオンハルト様と伯母様にバレないよう、右足をタンっと地面に一度ぶつけてみましたわ。

うーん.....今のところは少しだけ違和感があるくらいで、特に気になるほどでもありませんわね。

きっと、捻ってすぐなので違和感を感じるだけで、気付いた時には普段通りに戻っているでしょう。

なんて思っていると、伯母様が

「んんっ!」

と一回咳払いをしたかと思ったら

「さて!じゃあ、行きましょうか!」

さっきまでの動揺?焦り?はどこへやら、元気にそう言うと、颯爽と王宮の中に入っていきましたわね。

なんだか最初の頃は何を考えているかわからないクールな印象だったんですが、一緒に生活するにつれて少しずつ印象が変わっていきますわね。

なんて思いながら

「おいていくわよー?」

と言う伯母様を苦笑しながら追いかけましたわ。


さて、伯母様について来て王宮に入ったのは良いですが......

「あの.....案内の従者を待つとかしなくても良かったんですの?」

なんだか怖くなってそう聞いてしまいましたわ。

だって、一般的に王宮を勝手に歩き回るなんてあり得ない話ですし、そもそもどこで陛下達と話をするのか、もわかっていませんのよ?

伯母様は自信満々に歩いていますが、何かしら怒られてしまいますわよ。

なんて思っていると、伯母様もレオンハルト様も

「まぁ、大丈夫よ」

というだけで、特に何も心配していないみたいですわね。

え、えっと?

もしかして、この国では貴族は王宮を勝手に歩き回っても良い、みたいな決まりがあるんでしょうか?

だから、さっきから何人ものメイドとすれ違っているのに何も言われないんでしょうか?

何の根拠があって、伯母様もレオンハルト様もここまで自信満々なのか理解できないですが、ここで置いて行かれたらどうして良いのかわからなくなってしまいますからね。

ついて行くしかないですわ。

そう思いながら、なんとか頭の中の考えを振り払ってレオンハルト様のエスコートのもと、伯母様の後ろをついて行くと、私が不安そうにしていることに気付いたんでしょう。

レオンハルト様がスッと私よりも少し前に出たと思ったら、

「夫人は王宮に来るのは日常みたいなものだから、そこまで心配しなくても大丈夫」

と言って、優しく微笑みましたわね。

......って、王宮に来るのが日常的?

これには思わず

「え、そ、それって......あのー......伯母様は王宮に用事があって来ていますのよね?」

と言ってしまいましたわ。

だって、いくら公爵夫人でも日常的に王宮に行く用事なんてあるのか、疑問ですもの。

伯母様のことなので、話をしに行っているだけ、の可能性もあると思いましたのよね。

ですが、そんな私の言葉はしっかりと伯母様にも届いていたみたいで

「私を何だと思っているのよ。用事がなかったらこんなにつまらないところに来るわけがないじゃない」

そう言って思いっきり笑われてしまいましたわ。

た、確かに、用事がなかったら王宮に来ないでしょうけど、つまらないって.....。

来るのに慣れてしまっているからこそ言える言葉なんでしょうね。

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