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151話
しおりを挟むこれで、着地に成功すればいいだけ.....という私の希望は叶わなかったようで、
「きゃっ!」
という短い悲鳴と同時に、右足を捻ったのがわかりましたわ。
これは、流石に体制を戻すことが出来ない、と反射的に判断した私は、ドレスが汚れることを覚悟して、目をギュッと瞑って体を固めました。
すると次の瞬間、覚悟していた衝撃が来ることは一切なく、その代わりに
「大丈夫?」
という聞き慣れた声と私の体がフワッと持ち上がりましたわ。
え、えぇーっと.......?
一体何が起こったのか、なかなか理解することが出来ない私は、とりあえず瞑っていた目を開いて、状況を確認しようとゆっくりと目を開けましたわ。
すると、私の視界に一番最初に入ってきたのは、複雑そうな顔をしているレオンハルト様と、そして凄く心配そうな顔をしている伯母様の姿が.........って
「れ、レオンハルト様?い、一体どうして?」
ど、どうしてレオンハルト様がここにいいますの!?
それに、今の状況って、レオンハルト様に腰を抱かれて支えてもらっている状況で.......。
相当重たいだろう、とは思っていますが、驚きのあまり体を自由に動かすことも出来なくて、ただただ動揺してしまいますわ。
そんな中、レオンハルト様は私の方を見ながら
「普通にここでセリスティア様達と待ち合わせる予定だったんだけど......まさか1人で馬車を降りるとは思っていなかったから驚きました」
と言って苦笑されてしまいましたわね。
まぁ、当然ですが、令嬢が1人で馬車を降りる、なんて無謀なことはしないですもの。
驚くに決まっていますわよね。
ですが
「だ、だって、何も聞いていませんし、伯母様も1人で降りていたので、同じことをしなさい、ということなのかなぁ......と」
私が思っていたことをそのままレオンハルト様に言うと、優しく私のことを見ていたレオンハルト様でしたが、その言葉に
「夫人.......」
とだけ呟いて、呆れたような視線を伯母様に向けましたわね。
正直、そんなことをしてもいいのか、と驚きましたが......伯母様とレオンハルト様って、親子のように仲が良いですわよね。
伯父様とブレイドとも仲が良いですし。
なんて呑気に思っていると、私が馬車を降りる前までは、いたずらっ子のようにニヤニヤと笑みを浮かべていた伯母様でしたが流石にこんなことになるのは想像もしていなかったんでしょう。
レオンハルト様の視線に慌てたように
「わ、私だって、手を貸して欲しいと言われると思っていたわよ?でも、何も言ってこないから降りられるのかと思って.......」
と言い訳のようなことを言っていますわね。
まぁ、私の方も伯母様にしっかりと手伝って欲しい、とお願いするべきでしたわ。
なので、責めることは出来ません。
そう思って、特に伯母様に文句を言うこともなく、ただただ2人の様子を眺めていると、そんな私に気付いたんでしょう
「とりあえず、間に合って良かったです。怪我はないですか?」
とレオンハルト様に聞かれたので
「え、えぇ。大丈夫だと思いますわ」
そう言って微笑みましたわ。
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