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138話
しおりを挟むエリザベート様から届いた手紙の内容ですが......まぁ、ハッキリと言うと想像通り他愛のない話ですわね。
最初に体調は崩していないか、殿下から大体の話は聞いている、と言うことが書いてあって、殿下の手紙には書かれていない学園での出来事や最近のお茶会で話題になっていることなどが書かれていましたわ。
どうやら学園では私が戻ってくるのか、来ないのか、ということが話題になっているみたいですわね。
最初は私がどこに行ってしまったのか、原因は何か、と騒がれていたみたいですが、数か月経ったことによって話題が変化したんだとか。
別に私のことが話題になるのは仕方のないことかもしれませんが、既に数か月経っているのに誰が話題に挙げていますの?という感じですわよね。
貴族の噂は流れるのが早いですし、すぐに他の話題に移ります。
それなのに、私の話題はいまだに、というのを考えると......もしかしたら私ってこう見えて人気者だったんでしょうかね?
なんて心の中で少し調子に乗りながら手紙を読み進めましたわ。
殿下の手紙は、基本的に事務的な事と言いますか......領地はこうなっている、これが問題だ、こんな対策をした......みたいな感じで、手紙というより連絡だったんですの。
ですが、エリザベート様の手紙は、友人に書く手紙のような......別に手紙に書く必要ないのでは?というような内容で、読んでいて楽しいんですのよね。
だからと言って、殿下にもエリザベート様のような手紙を書いて欲しい、というわけではありませんが、今まで堅苦しい手紙ばかりだったので今回の手紙は本当に嬉しいですわ。
そんなことを思いながら、ニコニコしていると
「なんだか良い事が書いてあったんですか?」
とユーリに聞かれましたわね。
まぁ、内容よりも早くエリザベート様の字が見たい、とソワソワしているのが顔に出てしまっていますけどね。
そんなユーリに
「うーん.....別に良い事、とかではないんだけど、他愛のない話、みたいな」
そう言って、うふふ、と微笑むと私の言葉に納得したみたいで
「あぁー.....メイド長達の手紙も堅苦しいですもんね」
なんて言いながら頷いていますわね。
あら、ユーリも堅苦しい手紙の内容だ、とは思っていましたのね。
とはいえ、きっとメイド長達からすると、至って普通の書き方なんでしょうけど.......。
それに、内容も真面目なものが多いので仕方がない事かもしれませんわよね。
なんて思いながら手紙を読み進めましたわ。
うーん....このまま黙って読み進めるのもユーリが暇になるでしょうし......。
そう思った私は、手持ち無沙汰状態になっているユーリに
「あっちの国では、なぜかスコーンに人気が出ているみたいですわね」
と声をかけると、話しかけられると思っていなかったんでしょう。
一瞬驚いた顔をしたユーリですが、すぐにパァっと明るい笑顔になって
「スコーンですか!?美味しいですけど、一体何があったんでしょう?」
と話に乗ってくれましたわね。
何があってスコーンに人気が出たのか.....確かに気になりますわね。
エリザベート様に聞いたらまた手紙が来るでしょうか?
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