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103話 義父side
しおりを挟む今日も俺は、何度目かわからないため息をつきながら領地関係の書類と向き合っていた。
というのも、多少時間はかかったが2つの領地の仕事が出来るようになった。
ただ、流石に良くすることなんて出来ないから、これ以上悪化しないようにする、というくらいにしか俺には出来ないけどな。
セリスティアが戻ってくるまでに、領地がなくなっている、という状況にはならないだろう、と思っている。
そんなことを思いながら、終わりの見えない書類に視線を向けた。
はぁ.......あれから陛下と話をする機会が全くないが、俺はしっかりと領地経営が出来ているんだよな?
侯爵側の仕事を見るたびに、俺では対処できないような難しい内容のことまでしっかりとやれれていて、日に日に自身だけがなくなっていく。
そんな状況にも関わらず、相変わらずあのバカ2人は遊び歩いているみたいだしな。
まぁ、アーリアに関しては婚約者を探そうとしている、というだけでも大きな進歩だと思わないとやっていられないな。
そう思いながら、待機していたメイドに
「ユーミアはどこにいるんだ?」
と聞いてみることにした。
この年齢になって遅いとは思ったが、ユーミアには俺の仕事を少しでも手伝えるように、と昨日の夜に教材を渡しておいたんだが......あいつのことだから終わったら自慢げに話しをしに来ると思ったんだけどな。
そんな気配は一向にないし、そもそも勉強しているのかすら把握できていない。
なんて思っていると、俺の質問にメイドは一瞬キョトンとした顔をして
「奥様ですか?えっと......今お屋敷の中には居なくて.........」
そう言ったところで、言葉を詰まらせてしまっていた。
俺が思わず
「はぁ?領地のことを手伝えるように勉強しておけと言ったはずだが」
と言ってしまったからだとは思うが.......いや、でも腹立たしいだろう?
俺は毎日のように仕事をしているというのに、あいつは遊び歩くだけ。
家にいると思ったら、ソファーでゴロゴロしながらお菓子を食べるか、寝ている。
本当に.....なんでこんなのと結婚してしまったのか。
セリスティアが戻ってきたらユーミアと離婚するか?
だが、そんなことをしてしまったらこの領地は完全に終わってしまう。
はぁ.......ユーミアの両親は生きているものの、あまり関りがないせいで、話をすることも出来ないし、どこで隠居しているのかも知らない。
こんなことなら、婚約していた時にしっかりと会話をしておけばよかった....。
そう思いながらチラッとメイドを見ると、俺がまだ怒っていると思っているのか
「も、申し訳ございません」
焦ったような顔をして謝罪されてしまった。
はぁ......別に怒ってはいないが、なんとも言えない複雑な心境になってしまうな。
そんなに怖い表情をしていたか?
.......まぁ、苛立っているのは正解だからなんとも言えないような気もするけどな。
なんて思いながら、メイドが部屋から出て行くのを眺めた。
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