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83話
しおりを挟むレオンハルト様と応接室を出て、温室にやってきた私たちは、早速楽しく話を始めました.......と言いたいところですが
「...........」
「...........」
2人とも、何を話せばいいのか、と様子を窺っている状況で、無言の時間が続いていますわ。
えっと....本当に初対面の人と2人きりになるなんて数十年ぶりなので、何を話したらいいのかわかりませんわね。
ですが、ずっと無言でいるわけにもいきませんし.......。
とりあえず、と思ってレオンハルト様の顔をチラッと見ると私と同じことを考えているのか、眉間に皺を寄せて、何かを考え込んでいますわ。
応接室では失礼になるか、と思ってレオンハルト様の顔をしっかりと見ませんでしたが、こうやって見ると、とても整った顔をしていますのね。
金色の髪の毛はサラサラ、紫色の瞳をしていて、切れ長の目なのに、どこか優しさを感じる様な雰囲気をしていますわ。
見た目もこれほどいいのに、婚約者が居ないのは本当に不思議ですわよね。
なんて思っていると、私の視線に気付いたのか、レオンハルト様と目がしっかりと合ってしまったので
「あの..........レオンハルト様の調査書を見たときに思ったんですが、なぜ今まで婚約者が居ませんでしたの?」
と反射的に聞いてしまいましたわ。
聞いた後に、まずい、と思いましたが、もう遅いですわよね。
うわぁ.....聞かれたくないような話題だったらどうしましょう。
そう思いながら、レオンハルト様の様子を窺っていると、意外にも苦笑しながら
「実は、今までも婚約者を.....と思って父上たちと話はしていたんだけど、なかなか居なかったんですよね」
あっさりと教えてくれましたわ。
あら、思った以上に簡単な答えですわね。
もっと複雑な問題を抱えていたとばかり思っていましたわ。
ただ
「ですが、この国の令嬢たちは皆優秀だと聞きますわ」
確か、ティファー様が優秀な令嬢が多い、と言っていましたわよね。
それなのに、レオンハルト様の条件に当てはまる令嬢がいない、なんて厳しすぎません?
なんて思っていると
「まぁ、確かに勉強が出来るし、マナーもしっかりしている子が多いけど、女性なのにグイグイ来られるとどうしても引いてしまって.......」
そう言ったときのレオンハルト様は、当時のことでも思い出してしまったのか、笑おうとしてはいますが顔が引きつってしまっていますわね。
まぁ、確かに何人もの令嬢からアプローチをされると疲れますし、気分も嫌になりますわよね。
なので、詳しくは聞かない方が良いと思った私は、
「なるほど....そうでしたのね」
とだけ言って苦笑しましたわ。
すると
「あの、だったらセリスティア様のことも聞いても良いですか?なぜ2回も婚約がダメになったのか」
まぁ、当然ですが、私にも聞いてきますわよね。
わかっていましたわ。
「良いですけど、面白い話ではありませんわよ?」
と前置きをした後に、今までの婚約破棄された理由を説明しましたわ。
勿論、全てを言ってしまうと重たい話になりますし、今日が初対面ですから簡単に、ですけどね。
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