56 / 344
55話
しおりを挟む次の日のお昼ごろ。
家庭教師があるのは基本的に3日に1回、という少ないペースなので、今日はゆっくりと出来る日ですわ。
あ、ただ、毎回カティ様とリーシャ様を一緒に教えることは出来ないので、様子を見ながら日にちをずらすことになりそうだ、と伯母様には言われていますのよね。
なので、3日に1回、ではなく3日に2回のペースで伯爵家に行かなければいけない、ということですが........そう考えるとほとんどの日が伯爵家で過ごすことになりそうですわよね。
暇になるよりは良いと思いますが、なんだか伯爵家に申し訳なくなる頻度での来客なので、週一くらいでメイド達にも何か差し入れとかを考えておいた方が良いでしょうね。
なんて思いながら、一緒にお茶を飲んでいたブレイドに
「ねぇ、ブレイド。ジュミナ伯爵家について知っていることを教えてもらうことは出来る?」
と尋ねてみましたわ。
一応予定では、明後日にジュミナ伯爵家、と言うことですが、多少の情報は持っていた方が良い、と昨日でわかりましたのよね。
特に教え子となる2人のことも大事ですが、伯爵がどのような人なのか、ついでに夫人には何か嫌な噂はあるのか、ということなんかも聞けたらいいな、と思いましたの。
当然、公爵家と伯爵家なんて、学生時代に何かしらの関りを作らないとあまり話をすることもないので、詳しく聞けるとは思っていませんわ。
多少、で良いんですのよ。
ブレイドは私の質問に
「ジュミナ伯爵家かぁ........」
と難しそうな顔をして悩んでいますわ。
それはもう、本当に難しそうな顔、と言いますか......。
無理難題でも出してしまったかしら?と思ってしまうくらいの表情ですわね。
まぁ、急に尋ねた、ということもあるので少し申し訳なさはありますけど、そこまで表情に出しますの!?と言いたくもなる顔ですわ。
なんて思いながら、ブレイドに
「やっぱり、あまり関わったことがないかしら?」
と苦笑しながら言うと
「そうだね。年齢も少し離れているから話をする機会がないんだけど......噂程度のことだったら少し知っていることがあるよ」
ブレイドはそう言って、思い出しているのか眉間に皺を寄せていますわ。
うーん....まぁ、領地と伯爵家の様子を見たときに少し思いましたが、これと言った特徴もなく、爵位も真ん中あたりなんですのよね。
なので、公爵家や王族の人達からしてみると、あまり印象に残らないような家なのかもしれません。
まぁ、そうはいっても、何か大きな功績を残している家だったら伯爵家だろうと男爵家だろうと、印象には残るので
本当に何もないんでしょう。
.....と、ここまで厳しめに伯爵家のことを推測しましたが、しっかりと領地経営をしている、というだけでも十分凄い事なんですのよ。
そう思いながら、なんとか必死に思い出しているブレイドに
「覚えていることだけでもいいの。教え子になる2人のこともだけど、伯爵のことも何か知っていたら教えてくれると嬉しいわ」
と言うと、ブレイドは一瞬私が言っていることに驚いた顔を見せましたが、すぐに
「あぁ、そういうことね」
とだけ呟いて、ニヤッと笑いましたわ。
え、えーっと......そのブレイドの笑みは何を意味しているのか全く理解が出来ませんが......嫌な笑み、という訳ではありませんわよね?
大丈夫ですわよね?
11
お気に入りに追加
4,199
あなたにおすすめの小説
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。
金の亡者は出て行けって、良いですけど私の物は全部持っていきますよ?え?国の財産がなくなる?それ元々私の物なんですが。
銀杏鹿
恋愛
「出て行けスミス!お前のような金のことにしか興味のない女はもううんざりだ!」
私、エヴァ・スミスはある日突然婚約者のモーケンにそう言い渡された。
「貴女のような金の亡者はこの国の恥です!」
とかいう清廉な聖女サマが新しいお相手なら、まあ仕方ないので出ていくことにしました。
なので、私の財産を全て持っていこうと思うのです。
え?どのくらいあるかって?
──この国の全てです。この国の破綻した財政は全て私の個人資産で賄っていたので、彼らの着てる服、王宮のものも、教会のものも、所有権は私にあります。貸していただけです。
とまあ、資産を持ってさっさと国を出て海を渡ると、なんと結婚相手を探している五人の王子から求婚されてしまいました。
しきたりで、いち早く相応しい花嫁を捕まえたものが皇帝になるそうで。それで、私に。
将来のリスクと今後のキャリアを考えても、帝国の王宮は魅力的……なのですが。
どうやら五人のお相手は女性を殆ど相手したことないらしく……一体どう出てくるのか、全く予想がつきません。
私自身経験豊富というわけでもないのですが、まあ、お手並み拝見といきましょうか?
あ、なんか元いた王国は大変なことなってるらしいです、頑張って下さい。
◆◆◆◆◆◆◆◆
需要が有れば続きます。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~
榎夜
恋愛
「貧乏令嬢となんて誰が結婚するんだよ!」
そう言っていましたが、隣に他の令嬢を連れている時点でおかしいですわよね?
まぁ、私は貴方が居なくなったところで困りませんが.......貴方はどうなんでしょうね?
婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~
tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。
正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。
ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。
7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。
なーさ
恋愛
7年前に隣国との交換留学に行った6歳下の婚約者ラドルフ。その婚約者で王城で侍女をしながら領地の運営もする貧乏令嬢ジューン。
7年ぶりにラドルフが帰国するがジューンは現れない。それもそのはず2年前にラドルフとジューンは婚約破棄しているからだ。そのことを知らないラドルフはジューンの家を訪ねる。しかしジューンはいない。後日王城で会った二人だったがラドルフは再会を喜ぶもジューンは喜べない。なぜなら王妃にラドルフと話すなと言われているからだ。わざと突き放すような言い方をしてその場を去ったジューン。そしてラドルフは7年ぶりに帰った実家で婚約破棄したことを知る。
溺愛したい美貌の年下騎士と弟としか見ていない年上令嬢。二人のじれじれラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる