上 下
49 / 344

48話

しおりを挟む

想像は出来ていましたが、あの子というのは伯爵家の次女のことらしいんですの。

現在、カティ様が14歳で、次女は10歳、とのことだったんですが、ある日を境に急に部屋から出て来なくなってしまったんですって。

そのある日、というのが1つ年上の第二王子の生誕パーティーだったらしいんですのよね。

ただ、パーティーの最中にずっと隣で見張っていたわけではないので、何があったのかはわかっていないらしく、理由を聞いても何も話してくれないんですって。

なので、今も部屋の中に引きこもっている真っ最中、とのことなんですが.......

「それは、いつ起こった話ですの?」

とカティ様に尋ねると、顎に手を当てて少し考えた後に

「えっと.....大体2年前くらい、だったと思いますわ」

そう言うと、引きこもってしまった当時を思い出してしまったのか、少し悲しそうな顔をしましたわ。

まぁ.....そうですわよね。

自分の妹が2年間も部屋の中で引きこもっているんですからね。

私には兄弟がいないので気持ちがわかる、とは言えませんが、カティ様の立場だったら悲しくもなってしまいますわ。

だからこそ、カティ様の言葉に

「そうでしたのね.......」

とだけ返事を返すと、カティ様は悲しそうな顔をそのままで

「私もお母様も、リーシャが部屋から出てきてくれるだけで良いんですが、お父様が年齢を考えると家庭教師くらい付けるべきだ、と無理やり意見を通しましたの」

そう言うと、拳を強く握りしめて、下を向いてしまいましたわ。

きっと、夫人もカティ様も家庭教師なんかよりリーシャ様が部屋から出ることだけを優先させたかったんでしょう。

私も同じ立場だったらその考えを賛成しますわ。

だって、マナーや勉強は、部屋から出るからこそ必要なことなんですもの。

それなのに引きこもったまま家庭教師だけ付けても意味がないですわ。

ですが、伯爵は周りからの評価を考えたんでしょうね。

はぁ.....そう考えるとあの伯爵の印象がガラッと変わりますわ。

そう思いながら下を向いているカティ様に

「ではリーシャ様?は、自分に家庭教師が付いたことは知っていますの?」

と尋ねると、少し難しそうな顔をしながら

「一度、私と同じ家庭教師にお願いしましたの。でも、先生とは相性が悪かったみたいで.......」

そう言いましたわ。

カティ様と同じ、ということは、伯爵が変更したくなさそうにしていた家庭教師のことですわよね。

あんなにも伯爵が変えたくない、と言っていた人なので、きっといい人なんだろう、とは思っていましたが、やっぱり相性、というのは誰にでもあるものなんだ、とわかりましたわ。

ただ、カティ様とは相性がよくてリーシャ様とは相性が悪い、ということですわよね?

........わ、私とは大丈夫かしら?

なんて思っていると、

「とりあえず、リーシャの部屋に案内しますか?」

とカティ様が提案してくれましたわ。

正直、今日は話を聞くだけの予定でしたが、事情が事情なので合っておいた方が良いような気もしますわね。

少し不安なような気もしますが.......まぁ、このままズルズルと先延ばしにするわけにもいきませんしね。

そう思った私は、カティ様の提案に

「えぇ、お願いしても良いかしら?」

と頷きましたわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。ありがとうございます。

黒田悠月
恋愛
結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。 とっても嬉しいです。ありがとうございます!

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

金の亡者は出て行けって、良いですけど私の物は全部持っていきますよ?え?国の財産がなくなる?それ元々私の物なんですが。

銀杏鹿
恋愛
「出て行けスミス!お前のような金のことにしか興味のない女はもううんざりだ!」  私、エヴァ・スミスはある日突然婚約者のモーケンにそう言い渡された。 「貴女のような金の亡者はこの国の恥です!」  とかいう清廉な聖女サマが新しいお相手なら、まあ仕方ないので出ていくことにしました。  なので、私の財産を全て持っていこうと思うのです。  え?どのくらいあるかって?  ──この国の全てです。この国の破綻した財政は全て私の個人資産で賄っていたので、彼らの着てる服、王宮のものも、教会のものも、所有権は私にあります。貸していただけです。  とまあ、資産を持ってさっさと国を出て海を渡ると、なんと結婚相手を探している五人の王子から求婚されてしまいました。  しきたりで、いち早く相応しい花嫁を捕まえたものが皇帝になるそうで。それで、私に。  将来のリスクと今後のキャリアを考えても、帝国の王宮は魅力的……なのですが。  どうやら五人のお相手は女性を殆ど相手したことないらしく……一体どう出てくるのか、全く予想がつきません。  私自身経験豊富というわけでもないのですが、まあ、お手並み拝見といきましょうか?  あ、なんか元いた王国は大変なことなってるらしいです、頑張って下さい。 ◆◆◆◆◆◆◆◆ 需要が有れば続きます。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))  書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜
恋愛
「貧乏令嬢となんて誰が結婚するんだよ!」 そう言っていましたが、隣に他の令嬢を連れている時点でおかしいですわよね? まぁ、私は貴方が居なくなったところで困りませんが.......貴方はどうなんでしょうね?

7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。

なーさ
恋愛
7年前に隣国との交換留学に行った6歳下の婚約者ラドルフ。その婚約者で王城で侍女をしながら領地の運営もする貧乏令嬢ジューン。 7年ぶりにラドルフが帰国するがジューンは現れない。それもそのはず2年前にラドルフとジューンは婚約破棄しているからだ。そのことを知らないラドルフはジューンの家を訪ねる。しかしジューンはいない。後日王城で会った二人だったがラドルフは再会を喜ぶもジューンは喜べない。なぜなら王妃にラドルフと話すなと言われているからだ。わざと突き放すような言い方をしてその場を去ったジューン。そしてラドルフは7年ぶりに帰った実家で婚約破棄したことを知る。  溺愛したい美貌の年下騎士と弟としか見ていない年上令嬢。二人のじれじれラブストーリー!

婚約破棄って、貴方誰ですか?

やノゆ
恋愛
ーーーその優秀さを認められ、隣国への特別留学生として名門魔法学校に出向く事になった、パール・カクルックは、学園で行われた歓迎パーティーで突然婚約破棄を言い渡される。 何故かドヤ顔のその男のとなりには、同じく勝ち誇ったような顔の少女がいて、パールは思わず口にした。 「いや、婚約破棄って、貴方誰ですか?」

処理中です...