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39話
しおりを挟むユーリがミリアに事情を話すと、ミリアもどんどん険しい表情に変わっていきましたわね。
きっと、私と同じようなことを思っているんでしょう。
半年で何が出来るのか、と。
あ、もちろんユーリの言っていることは本当に良い事だと思っていますわよ?
ただ、期間が短い、ということと、家に帰らないといけない、ということを考えると色々と難しいんですのよね。
この領地に残骸が残らず、家に迷惑のかからないこと。
一番良い事は、この部屋で黙っていること、ということは嫌でも察してしまいますわよね。
そんなことを思っているうちに、ユーリは、ミリアに一通りの説明をして、さっきと同じように何個かの提案を話すと
「ミリアさん!どう思いますか?」
と目をキラキラと輝かせて質問をしていましたわ。
ですが、ミリアはというと
「えっと........良い事だとは思うんですが.......」
そう言って私の方をチラッと見てきたので、思わず私も苦笑しながら
「少し難しいわよね?」
と言ってしまいましたわよ。
だって、ミリアが凄く言いにくそうにしながら助けを求めてきましたもの。
一方、ユーリはなぜ私たちがこんな反応をしているのかわかっていないみたいで、首を傾げていますけどね。
そんな姿を見たミリアはユーリに、私の言いたいことをしっかりと詳しく説明してくれましたわ。
なぜ私とミリアがここまで渋い顔をしているのか、と。
ユーリは話を聞いて
「まぁ、そうですよね........わかっているんですよぉ....」
とは言っていましたが、余程何かをしたかったのか凄く残念そうな顔をしていましたわ。
な、なんだか申し訳ない気分になりますわね。
私だって出来ることならユーリの希望は叶えてあげたい、と思うんですが。
なんて思っていると、ミリアが急に顔を明るくさせて
「こうなったら、公爵たちに聞いてみるとかはどうでしょう?」
と提案をしてきましたわ。
公爵、というのは伯父様達のことですわよね?
聞いてみる、と言っても何をどう聞くのか、と思った私は、
「というと?」
と短くミリアに尋ねると
「例えば、お嬢様も領地のことを管理していましたし、何か手伝えることありそうじゃないですか?」
ミリアはそう言ってニッコリと微笑みましたわ。
なるほど.......私が1人で何かをする、ということはなく、伯父様達のお手伝いをさせてもらう、ということですか。
確かに、それだったら邪魔になることもなく、公爵家にも恩返しが出来ますわね。
そう思った私は、ユーリに
「私はとてもいい話だと思うんだけど、どうかしら?」
と聞いてみましたわ。
いやいや、自分で決めろよ、と言われるかもしれませんが、ユーリが何かをしよう、と提案してくれたので、皆が納得することを、と思いましたのよね。
私の質問に、ユーリは一瞬だけうーん.....と考える様な素振りを見せましたが、すぐに表情を明るくさせて
「あと、夫人だって人手が欲しい、と思うことがあるかもしれませんしね!」
にこっと良い笑みで、そう言ってきましたわ。
すると、その言葉に付け加える様にミリアが
「私達も、メイドとして、というか、メイドの手伝いという感じで働かせてもらっていますしね」
と苦笑しましたわ。
ま、まぁ.....その件は流石に私から何も言うことが出来ませんわね。
と、とにかく、そうと決まったら伯父様達のところに行って、何かやることはないか、と聞いてみましょう!
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