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27話
しおりを挟むブレイドの反応に、違和感を感じた私は、黙ってお茶を飲めばよかったんですが、少し気になったので
「もしかして........」
と聞いてみることにしましたわ。
ふと思ったこと.......と言いますか、伯父様達の話を聞いて、ずっと気になっていたんですが、
「ブレイド様は私のお母様の話ばかりされて、うっとおしく感じませんの?」
ということですわ。
だって、確かにお母様は亡くなってしまいましたがブレイド様からしてみると、少し厄介だとは思いませんか?
自分の両親が亡くなった叔母のことを今でも可愛がっていて、何かあったらお母様の名前が出てきて。
私だったら少し嫌いになってしまうような気すらしますわ。
なんて思っていると、ブレイドは私の質問に一瞬驚いた顔をしていましたが、すぐに柔らかい表情に変わって
「まぁ、昔は少しムッとしたかな?父上も母上も、なんでもかんでもセリアーティが、と話をしてくるからね」
と言ってきましたわ。
これには
「やっぱりそうですわよね」
と呟きましたが、まぁ、そうですわよね。
私も同じ立場だったら複雑な心境になったと思いますもの。
そう考えると、ブレイドには申し訳ないですわ。
でも、ここで私が謝罪をするのも何か違うような気がして、何と言おうか、と言葉を詰まらせていると、無礼ぢは優しい表情で
「でも、今では亡くなった後でもそこまで皆に好かれる叔母様って凄い人なんだな、と思うし、話を聞くのも楽しくなってきているよ」
と言ってきましたわ。
話を聞くのが楽しい、ですか。
そう言われても、さっきのブレイドの表情を思い出すと、素直に納得できませんわ。
だって、明らかに苦笑していましたもの。
なので、ブレイドに
「ほ、本当ですの?いい加減にしろ!と言いたくなっていたりとか..........」
と聞いてみました。
まぁ、自分で聞いたものの、いざ本当に
「いい加減にしろって思っている」
という話をされたら少し傷ついてしまいそうですけどね。
お母様のことを悪く言われているような気分になってしまいますもの。
面倒な奴だ、と思わないで欲しいですわ。
なんて思っていると、ブレイドは手を横にブンブン振って
「いやいや、それどころか最近は叔母様の伝説のようになっている話を聞かせて欲しい、とお願いしているくらいだよ」
そう言うと、本当だよ、とでも言いたそうにしっかりと私の目を見つめてきましたわ。
確かに、この目を見るととても純粋.....いや、でも本当はどう思っているのか、なんてブレイドにしかわかりませんわ!
なんて思いながら、これ以上は聞いても答えてくれないだろう、と思った私は
「それならいいんですが.......」
と呟くと、
「そんなことよりも、もっと明るい話でもしない?せっかく久しぶりに会ったんだしさ」
ブレイドはそう言うと、ニッコリと笑っていろんな話の話題を出してくれましたわ。
ブレイドの婚約者がどのような人なのか、ということから、私が領地内でどんな経営をしているのか、などを話しましたが、ブレイドは聞き上手なんでしょうね。
話をしていて、もっと話したい、と思わせてくれるような反応をしてくれてとても気分が良かったですわ。
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