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7話
しおりを挟むエリザベート様とメイドの反応に少し戸惑いながらカイン様の言葉を待っていると
「隣国に行く、というのは別に止めないが、1人で行くつもりなのか?」
何やら真剣な顔をしてそう聞かれましたわ。
まぁ、確かに私も同じことを言われたら一番心配するところではありますわね。
だって、貴族の令嬢が1人で馬車移動だなんて危険以外でしかありませんもの。
するとカイン様の言葉を聞いたエリザベート様も
「そ、そうですわ!1人で行くとしたら危険すぎます!」
と私に詰め寄るように言ってきたかと思ったら、後ろで涙を堪えていたメイドまでもが
「もし1人で行くんでしたら私も一緒に.....っ!」
と、エリザベート様同様に凄い勢いで私に言ってきましたわ。
これには、あまりの押しの強さに引きそうになってしまいますが......ですが、私を心配してくれている、ということですわよね?
そう考えると、とてもありがたいことですわよね。
なんて思いながら、身を乗り出すように私に聞いてきた2人に
「流石に1人で行くなんてバカなことはしませんわ。メイド達もお母様たちにはうんざりしているみたいなので、希望した4人は連れて行こうと思っていますの」
と言いながら微笑みましたわ。
するとエリザベート様もメイドも安心したようにホッとした顔をしていますが、もしかして、何も考えずに言っていると思われていますの?
流石の私もしっかりと考えることは出来ますわよ。
そう思った私は、思わず2人の反応に苦笑してしまいましたわ。
するとカイン様も、私が思っていることを察してくれたみたいで苦笑していますわね。
きっと、この2人は心配性なんでしょうね。
そう思っておきましょう。
なんて思いながら、再びお茶を口に含むと、カイン様が
「とにかく、隣国に行くことについてはわかった。それから、今の話は父上に伝えても大丈夫か?」
と私に聞いてきましたわ。
さっきから、私がお茶を飲んだタイミングで質問してくることに関しては少し気になりますが.......まぁ、特に何も考えていないんでしょう。
そう思いながら持っていたカップをテーブルの上に置きながら
「えぇ、もちろんです。陛下にはとてもお世話になったので挨拶に行きたかったですが、よろしくお伝えしてくれると嬉しいですわ」
と微笑むと
「わかった」
カイン様はそう短く返事をしてくれましたわ。
なんだか思った以上にあっさりと許可が出ましたわね。
色んな問題があるので、もう少し止められると思っていましたわ。
話が思った以上に早く片付いた私は、とりあえず一安心だ、と一息ついていると、カイン様の隣に座るエリザベート様が
「いつ国を出るつもりですの?」
気のせいかもしれませんが、とてつもなく目をキラキラと輝かせて聞いてきましたわ。
貴族令嬢の間では、隣国に行きたい、と思っている人が沢山いる、と聞いたことがありますが.......もしかしてエリザベート様もなのかしら?
少し意外ですわね。
そう思いながら、隣国に行く日を伝えようと思いましたが、きっと2人も想定していないであろう日に行くので少し言いにくいですわね......。
なんて思っていると、カイン様も気になるみたいで首を傾げて私のことを見ていましたわ。
こ、これは言うしかありませんわよね。
というか、ここまで話をしたのに出発する日を言わないなんてあり得ませんもの。
そう思った私は、意を決して
「それが.........」
と呟くと、私の真剣な雰囲気に2人も息を呑んだのがわかりましたわ。
そんな2人を見ながら、スゥっ息を吸い込んだ後に、こう答えましたの。
「今日の放課後、そのまま向かおうと思っていますの」
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