私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
3 / 344

2話

しおりを挟む

後ろから

「ちょっと!まだ話は終わっていないわよ!」

という声が聞こえてきたような気がしますが、まぁ、気のせいでしょうね。

そんなことよりも、家から出て行く、なんでこんなに簡単なことが思いつかなかったんでしょう?

ここは私の家なので出て行く、という考えは全くありませんでしたが凄く良い提案ですわ。

そう思いながら部屋に入ると、専属メイドのユーリが私の部屋のベットメイキングをしていましたわ。

こんな時間にだなんて珍しいですわね。

今日は何か忙しかったのかしら?

そう思いながらベットに近付くと、私の気配に気づいたユーリが

「お、お嬢様!?」

と驚いた顔をして私を見ていますわ。

どうしたんでしょう?

私の部屋なのに入ったらまずい事でもあるのかしら?

そう思ってベットを見ると、今日学園に行く前は綺麗に整っていたはずのベットが、今はワインか何かをかけられて赤く染まっていますわ。

それに、これは.......ガラスかしら?

透明のかけらが沢山落ちていますわね。

これにはつい

「これは..........」

と言葉を失ってしまいましたわ。

するとユーリは、そんな私の様子に何を思ったのか

「す、すみません!お嬢様が来る前に気付いたら良かったんですが........」

そう言って、物凄い速さで頭を下げましたわ。

もしかして、私が怒っていると思ったんでしょうか?

別にユーリに対しては何も思っていないんですが。

強いて言うなら、怒るとしたらこれをやったあの2人のどちらかに対してなんですのよね。

なんて思いながら、本当に申し訳なさそうに謝っているユーリに

「ユーリは何も悪くありませんわ。やったのはどうせお母様かお姉様なんでしょう?」

と優しく声を掛けましたわ。

するとユーリは

「は、はい..........」

と小さな声ですが返事をしてくれましたが、ユーリにこんなにも悲しそうな顔をさせている、ということがベットを汚されたことよりも苛立ちますわね。

昔だったらこんな顔をさせることなんて絶対になかったのに....。

そう考えると、今まで溜めていた怒りも沸々と込みあげてきましたわ。

もう少し考えてからにしよう、と考えていましたが、やっぱり限界ですわね。

そう思った私は、片付けを進めようとしているユーリに

「ベットの片付けはしなくてもいいですわ。その代わり、荷造りを手伝ってちょうだい」

と声を掛けましたわ。

私がこの家から出て行ったら大変なことになることはわかっていますが、流石に我慢の限界です。

こんな家、本当に出て行きますわ。

そう改めて決心した私は、私の言葉にポカーンとしているユーリを横目にクローゼットの中から大きなキャリーバックを取り出しましたわ。

そんな私の姿に、本気だということはわかってくれたみたいですが、ユーリはまだ状況を理解できないのか

「ど、どうしたんですか?も......もしかして、家出.........」

と呟いているので

「まぁ、家出みたいなものですわね」

そう言って、適当に動きやすそうなワンピースとドレスを鞄に入れましたわ。

私が家から出る、ということは何を意味しているのか、この家の従者たちはよくわかっているので

「ですが、この家は......っ!」

と止めようとしますが、私の決意は揺らぎませんわ。

そう思いながら、改めて焦った顔をしてなんとか私を止めようとしているユーリに

「いいから。手伝ってくれるかしら?」

ハッキリと目を見てお願いをすると、諦めたのか

「.......わかりました!」

と頷いてくれましたわ。

私の存在がどれほど大きなものなのか、あの2人は身をもってわかればいいですわ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

幼馴染の婚約者を馬鹿にした勘違い女の末路

今川幸乃
恋愛
ローラ・ケレットは幼馴染のクレアとパーティーに参加していた。 すると突然、厄介令嬢として名高いジュリーに絡まれ、ひたすら金持ち自慢をされる。 ローラは黙って堪えていたが、純粋なクレアはついぽろっとジュリーのドレスにケチをつけてしまう。 それを聞いたローラは顔を真っ赤にし、今度はクレアの婚約者を馬鹿にし始める。 そしてジュリー自身は貴公子と名高いアイザックという男と結ばれていると自慢を始めるが、騒ぎを聞きつけたアイザック本人が現れ…… ※短い……はず

(完)そんなに妹が大事なの?と彼に言おうとしたら・・・

青空一夏
恋愛
デートのたびに、病弱な妹を優先する彼に文句を言おうとしたけれど・・・

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

妹が処刑さる……あの、あれは全て妹にあげたんです。

MME
恋愛
妹が好きだ。妹が欲しい物はみんなあげる。それであの娘が喜ぶなら何だって。それが婚約者だって。どうして皆が怒っているんだろう。お願いです妹を処刑しないで下さい。あれはあげたんです。私が我慢すればいいのです。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】

小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」 ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。 きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。 いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。

処理中です...