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30話 リディアside
しおりを挟むマリアンヌ様の冤罪が証明されました。
その報告を聞いて、どれほど喜んだことか......。
しかもその報告と同時期にマリアンヌ様の婚約のニュースも舞い込んできたんですもの。
お相手は、あのハルト殿下ですって。
ハルト殿下は留学に来ていたこともあって、何度か見かけましたが、誰に対しても優しくて、頭も良くて顔も良い完璧な人です。
マリアンヌ様と並んでいる写真を見ましたが、とてもお似合いな2人でした。
この国でも、もうマリアンヌ様のことを悪くいう人など居ません。
なんだか自分のことのように嬉しいですわ。
いい気分のまま、いつも通り学園に出勤したのに.........この人はなぜここに居るんでしょう?
学園に出勤すると、なぜか校門の前にユリアス様の姿が。
別に学園に来たのは悪いことではありませんよ?
ただ、ユリアス様は今謹慎中のはずです。
決まり事やルールに厳しかったユリアス様が、まさか王令を破るなんて思いませんでしたわ。
それに、ここに来た、ということは私と話をしに来たんですよね。
はぁ......もう会うことはないと思っていたんですけどね。
正直関わりたくありませんが、待ち伏せしているところが校門の前なので仕方ありません。
意を決して校門に近づくと、私の姿に気付いたユリアス様が
「リディア!」
と大きな声で私の名前を呼んで駆け寄ってきました。
この人、頭だけは良いと思っていたのに、アリスさんと一緒にいたせいで、何も考えられなくなったんですかね?
「なんですか?私はもうお会いしたくなかったんですが」
出来るだけ冷たく突き放すようにそう言うと
「そんなこと言わないでくれ!俺が悪かったことはわかっている。でもこれだけは伝えたかったんだ」
俺が悪かったことはわかっている?
何に対してでしょうか?
王令を破ったこと?婚約破棄したこと?
どちらにしても、私にはもう関係ありませんわよ。
そう思っていると
「俺と再び婚約を結んで欲しい。リディアがいなくなって、どれほど大切な存在なのか気付いたんだ」
「無理ですね」
思った以上に低めの声が出てしまいました。
あまりにもバカバカしくて。
「な、なぜだ!」
なぜ?
逆に聞きたいんですが、なぜ私が再び婚約を結んでくれると思ったんでしょう?
でも、先にユリアス様の質問に答えましょうか。
「だって私はユリアス様のことが好きだったこと、1度もありませんもの」
私がそう言うと、ユリアス様は今まで見た事がないような間抜け面で
「.........は?」
とだけ言って固まってしまいました。
あら?私がユリアス様のことを好いていたとでも思っていたんでしょうか?
それはありえませんよ。
思わずため息をついてしまいました。
そして
「王令を破ってもいいんですか?今すぐに憲兵に報告することも出来ますが」
そう言って、呼びに行こうとすると
「ま、待ってくれ!」
ユリアス様は私の足に縋りついてきました。
はぁ.........元々低かったユリアス様への評価がもっと下がりましたわ。
「いつまで過去を引きずるつもりですか?自分でやった行いが返ってきただけでしょう?自業自得です」
本当に、いつまで引きずるんですか。
元婚約者に縋るより、他にやることがあるでしょうに。
「今回は見逃してあげますが、次来たら迷うことなく憲兵に引渡しますからね」
そう言って、校門を通り過ぎた。
もう二度と関わりたくないですわ。
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