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17話 レオンside

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俺は公爵家の長男として生まれた。

下に弟がいるけど、弟はすごい優秀で、ユリアスがいなかったら宰相候補として名前が挙がっていたくらいだ。

いや、別に俺だって頭がが悪いわけではない。

テストでは必ず20番目以内には入っていたし、ダンスも人並みには出来ると思っていた。

ただ、弟はそれ以上に優秀すぎた。

当主を俺ではなく弟にした方がいいという話も出ているくらいだ。

勉強も、ダンスも、剣も、全て完璧で、婚約者との仲も良好。

一方俺は、全てが人並み程度。

婚約者とは仲が良くもなく、悪くもなく。

頑張らなきゃ、という思いだけが先走ってしまって結果がついてこない。

そんな自分に嫌気がさして、婚約者だったスカーレットに八つ当たりもした。

ただの八つ当たりをしている俺に対してスカーレットは何も言わず、ただただ黙って俺からの暴言に頷いていた。

そんなスカーレットになぜか腹が立って、気が付いた時には関係が悪くなっていた。

いつまでこの状況が続くんだ...いっそのこと弟に全てを譲ったら楽になれるんじゃないか?

そんなことばかり考えるようになっていたときアリスと出会った。

アリスと話をしている時だけはなぜか心が安らいでいく自分に気付いて、ほとんどの日を一緒に過ごすようになった。

もちろん、スカーレットに苦言を言われたが、別に気にすることなく聞き流していた。

正直、スカーレットといるよりもアリスといた方が楽しかったし、まぁ、所詮は政略結婚だから、という思いだった。

ある日、いつも通りアリスと話をしていると、急に

「スカーレット様と仲が悪いんですよね!婚約破棄したらいいじゃないですかぁ。アリスが婚約者になりますよ~
と言われた」

別にスカーレットが嫌いなわけじゃない。

仲は....確かに悪いかもしれないが。

流石に一瞬躊躇った。

親が決めた相手だから何かしらの条件があると思ったから。

でもそれは、本当に一瞬で、アリスが婚約者になってくれる、と聞いたらいてもたってもいられなかった。

その時の俺は、アリスと一緒だったら頑張れる。

弟じゃなくて、俺が当主に相応しい、と言ってもらえるようになるはずだ!

そう思っていた。

でも現実は違った。

スカーレットとの婚約はあっさり解消された。

それは別に構わない。

自分で望んだんだからな。

でも、スカーレットと婚約破棄してから俺の居場所がなくなった。

両親も俺に期待することをやめ、弟からも話しかけられなくなった。

だから、学園を卒業してからは逃げるように王宮に通った。

王宮に行けばアリスに会えるから。

アリスはモテるから色んな男に言い寄られているけど、最後には俺を選ぶから大丈夫、そう思っていたのにアリスは違う人を選んだ。

俺の今までの行動は何だったんだ?

何かの間違いだと思いたい、そんな一心でアリスに話しかけるけど出てくる言葉はアリスが言ったとは思えないものばかりだった。

挙句の果てに、仕事はしない?

アリスとなら頑張れると思っていたのに、俺の気持ちを全て踏みつぶされた気分だった。

俺は間違っていたんだな。

絶望ともう一つの思いを胸に王宮を後にした。

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