46 / 48
45話
しおりを挟む『ハルト・ハーヴェン』
カインと同じ金髪をしていて、目の色は緑。
ただ一言、優男だ。
確かカインが王位剥奪されたから、次の王太子だとか言ってたような気がする。
「リナさん、少しお話があるんですがいいですか?」
とハルトが言うと、なぜか皆生暖かい目で私を見ていた。
てっきり、シエラに話があると思っていたから驚きよ。
シエラ達に確認をとると、微笑みながら頷いてくれたので、
「大丈夫です」
と言って席を離れた。
人気のないところまで来ると、ハルトは急に私に頭を下げた。
何事か!?と驚いていると
「兄が迷惑をかけて申し訳ございません」
と謝られた。
あー...なるほど。
カインのことね。別に私は大した被害もないし、何も思ってなかったわ。
「顔を上げてください、ハルト殿下」
と私が令嬢のごとく微笑みながら言うと不安そうな顔をしていた。
「私は何も気にしていませんし、シエラ様たちがこの件は終わった、と言っているんです。謝らないでください」
と言うと、ハルトはふわっと笑ってありがとう、と言ってきた。
やべぇ、カッコイイわ。
いやー...実は私の推しってハルト殿下だったのよ。
だから、モニカにカイン達が取られても何も思わなかったのよね。
一目でいいから見たいなって思ってたら、まさか話しかけられるとは...
勉強頑張ってて良かった。
「それで......あの、話はもうひとつありまして...」
とハルト殿下が頭を掻きながら照れくさそうにしている。
え、可愛い。嫁に欲しいです。ありがとうございます。
そんなことを思っていると悟られないように、なんでしょうか?と令嬢らしく首を傾げるとハルト殿下は
「その...俺の婚約者になってくれませんか......?」
と言ってきた。
あー!可愛い可愛い!
なに!?その顔は!照れてんの!?かーわーいーいー!!
鼻息が荒くして、喜んで!と言いそうになった自分を諌めて
「申し訳ございません、お父様にも聞いてみないと私からはなんとも...」
とシュンとしたように答えると、
「今日、家の方にも申し込むつもりですが、先に本人に自分から言いたいって思いまして...」
え!嬉し!
なんて良い子なの?カイン様とは全く違うじゃないですか。
「ありがとうございます、嬉しいですわ。でもお返事は少し待ってもらいたいのです」
心の中が荒ぶっているけど、冷静に見えるようにそう言った。
だって、ゲームではカインが王になって、ハルトは侯爵になって、宰相として働く、だったけど今は王太子だ。
つまり、婚約者になったら次期王妃ということ。
それは私がほいほい了解したらダメなやつだからね。
めっちゃOKしたいけど!
その後は、他愛のない話を少し話をしてからハルトと別れた。
その間、ハルトに終始熱意のある視線を送られていたが、それに気付く余裕なんてなかった。
10
お気に入りに追加
1,108
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。
藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」
婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで←
うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。
悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい
砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。
風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。
イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。
一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。
強欲悪役令嬢ストーリー(笑)
二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。
『夜はイケオジになる呪い』を掛けられた元聖女ですが、冷酷非情な辺境伯様に気に入られたようです。……夜(♂)の姿を。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
聖女である私の旅は終わったはずだった。なのに――。
「どうしてイケオジになる呪いなんて掛かっちゃったのよぉお!」
魔王討伐の旅の果てで、私は魔王に“とある呪い”を掛けられた。
それは夜になると、オジサンの姿になるというあまりにもフザケた呪いだった。
だけどその呪いのせいで、悠々自適な余生を過ごすはずだった私の人生プランは呆気なく崩壊。私は聖女の役目を外され、辺境の教会に左遷されてしまった。
すっかりやさぐれた私は、イケオジの姿で夜の街を毎晩のようにダラダラと過ごしていたんだけど……。
「やぁレイ。今日も良い夜ですね」
冷酷非情で有名な辺境伯様と、なぜか私は飲み友達になってしまった。
しかも私を完全に男だと勘違いしている彼は、どうにも距離感がバグっていて――。
勇者アレクはリザ姫がお好き ~わたくし、姫は姫でもトロルの姫でございますのに~
ハマハマ
恋愛
魔王を倒した勇者アレクはリザ姫に恋をしました。
アレクは姫に想いを告げます。
「貴方のその長く美しい紅髪! 紅髪によく映える肌理細かな緑色の肌! 僕の倍はありそうな肩幅! なんでも噛み砕けそうな逞しい顎! 力強い筋肉! その全てが愛おしい!」
そう。
彼女は筋肉《バルク》たっぷり、なんと姫は姫でもトロルの姫だったのでございます。
◇◆◇◆◇
R3.9.18完結致しました!
R3.9.26、番外編も済んでホントに完結!
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
【完結】どうやら、乙女ゲームのヒロインに転生したようなので。逆ざまぁが多いい、昨今。慎ましく生きて行こうと思います。
❄️冬は つとめて
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生した私。昨今、悪役令嬢人気で、逆ざまぁが多いいので。慎ましく、生きて行こうと思います。
作者から(あれ、何でこうなった? )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる