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10話

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次の日の昼休み、『悪役令嬢』改め『モニカ被害者』達にリディアーヌが昨日の出来事を話していた。

すると、シエラ、アリア、サーシャ、ノエルの全員が同じことを言われていたらしい。

俺のやることにいちいち文句を言ってくるな!とか
、所詮は契約結婚になるんだから好きにさせろ、だとか...

婚約者のことをなんだと思っているんだって話よ!

.........あ、でも私がちゃんとヒロインとして機能していたらモニカの役は私だった...ってことよね。

ぶっちゃけヒロインって人の婚約者を横取りするただの淫乱女でしかないのよね......

それを考えると今こうして悪役令嬢達と仲良くなれて良かったなって思う。

ふふ、と私が急に笑いだしたせいで他の皆は首を傾げていたが、丁度昼休みが終わる時間に近づいていたから深く追求されなかった。






✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


.........何でこうなった?


昼休み明けの午後の授業は魔法の授業だった。

それも他のクラスと合同の。

なんでも、上のクラスの魔法を見て、下のクラスは学ぶことが出来るし、上のクラスは魔法を教えることによっておさらいにもなる...とのことで合同授業はよくある事だった。

でもさ、何で私がとペアを組まなきゃならないのよ...!

私の目の前には最近話題の人物...モニカが欠伸をしながら突っ立っている。

「せ、先生!なんでモニカさんと私なんですか!?」

「いや...その......ねぇ?だって聖魔法が使えるのは貴方達だけだし、リナさんは成績も授業態度も良いでしょう?少し刺激になったら、と思って」

私の勢いに押されながらも先生はそう説明してくれた。

いや、てか先生にそんなことを言われるとか、あの子どれだけ授業態度悪いのよ!

思わずはぁ...と溜息をついていると

「ねぇー、まだー?」

とモニカから声がかかった。

私が先生のところで話し続けているから暇なんだろう。自分の髪の毛をクルクルと指に巻き付けて遊んでいた。

うん。仲良くなれそうとか思った私が馬鹿だったわ。


決まったことだし仕方ない、と腹をくくってモニカの方へ行くと

「ねぇ、あんたヒロインじゃん?だから強ーい攻撃魔法とか使えるでしょ?見せてよ」

と唐突に話しかけてきた。

確かに使えるよ?一応、私って全属性持ちだし魔力も異常に高いからね。でもさ、人に頼む態度じゃないんだよな、これが。

モニカに対してイラッときたけどそれを表には出さずに

「でも、流石に授業で使うには危なすぎますわ。他の魔法にしましょう?」

私はニッコリ微笑みながらそう言った。

すると、モニカは酷く顔を歪めながら

「平民上がりのアンタが、この私の言うことを聞けないっていうの!?」

その言葉に私の堪忍袋の緒が切れた。

「平民...?私にそう言うけど、じゃあ貴方がやっていることは?目上の人に対して敬意を払ったことがある?ないわよね?なぜそんな貴方の命令を聞かなければならないの?ねぇ?教えて頂戴?」

私が一気に捲したてると、モニカは面食らったようにポカーンとしていて、口をパクパクさせていた。

そんな姿を見ても私は言うことを辞めなかった。

「大体ね、危ないから止めただけじゃない?それに、平民だ、とか言っているけど今の私は貴方より地位が上よ?」

貴方は何人侮辱すれば気が済むの?と付け足してニッコリと微笑んだ。

自分が思ったよりも低い声が出てしまって驚いたが、流石にここまで言うとモニカも何も言ってこないだろう。

そう思った私が馬鹿だった。


モニカは急に目に沢山の涙を溜めて

「ひ、ひどい!!」

と叫び出したのだ。
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