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312話

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そう思いながら、お茶を一口含むと、急にアルフレッド様が真剣な顔になって

「ユーフェミアはこの国に嫁ぎたくて来たんじゃないよな?」

と聞いてきましたわね。

まぁ、確かにその通りですわ。

だって、嫁ぎに行ってくれ、と頼まれたようなものでしたし。

妹には愛しの婚約者が居て、私しかいなかったというのも大きな理由ですわね。

なんて、約半年前のことを思い出しながら

「そうですわね。お父様に言われたから、というのが大きいですわ」

と答えると、そんな私の言葉を聞いてアルフレッド様が

「出来れば帰りたいと今でも思うか?」

物凄く真剣な顔をして、そう聞いてきましたわ。

出来れば帰りたいか、ですか.......。

うーん.......そういえば、今まで嫌だとか、面倒だ、と思ったことは何度もありましたが、帰りたい、と思ったことはありませんでしたわね。

普通に考えると、あのような状況にいたら帰りたくて仕方がない、みたいな状況になるのが一般的だと思いますが......なぜでしょう?

なんだかんだで、この忙しい日々を楽しんでいた、とかでしょうか?

なんて思いながらも、答えはもうわかっていたので、真剣な顔をしているアルフレッド様に

「出来ることなら、最後までこの国にいたい、と思っていますわ。もちろん私が皇妃の間は国を危険な目に遭わせるようなことはしませんし、貴族達にも認めてもらえるよう、と思っていますわよ」

キョトンとしながらそう言うと、アルフレッド様はなんとも言えないような表情で

「そうか........」

と小さく呟きましたわね。

えっと......?何が言いたかったんでしょう?

あ、もしかして、ですが他に良い人がいた、とかでしょうか?

なので私ではなくその令嬢に皇妃をやってもらいたい、とか?

なんて思いながらアルフレッド様を見ると、なんでしょう.....?

複雑な心境といいますか.......。

あ、もちろんアルフレッド様が私を不要だ、というのであれば国に帰っても仕方がないとは思いますわ。

ですが、この席に自分ではなく他の令嬢が座っている姿を想像すると、怒りではなく悲しい.....?なんだか胸のところがモヤモヤとするような気がしますわ。

そう思いながらも、なかなか次の言葉を言わないアルフレッド様に違和感を感じて

「急にそんなことを言ってどうしましたの?」

と尋ねると、急に

「いや........その.........」

モゴモゴと言いにくそうにしていますわね。

まぁ、そりゃあ他の令嬢を皇妃に、なんて言いにくい話ですわよね。

ですが覚悟は出来ているんです。

ハッキリと言って欲しいですわ。

なんて思いながら、アルフレッド様の目をジッと見ながら言葉を待っていると

「この先も俺の隣に居てくれるのか、と思ったら安心したというか......だな」

小さい声でしたが、確かにそう言ったのが聞こえてきましたわ。

ですが、私が想像していた言葉とは全く違うので、なかなか理解が出来なかった私は

「え、えーっと?それは.......」

首を傾げながらキョトンとしていると

「ま、まぁ、今後もよろしくということだ!」

顔を赤くしたアルフレッド様はそう言ってそっぽを向いてしまいましたわ。

そんなアルフレッド様を見て

「えぇ、よろしくお願いしますわ」

と返事をしましたが、何故顔を赤くしているのか......流石にそれはわかりませんでしたわね。

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