皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

275話

なんとかアルフレッド様とリオン様の暴走を止めた私達は、とりあえず王宮に向かおうと馬車へと移動をしていましたわ。

まぁ......止めるのも結構大変でしたのよ？

リオン様が収まった、と思ったら今度はアルフレッド様が話を始めて、そしたら思い出したかのようにまたリオン様が話をして、そしたら今度はアルフレッド様がー......という感じで。

一生終わらないのかもしれない、とすら思いましたわ。

確かこの家の馬車が2台....だったかしら？

それに加えてアルフレッド様たちが乗ってきた物を合わせるとこの人数でも移動は可能だ、と考えていますが.....。

なんて思いながら、アルフレッド様にエスコートをされて廊下を歩いていると

「2人とも......っ！大丈夫だったの？」

そう言って私達の目の前に現れたのは、ギール様にそっくりな女性でしたわ。

まぁ、ここで会う、ということは、この女性が一体誰なのか、なんて聞かなくてもわかりますわよね。

だって、そうじゃなかったら一体何者なんだ、という話になりますもの。

なんて思っていると、私が想像していた通りフォルン様とギール様は

「母上！」

「お母様！」

と女性に向かって駆け寄って行きましたわ。

一方、縄で縛られているシルム様は急に現れた夫人に、都合の悪そうな顔をして下を向いていますが。

ということは、シルム様なりに罪悪感、というものを感じているか何か、なんでしょうか？

もし、罪悪感を感じているのであれば、最初からこのような犯罪まがいのことをしなければよかったのに。

なんて思っていると、私の隣にいたアルフレッド様がゆっくりと夫人に近付いて

「夫人、申し訳ないが一緒に王宮に来てもらってもいいだろうか？色々と聞きたいこともあるし、確認したいこともある」

と声を掛けましたわ。

まぁ......そうですわよね。

当然だとは思いますが、フェルマー様の奥様である夫人も、今回の件は何かしら関係性があるのでは？と考えるのは一般的なことだと思いますわ。

なので、仕方のない事だと思います。

アルフレッド様の言葉を聞いた夫人は、というと

「もちろんですわ.......私の知っていることは全て話させてくださいませ」

そう言ったときの表情がなんとなくですが、覚悟を決めたような、そんな表情をしていたのが凄く印象的でしたわ。


さて、こんなに大人数で廊下を歩くことなんて過去にも今後にもないでしょうね。

私とアルフレッド様、リオン様に夫人、フォルン様、シルム様、ギール様という7人で廊下を歩いているのですれ違うメイド達が皆

「え.......こ、皇帝！？ふ、夫人まで.......」

という驚きの声と共に、何が起こっているんだ、と様子を窺っているのがわかりますわ。

まぁ、当然ですわよね。

今まで仕事をして気付いていなかった、とはいえ、お客様が.....しかも皇帝が家に来ていて、自分たちの主人たちがほぼ全員集まっているなんて、何が起こっているのか聞きたくもなりますわ。