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257話
しおりを挟むうーん.....話をして思いましたが、ギール様は私の味方だ、と勝手に思っていますが......本当に良いのでしょうか?
もしかしたら、フェルマー様が油断させるためにギール様に何か指示している、という可能性も否定できませんわよね。
ですが、そんなことを言ったら誰1人信用できなくなってしまいますし.....。
なんて思っていると、ギール様は少し遠慮気味に
「あの.....皇妃様って他国から来たんですよね?」
と私に話しかけてきましたわ。
ただ、その表情はなんとなくですがフェルマー様が居た時よりは落ち着いているような気がしますわ。
怯えていない、といいますか。
急な質問だったので少し戸惑いながらも、ギール様に
「えぇ、そうですわよ」
とだけ答えると、
「皇妃様の祖国って、どんな感じなんですか?やっぱり、この国より賢い人が多いんですか?」
ギール様は、目をキラキラと輝かせながらそう聞いてきましたわ。
これって....もしかして、ギール様は他国に行きたい、という願望があるんでしょうか?
それとも、純粋に他国の話が気になった?
なんて思いながらとりあえず
「ま、まぁ.....頭の良さはなんとも言えないですが、この国の貴族よりはマナーがしっかりとしていますわ」
と話をすると、もっと教えて欲しい、と言わんばかりに何度も何度も、私の言葉に頷きましたわ。
なので、他にも私の国は割と顔が整っている人が多い、と言う話や、他国ではこのような研究が行われているんだ、ということを話してあげましたわ。
するとギール様は、終始目をキラキラと輝かせて話を聞いていて、最後に
「自分も将来はこの国を出て、平民でもいいから自由に暮らしていきたいんです!」
そう言うと、希望に満ち溢れているような、うっとりとした顔をして少し遠くを眺めましたわ。
平民でもいいので、国から出たい、ですか。
正直、自分の家の領地内での平民落ちだったらどうにでもなるんですのよね。
だって、仕事が安定するまでの間など、色々と援助をしてもらえますもの。
ですが他国での生活ともなると話は別ですわ。
色々と問題になることが多い、と聞きますし、そこまでリスクを背負ってまで隣国に行く理由がわかりませんわ。
とは思いましたが、そこでふと、気になることがありましたのよね。
なんとなく、ですが、もし私の思っていることが当たってしまったら、フェルマー様はまた罪を重ねてしまうことになりますわね。
なんて思いながら、そうではないことを願いながら
「ギール様は普段、どこで生活をしていますの?」
と質問をしましたわ。
すると、
「え?えっと......それはどうしてでしょう?」
とギール様は言いましたが明らかにどう返答しようか、と戸惑っていますわね。
うーん.....少し嫌な予感がしますわ。
戸惑っている様子のギール様には申し訳ないですが、
「だって、戴冠式の時もいなかったですわよね?その時、三男は留学で、とフェルマー様に説明をされて、他の3人は挨拶に来ていたんですの」
たたみ掛ける様に、そう質問をしましたわ。
嫌な予感というのは当たることが多いですからね。
これだけは、外れて欲しい、と願うばかりですわ。
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