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248話

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フェルマー様から何か情報を引き出せないか、と思って話しかけてみましたが、全く効果がありませんわね.......。

どうやら心理戦のようなことは通用しない、ということがわかりましたわ。

ただ、通用しないのはフェルマー様だけ、ということもわかりましたけどね。

....どうにかして、この子息様と2人になることが出来たら、こちらにも勝ち目があるような気がしますわ。

ただ、その機会はあるのか、ということが問題ですけどね。

そう思いながら、チラッと子息様の方を見ると、都合が悪いのか、それとも私とは目を合わせたくないのか、ひたすら窓の外を見て深呼吸をしていますわ。

この様子だと、急に話かけたら悲鳴でも上げてしまうんじゃないかしら?

なんて思っていると、急にフェルマー様が

「おい、目隠しだけ付けておけ」

と子息様の方に命令しましたわね。

なんでしょう?

この自分の息子のはずなのに、話しかける声が物凄く冷たいですわ。

それに、気のせいかもしれませんが目だって、氷のような冷たさです。

こんな目で自分の息子を見る人は初めてですわよ。

...そんなことを考えているうちに、子息様によって目隠しをされてしまうんですけどね。

ですが、目隠しをした、ということは外の景色が見られないように、ということですわよね?

つまり、目的地に物凄く近い、ということですわ。

その証拠に

「皇帝が助けに来る間、私と一緒に何をしますか?一部の地域でロシアンルーレット........でしたっけ?そんな名前のゲームが流行っているらしいんですが、どうでしょう?」

とすでに到着した後のことをフェルマー様が楽しそうに話しかけてきますもの。

ロシアンルーレット、ですか。

確かこの国から5つほど離れたところで、1年前くらいから流行している悪趣味なゲームですわよね。

拳銃を使ったゲームで、一発だけ当たり.....つまり弾を入れて、順番に引き金を引いて誰が当たるか、というゲーム。

確か、あまりにも残虐だ、ということで禁止された、とお兄様が物凄く険しい顔をして教えてくれましたわ。

まさかフェルマー様が知っているとは思いませんでしたけど。

なんて思いながら、目隠しされているので睨むことは出来ませんでしたが

「そんなのを一番に提案してくるなんて趣味が悪いですわね。それを喜んでやる令嬢が存在するとでも?」

となるべく冷たい声で、フェルマー様に言いましたわ。

すると

「あぁ、やっぱり皇妃様は知っていましたか。知らなかったら受けてくれると思ったんですけどね」

そう言ってきたフェルマー様の声は、気持ちが悪いくらい機嫌の良さそうな声ですわ。

やっぱり、ということは断る、と想定していましたのね。

だったら言わなければいいのに。

....とは流石に抵抗の出来ない今は言えないので

「貴方が提案してくるゲームなんて絶対に受けないわよ」

とだけ言って、馬車が停車するのを待ちましたわ。


私が2度目の目隠しをされて15分後、ゆっくりと馬車が止まって、ドアが開いた音が聞こえてきましたわ。

これは確実に目的地に着きましたわね。

なんて思っていると、急にフェルマー様が私の手を掴んで

「さて、皇妃様。足元にお気を付けください」

と言ってきましたが、だったら目隠しをしないで欲しいですわよね?

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