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222話

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今、ライア様はフェルマー様、と言いましたわよね........?

そう思いながらアルフレッド様を横目で見ると、さっきまで自信満々の表情とは一変して顔を真っ青にして呆然としていますわ。

この様子を見れば、父親が誰なのか、言わなくてもわかってしまいますわよね。

.......まさかフェルマー様が。

そう思っていると、処刑台の方からガシャンガシャン、という鳴るわけがない音が聞こえてきましたわ。

その音に驚きながら、パッと処刑台の方を見ると、そこには

「フェルマー様!いるんでしょう!?話が違うじゃない!!」

と叫びながら、ライア様がバタバタと動いていますわ。

ただ、さっきまでと違うのがどうやっているのかはわかりませんが、処刑台がゆらゆらと、今にも倒れそうなほど大きく動いている、ということですわね。

このままでは、刃を繋いでいるロープがいつ解けてもおかしくないですわ。

なんとか近くにいた兵士たちが

「暴れるな!大人しくしろ!」

と押さえつけようとしていますが

「皇妃にしてくれるっていうから私も我慢したんじゃない!フェルマー様!」

とライア様は大人しくなる気配がありません。

これは、本当に危険ですわ。

いくら今から処刑されるとはいえ、流石に見逃せません。

そう思った私は、アルフレッド様と私についてくれている護衛にも

「ライア様を抑えて!」

とお願いしましたわ。

その間も

「フェルマー様!フェルマー様!」

と暴れるライア様に兵士たちは

「くっ!どこにこんな力があるんだ」

と必死に抑えにかかっていますわ。

どうしましょう......こんな状況で執行するのは流石に危険ですし、もし首の拘束が取れてしまったらどうなるか想像も出来ませんわ。

赤の間にいる貴族たちは、今起こっていることがあまりにも異様な事すぎてざわざわと騒がしくなってきましたし。

ライア様をただただ見ている人、傍観席にフェルマー様の姿がないか確認している人、と皆様々な反応を見せていますわ。

その間にも、ペントミン伯爵たちは目を伏せたまま、ずっと下を向いています。

「嘘つき!何のために子供を産んだのよ!責任を取りなさいよ!」

と騒ぐライア様はもう以前見た時とは完全に別人ですわ。

アルフレッド様はこの状況をどうするつもりなんでしょう。

そう思いながらチラッと様子を見ると、1人の兵士がアルフレッド様に駆け寄ってきて

「皇帝、このまま執行してしまった方が........」

と声をかけているのに気付きましたわ。

確かに、このまま延期しても同じことになるでしょうし、だったら首を固定されている今、執行してしまった方が良いでしょう。

ただ、ペントミン伯爵は.........。

そう思って傍観席を見ると、ずっと下を向いていたはずのペントミン伯爵は、私とアルフレッド様の視線に気付いたみたいで小さく、何度も何度も頷きましたわ。

......執行しよう、ということですか。

アルフレッド様もペントミン伯爵の頷きはしっかりと見えたみたいで

「やむを得ないか...........」

と呟きましたわ。
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